ナダルが世界1位の座を失う、腹筋の痛みのため大会を棄権 [ロレックス・パリ・マスターズ]
「ロレックス・パリ・マスターズ」(フランス・パリ/10月29日~11月4日/賞金総額544万4985ユーロ/室内ハードコート)のシングルス3回戦。
ひとつの故障から復帰したラファエル・ナダル(スペイン)が、また別の故障のため棄権することになった。
今回は、彼を9月初めにUSオープン準決勝から追いやった右膝の問題ではなく、腹筋の痛みが原因だった。
ナダルはここ何年にもわたり断続的に故障に苦しめられており、その故障の前歴ゆえ、彼は医師のアドバイスに耳を傾け、フェルナンド・ベルダスコ(スペイン)に対する2回戦をプレーしないと決めた。
「ここ数日、腹筋に少し痛みを覚え始めていた。特にサーブをしたときに」とナダルは言った。
「医師の診察を受けたのだが、プレーしないようにとすすめられた。もし続けたら、腹筋が肉離れになるなど、大きなケガにつながる恐れがあるから、と言われたんだ」
そしてこの最新の故障は、彼から世界1位の座を奪うことになった。ナダルが棄権した今、世界1位の座は来週、長年のライバル、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の手に戻ることになる。
ジョコビッチは2年前、首位の座をアンディ・マレー(イギリス)に奪われた。彼はその後、スランプと同時に起きたしつこい右肘の故障からの復帰に、非常に苦労することに。こうして31歳のジョコビッチは、今年の5月には22位にまでランキングを落としていた。
しかしジョコビッチは、出場したここ5大会のうち、ウインブルドン、USオープン、先ごろの上海マスターズを含めた4大会で優勝し、その調子を完全に逆転させることに成功。輝かしいカムバックを果たし、同じシーズン内に20位から1位にまで駆け上った、2000年のマラト・サフィン(ロシア)以来の選手となった。
ナダルがパリ・マスターズを棄権したのは、2年連続のことであり、彼は11月11日からロンドンで始まるシーズン末のトップ8によるエリート大会「Nitto ATPファイナルズ」でプレーするかも、まだわからないと言う。
「わからない。非常に申し訳ないが、その問いに答えることはできない。僕はただ、ここまでのキャリアでずっとそうしてきたように、一日一日を見て進んでいくだけだ」とナダルは言った。
「僕にとってもっとも大事なのは、健康でいることだ。健康で、数週間続けて戦う可能性を手にすることなんだ。9大会でしかプレーできず、2大会で棄権した今年には、そうすることができなかった」
もう何年にもわたり断続的に故障に対処しなければならなかった32歳のナダルは、用心深い行動をとるほうを好んだ。9月初めのUSオープン準決勝で、彼はフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)に対し、最初の2セットを落としたあとに棄権した。彼は回復するためにアジアでの連戦をスキップし、北京、上海への出場をとりやめていた。
「故障という面では、僕にとって厳しい年だったから、大きなリスクは避けたいんだ」とナダルは言った。
「もしかしたら、今日プレーすることはできるかもしれないが、医者は、もし僕が大会でプレーしたいというなら、その大会で優勝しようと努めたいのだろうから、(そんなふうに無理を続ければ)腹筋は間違いなく肉離れになる、と言ったんだ」
ナダルは、この最新の故障は、復帰を焦りさえしなければ、すぐによくなるだろうと前向きに考えていた。
「今日、これが本当の故障だと言うのは正しくないと思う。だけど確かなのは、もしプレーを続けたら、本当のケガになってしまうということだ」と彼は言った。
「故障から復帰し、少しばかり無理をしたとき、最初、体にちょっとした問題が出るというのは、起こり得ることなんだよ」
水曜日、ロジャー・フェデラー(スイス)が3回戦に進出したが、それは不戦勝によるものとなった。強力なサービスが武器の対戦相手、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)が右肘の故障を理由に棄権したのだ。
「(1回戦の)第2セットの半ばに腕を伸ばし過ぎてしまい、そのときに痛みを感じた」とラオニッチは言った。
「超音波テストとMRIの検査を受けたが、そのときに上腕三頭筋に、ある種の裂傷が発見されたんだ」
先の日曜日にスイス・バーゼルでキャリア99勝目となるタイトルを獲得したフェデラーは、次に第13シードのファビオ・フォニーニ(イタリア)と対戦する。この日はフォニーニもまた、対戦相手のマートン・フクソービッチ(ハンガリー)が棄権したため、不戦勝で3回戦進出を決めた。
前年度覇者で第16シードのジャック・ソック(アメリカ)と第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)は、ともにストレート勝ちで3回戦に駒を進めた。
ソックはリシャール・ガスケ(フランス)を6-3 6-3で退けた。一方のズベレフは、フランシス・ティアフォー(アメリカ)を6-4 6-4で下して勝ち上がった。
ウインブルドン準優勝者で第7シードのケビン・アンダーソン(南アフリカ)は、ニコラス・バシラシビリ(ジョージア)に6-3 6-7(3) 7-6 (3)で競り勝った。アンダーソンは次の3回戦で、日本の錦織圭(日清食品)と対戦する。第10シードの錦織は水曜日のセンターコートの第1試合で、アドリアン・マナリノ(フランス)を7-5 6-4で退けた。
第8シードのジョン・イズナー(アメリカ)、第9シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)も勝ち上がった。イズナーがミカエル・ククシュキン(カザフスタン)を6-3 6-7(2) 7-6(1)で、ディミトロフはロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)を7-6(10) 6-4で倒した。
イズナーと錦織は、第5シードのマリン・チリッチ(クロアチア)、第6シードのドミニク・ティーム(オーストリア)と、ATPファイナルズの最後の2席を巡って競り合っている。
ティームは水曜日のナイターの試合で、ジル・シモン(フランス)を6-4 6-2で倒した。一方、第11シードのボルナ・チョリッチ(クロアチア)はダニール・メドベデフ(ロシア)を6-4 6-4で退け、やはり3回戦に進んだ。チョリッチはそこで、ティームと対戦する。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はラファエル・ナダル(スペイン)
PARIS, FRANCE - OCTOBER 31: Rafael Nadal of Spain announces his withdrawal from the Rolex Paris Masters due to an abdominal injury on October 31, 2018 in Paris, France. (Photo by Aurelien Meunier/Getty Images)
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