セレナが初戦敗退の危機を回避、第3セットのタイブレークを完封 [ウェスタン&サザン・オープン]
WTAツアー公式戦の「ウェスタン&サザン・オープン」(WTAプレミア5/アメリカ・ニューヨーク/8月22~28日/賞金総額225万829ドル/ハードコート)の女子シングルス2回戦で、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)は彼女にとって2012年以降でもっとも長いその試合で驚きの敗北まであと一歩というところまで追い込まれていた。しかしセレナはそこから完璧なタイブレークで引き離し、アランチャ・ラス(オランダ)に7-6(6) 3-6 7-6(0)で競り勝った。
試合中の「カモン!」という彼女の叫びは、観客のいないスタジアムに響き渡った。「私の頭の中に、観客がいたのよ」とセレナは笑いながら言った。「私にとって、そこに観客がいたような感じだった」。
オランダのラスは予選から勝ち上がった世界ランク72位の選手で、ベースラインから繰り出す左利きのフラットなショットはセレナを煩わせた。セレナは第2セットで4ゲームを連続で落とし、第3セットでも同様の事態に陥って5-6とリードを奪われた。
次のサービング・フォー・ザ・マッチのゲームでラスはデュースとして勝利まであと2ポイントと迫ったが、そこからはもはや1ポイントすら取ることができなかった。ラスはダブルフォールトでセレナにブレークチャンスを与え、続くグラウンドストロークでのミスで試合はタイブレークに突入した。
グランドスラムで彼女を「23」のタイトルに導いたストロークと闘志を見せつけ、――シングルスではツアーレベルで1度もタイトルも勝ち獲ったことのないラス相手に――セレナはほとんどのポイントで雄たけびを挙げてガッツポーズをして自らを鼓舞しながら突き進み、2時間48分を要したこの試合をフォアハンドのウィナーで締めくくった。
3時間3分の闘いの末にビルジニー・ラザノ(フランス)に敗れた2012年フレンチ・オープン以来、セレナは1試合でこれほど長い時間をコート上で過ごしたことはなかった。セレナにとってそのフレンチ・オープンは、グランドスラム大会におけるキャリア唯一の1回戦負けだった。
「今日は第2セットで壁にぶち当たっていた。すごく熱くなっていたわ。そんなことはこれまでなかったのに」と38歳のセレナは振り返った。「フィジカル的に、私はいい状態にあると思う。でもテニスはメンタルなの。メンタルがものを言うのよ」。
この大会は本来であればオハイオ州シンシナティで開催されるが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの影響で今年は例外的にUSオープンの会場であるUSTAビリー ジーン・キング・ナショナルテニスセンターで行われることになった。このふたつのハードコートの大会は無観客で行われ、異例のダブルヘッダーを形成している。今季のグランドスラム2大会目となるUSオープンは、8月31日に開幕する。
日曜日に第1シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)と第2シードのソフィア・ケニン(アメリカ)が敗れたあと、第3シードのセレナと第4シードの大坂なおみ(日清食品)もそこに加わるかもしれなかった。
しかし部分的には14本のサービスエース――1本は時速約195kmに至っていた――のおかげで、セレナは第13シードのマリア・サカーリ(ギリシャ)に対する3回戦へと駒を進めた。サカーリは1回戦で周囲の期待を集めた16歳のコリ・ガウフ(アメリカ)を倒したあと、この日はユリア・プティンセバ(カザフスタン)を6-4 7-6(9)で下して勝ち上がった。
サカーリは次戦を見据え、静かな舞台でプレーすることが自分に有利に働くかもしれないと考えている。なぜなら彼女がセレナとプレーするときに何千人もの観客がいたら、「99%が彼女を応援し、1%が私」の環境になってしまうからだ。
一方の大坂はカロリーナ・ムチョバ(チェコ)を相手に第1セットをタイブレークの末に落としたものの、最終的に6-7(5) 6-4 6-2で勝利をおさめた。大坂は次のラウンドで、ベルナルダ・ペラ(アメリカ)を7-6(5) 4-6 6-3で破った第16シードのデヤナ・イエストレムスカ(ウクライナ)と対戦することになった。
この日はほかにも上位シード勢4人が初戦に臨み、第5シードのアーニャ・サバレンカ(ベラルーシ)と第8シードのジョハンナ・コンタ(イギリス)が勝ち進んだが、第6シードのペトラ・クビトバ(チェコ)と第7シードのマディソン・キーズ(アメリカ)は早期敗退者のリストに加わった。
ウインブルドン優勝歴2回のクビトバが世界48位で同胞のマリー・ブーズコバ(チェコ)に6-2 5-7 2-6で、前年覇者のキーズはオンス・ジャバー(チュニジア)に4-6 1-6で敗れた。
そのほかの試合では、第12シードのアネット・コンタベイト(エストニア)、第14シードのエリース・メルテンス(ベルギー)、元世界1位のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と、予選勝者のジェシカ・ペグラ(アメリカ)、クリスティーナ・マクヘイル(アメリカ)、ベラ・ズボナレワ(ロシア)が勝ち上がり、ベスト16が出揃った。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)
NEW YORK, NEW YORK - AUGUST 24: Serena Williams returns a shot to Arantxa Rus of Netherlands during the Western & Southern Open at the USTA Billie Jean King National Tennis Center on August 24, 2020 in the Queens borough of New York City. (Photo by Matthew Stockman/Getty Images)
Pick up
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-11-29
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-11-29
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ