デビスカップとレーバー・カップに、新しいチーム大会の仲間が加わることになる。男子プロテニスツアー運営団体であるATPは、新設の「ATPカップ」第1回大会が、オーストラリアン・オープン開始の1週間前の2020年1月に開催されることになると発表した。

　24チームによる大会発足の発表は、バルセロナのサッカー選手ジェラール・ピケが陣頭に立つ投資団体によってバックアップされた国際テニス連盟（ITF）が、2019年11月にデビスカップを18ヵ国による1週間の大会として開催する、と明かした3ヵ月後になされた。

　ATPカップは、まだこれから決められるオーストラリアの3つの会場で、10日間に渡って行われる。

「いくつものチーム大会があってもいい。それは問題ではない」とATPのクリス・カーモード会長は言った。

「問題は、タイミングがあまりに近いことで、それは理解した。でも私は、最終的にこれに関する解決策も見つけられる、ということに自信を持っている」

　出場選手に1500万ドルの賞金を提供するというATPカップは、テニス・オーストラリア（豪州テニス協会）をパートナーとして開催される。場所と大会開催のタイミングは、1週間後のメルボルンで開始するシーズン最初のグランドスラム大会、オーストラリアン・オープンに向けての理想的な準備と調整が可能となることを念頭に決められる。

　テニス・オーストラリアはまた、もうひとつのチーム大会である「レーバー・カップ」のパートナーでもある。レーバー・カップは2017年に始まり、9月にヨーロッパの選手のチーム（チーム・ヨーロッパ）と欧州を除く全世界の選手のチーム（チーム・ワールド）を対決させる大会だ。

「2020年に、間違いなく素晴らしい大会を運営できるよう手を尽くし、ATPツアーや他の団体とも協力し合って、デビスカップもまた素晴らしい世界的な大会となるよう、我々にできることは何でもするつもりだ」とテニス・オーストラリアCEOのクレイグ・タイリー氏はコメントした。

　レーバー・カップの創設者の1人であるロジャー・フェデラー（スイス）は、この新しいATP大会がどのようなものになるか、「待って様子をみたい」というスタンスを取った。

「チーム戦という形にするなら、楽しいものでなくてはならない」とフェデラーは自身の見解を述べた。

「選手たちは、ただ自分自身のためだけにプレーする代わりに、誰かと一緒に過ごすことを楽しむものだ。それは、彼らの目の中に見て取れる」

　参加国は、その国のもっともシードの高い選手のランキングに則ってATPカップ出場権を得る。参加国は4ヵ国による6つのグループに分かれてラウンドロビン（総当たり戦）を戦い、そこではシングルスの2試合とダブルス1試合行われることになる。

　デビスカップと違い、ATPカップは、個人の成績をベースにランキング・ポイントを提供する。プレーしたすべての試合、そして大会で優勝した選手は、最大で750ポイントを獲得できる。大会発足の発表は、ATPの看板大会であるATPファイナルズ開催中の、ロンドンのO2アリーナで行われた。

「言うまでもなく、我々には、もっとも歴史的なチームイベントである“デビスカップ”がある」と世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ（セルビア）は言った。彼はATPプレーヤー評議会の会長でもある。

「そして今、我々プレーヤーの観点からの価値という意味で、高い位置にある“ATPカップ”が生まれた」

　ATPはこれ以前に、ドイツのデュッセルドルフで「ワールドチームカップ」を35年に渡って開催していたが、2012年にこの大会は中止されていた。

「世界中の我々プレーヤーの皆が、この大会で一堂に集まり、団結することになる」とジョン・イズナー（アメリカ）は期待感を募らせている。

「これは、（この大会を行うのに）完璧な週だ。皆が、オーストラリアン・オープンに向け最高の調子に至りたいと思っており、この大会は我々がそうすることを可能にしてくれるだろう」(C)AP（テニスマガジン）

※写真は「ATPカップ」の開催を発表する会見でのATPのクリス・カーモード会長（左）とテニス・オーストラリアCEOのクレイグ・タイリー氏（右）
LONDON, ENGLAND - NOVEMBER 15: ATP Executive Chairman and President, Chris Kermode and Tennis Australia CEO Craig Tiley speak to the media during the official presentation of ATP Team Competition announcement during Day Five of the Nitto ATP Finals at The O2 Arena on November 15, 2018 in London, England. (Photo by Julian Finney/Getty Images)