ズベレフがジョコビッチをストレートで破り、トップ8の頂点に [Nitto ATPファイナルズ]

 トップ8によるエリート大会「Nitto ATPファイナルズ」(イギリス・ロンドン/11月11~18日/賞金総額850万ドル/室内ハードコート)のシングルス決勝。

 わずか21歳で、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)をストレートセットで倒し、キャリア最大タイトルを手に入れたにも関わらず、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)はジョコビッチとペースを合わせるのは容易なことではないと自覚していた。

 ズベレフは日曜日に、ジョコビッチを6-4 6-3という驚きのスコアで倒した。10年前に、ジョコビッチがやはり21歳で、彼の今大会5つのタイトルのうちの最初のものを獲得して以来、もっとも若いチャンピオンとなった。

 1995年以来のドイツ人チャンピオンとなったズベレフは、「オー・マイ・ゴッド!」と言い、自分自身に驚いているような様子を見せた。

「僕はここのタイトルを1つ獲り、彼は5つ獲った。そして彼は、僕よりもずっと多くのタイトルを獲っている。でも今は、そういうことはあまり考えずにおこう。素晴らしいことをやってのけられればと願う。でも、少し気を静めよう…」

 世界1位のジョコビッチは、ロジャー・フェデラー(スイス)の記録であるタイトル数〈6〉に並ぶことを目指していたが、準決勝でズベレフに敗れた“スイスの偉人”と同じ道を歩むことになった。

 今週を通し、ジョコビッチのサービスは、この決勝まで一度もブレークされていなかった。それをズベレフは、第1セットで1度、第2セットで3度ブレークしてみせ、最後は壮観なバックハンドのダウン・ザ・ラインのパスエースで締めくくった。

「僕らのキャリアには、軌道という面で多くの類似点がある」とジョコビッチは言った。彼は今年、グランドスラム・タイトルなしの2年に終止符を打って、ウインブルドンとUSオープンで優勝を遂げた。

「彼(ズベレフ)が僕を超えるよう願っているよ」

 双方の選手が、前日に準決勝をストレートで制したときの調子で試合を始め、サーバーが落とすポイントは非常に少なかった。

 先にプレッシャーを感じ始めたのは、ここ37試合で2度しか負けておらず、ラウンドロビン(グループ内総当り戦)でズベレフを倒していたジョコビッチのほうだった。

 ジョコビッチはフォアハンドを続けざまにミスし、4-5とする最初のブレークを献上してしまう。

 ズベレフが、これをキープすればセットを取るというサービスゲームに入ったとき、ファンたちは盛大な喝采を送り、それが彼を鼓舞したようだった。3本連続でのサービスエースが3つのセットポイントをもたらし、ジョコビッチがまたもフォアハンドをアウトした瞬間、ズベレフは2つ目のそれをものにした。

「僕はあまりに多くのアンフォーストエラーをおかし過ぎた」とジョコビッチは試合後に振り返った。

「第1セットの4-4から、僕のテニスは崩壊してしまった」

 ズベレフは、通常はジョコビッチが圧倒的に上である分野ーー長いラリーでさえ、勝ち始めたのだ。

 ジョコビッチが結局セーブしたとはいえ、第2セットの最初のゲームであった26ショットのラリーが、またもズベレフにブレークポイントをもたらした。ズベレフは、その少しあとに、またも長いラリーをフォアハンドのウィナーで制して1-0とリードした。

 ところがビッグタイトルが視界に浮かぶ中、ズベレフは少しナーバスになり始める。

 若きドイツ人のズベレフは、ジョコビッチ、フェデラー、ラファエル・ナダル(スペイン)、アンディ・マレー(イギリス)によって構成されるビッグ4以外で、3度以上マスターズで優勝したことがある唯一の現役男子選手だったが、グランドスラム大会では準々決勝に至ったことが一度あるだけだった。

 2本のダブルフォールトと、2本のバックハンドのミスで、ジョコビッチに即座のブレークバックを献上してしてしまったズベレフだったが、彼は速やかに集中力を取り戻すと、次のゲームで28ショットのラリーを制し、ふたたびジョコビッチのサービスをブレークした。

「僕は今日は一度、自分のサービスを落とした」とズベレフは言った。

「これはかなりいいスタッツだと思う。特に、彼がテニス界最高のリターン巧者であることを鑑みればね」

 そこからのズベレフは、サービスゲームで堅固であり続け、最後には華やかに幕を引いた。走りながらのバックハンドが、手も足も出せなかったジョコビッチの横を抜き去ってコート内に入ると、ズベレフは涙を浮かべ地面に倒れ込んだ。

「この優勝杯は大きな意味を持つ。すべてを意味する。選手の皆にとってそうだ」とズベレフは言った。

「ここで優勝するチャンスはそうあるものじゃない。今大会は、世界最高峰の選手のみとプレーするわけだからね」

試合後のズベレフとジョコビッチ(写真◎Getty Images)

 ジョコビッチはネットを越えてズベレフに近づいていくと、いまや2ヵ月後のオーストラリアン・オープンで優勝候補の一角とみなされ、自分のグランドスラム優勝の進撃を阻むやもしれない若者を温かく抱擁した。

「僕はキャリアを通し、オーストラリアでもっとも成功をおさめている」とジョコビッチは言った。彼はメルボルンで6度優勝を遂げているのだ。

「その傾向を続けることができるよう、願っているよ」(C)AP(テニスマガジン)

※トップ写真はアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
LONDON, ENGLAND - NOVEMBER 18: Alexander Zverev of Germany reacts during the singles final against Novak Djokovic of Serbia during Day Eight of the Nitto ATP Finals at The O2 Arena on November 18, 2018 in London, England. (Photo by Fred Lee/Getty Images)

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