ハチャノフが初のマスターズ・タイトル獲得、ジョコビッチは敗れるも世界1位へ [ロレックス・パリ・マスターズ]
「ロレックス・パリ・マスターズ」(フランス・パリ/10月29日~11月4日/賞金総額544万4985ユーロ/室内ハードコート)のシングルス決勝で、カレン・ハチャノフ(ロシア)が、やや疲れた様子のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を7-5 6-4で倒し、マスターズ初優勝を遂げた。この勝利が、ジョコビッチから、ラファエル・ナダル(スペイン)が持つマスターズ・タイトル「33」に並ぶ可能性を奪った。
パリ・マスターズで最多記録となる4度の優勝を誇るジョコビッチは、土曜日のロジャー・フェデラー(スイス)に対する3時間におよぶ伝説的熱戦のあと、エネルギーを欠いているように見えた。
金曜日の準々決勝でもマリン・チリッチ(クロアチア)によってフルセットの戦いを強いられていたジョコビッチは、準決勝を夜8時頃に終えていた。彼は、心身ともに消耗させられたこの対戦のあと、十分に回復することができなかったと感じていた。
「残念なことに、回復できなかった。でも、そのことについては話したくない」とジョコビッチは言った。
「僕はむしろ、ハチャノフが今週を通し、いかによいプレーをしたか、今日の彼が絶対的に勝利に値したことについて話したい」
フェデラーと、あれほど緊迫した戦いを演じたあと、それは感情的な疲れの問題なのか、とふたたび尋ねられたジョコビッチは、ハチャノフへの称賛を繰り返した。
「カレンは本当にいいプレーをし、勝利に値した」とジョコビッチは言った。「これはすべて彼の功績だ」。
第1セット第4ゲームでブレークを果たしたジョコビッチは3-1とし、その直後のサービスゲームでも30-0とリードしていた。しかし、ノーシードのハチャノフはすぐにブレークバックし、それによって勢いは急にジョコビッチから離れる形で方向を変えた。
「僕は、よりコート内に踏み込んで打つようにしたんだ」とハチャノフは言った。
「僕は彼をもっと走らせようとしたんだ。おそらく彼は、ブレークされて1-3とされたあとに僕がそんなふうにできるとは思ってなかったんじゃないかな」
ジョコビッチはときに動揺しているように見え、第1セットの間、何であるかはっきりとはわからない問題について訴えるため、何度も自分のチームが陣取るボックス席のほうに顔を向けた。
ハチャノフが、パワフルなショットをダウン・ザ・ラインに叩き込み、ジョコビッチが弱々しくそれをネットにかける――その瞬間、ハチャノフはブレークを果たし、6-5とこの試合で初めてリードを奪った。そして彼は、第1セットをパワフルなファーストサービスによって締めくくる。ジョコビッチは、懸命にラケットを伸ばしたもののボールをフレームに当てるのがやっとで、返球することはできなかった。
ジョコビッチは、頻繁に彼のくるぶしの近くに落ちる、ベースラインからのハチャノフの強烈な両手打ちバックハンド・クロスへの対処に四苦八苦し、第2セットでもふたたびブレークを許して、1-2とリードされた。第7ゲームでも、何とかキープして3-4とするのに、3つのブレークポイントをセーブしなければならなかった。
「彼はコートの後方から、フラットのバックハンドやフォアハンドなど、パワフルなショットを打ち込んできた。彼は本当に相手を痛めつける力を持っている」とジョコビッチは言った。
「彼のサーブは本当に強く、正確だった」
双方のプレーヤーがラブゲームでサービスをキープしたあと、ハチャノフは、まったくナーバスになる様子もなく――これが彼にとって初のマスターズ決勝だったにも関わらず――最後のサービスをキープして、試合にけりをつけた。
ジョコビッチがバックハンドのリターンをサイドアウトして、ハチャノフは最初のマッチポイントで勝利を決めた。その瞬間、ハチャノフは両腕を空に突き上げ、その少しあとに膝をついて、コートにキスをした。
「今季は飛躍のシーズンだった。そしてこのタイトル、これはよい年の締めくくりだ」とハチャノフは言った。
「僕は泣いてはいないかもしれないが、それでもすごく幸せだよ」
ジョコビッチは月曜日に、2年ぶりに世界1位に返り咲く。しかし彼は、土曜日に素晴らしいプレーをしたフェデラーに対してもちこたえておきながら、キャリア73勝目となるタイトルを獲れなかったことに、がっかりすることだろう。
それでも、ウインブルドンとUSオープンのチャンピオン、ジョコビッチには、この22連勝を経て、いい感触を覚える理由がたくさんある。彼は変わらず、11月11日にロンドンで始まる「Nitto ATPファイナルズ」の優勝候補であり続けている。
「もちろん満足しているよ。僕は明日、世界1位になる。これ以上、何を要求できるというんだい? 僕は連続して20試合以上に勝ち、驚くべき5ヵ月を送った」とジョコビッチは言った。
「僕は、自分のテニスについていい感じを覚えながら、シーズン最後のATPファイナルズに臨むことになる」
現在世界18位のハチャノフは、パリ・マスターズで優勝した2006年のニコライ・ダビデンコ(ロシア)以来のロシア人となった。その前には、マラト・サフィン(ロシア)が3度ここで優勝している。グランドスラム大会優勝歴2回のサフィンは、現在22歳のハチャノフがまだ8歳だった2004年に、最後のパリ・マスターズ・タイトルを獲得していた。
「僕はサフィンの試合を観たけれど、もっとあとのことだ。8歳のときではなく」と彼は言った。
「このような優勝者たちのリストに名を連ねることができたことについて、本当に自分を誇りに思う」
ハチャノフは、先月に獲ったモスクワでのクレムリン・カップにこのタイトルを加え、今年のタイトル獲得数を「3」、キャリアでは「4」とした。
彼は、これに先立って進出した3つの決勝のすべてで勝っており、決勝での勝率100%という記録が、14度グランドスラム大会を制した男に対してコートに足を踏み入れたときに、心のよりどころになった。
「僕はこう考えていたんだ、『OK、ジョコビッチは70余りのタイトルを持ち、僕はまだ3つだ』」とハチャノフは言った。
「でも僕は決勝で、3勝0だ。そうだろ? だからおそらく、そのことが、僕の脳裏にあったのかもしれない」
ダブルス決勝も行われ、マルセル・グラノイェルス(スペイン)/ラジーブ・ラム(アメリカ)がジャン ジュリアン・ロジェ(オランダ)/オリア・テカウ(ルーマニア)を6-4 6-4で倒して大会を制した。(C)AP(テニスマガジン)
※トップ写真はカレン・ハチャノフ(ロシア)
PARIS, FRANCE - NOVEMBER 4: Karen Khachanov of Russia celebrates winning the Rolex Paris Masters 2018 on day 7 at the AccorHotels Arena in Bercy on November 4, 2018 in Paris, France. (Photo by Jean Catuffe/Getty Images)
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