内藤祐希、佐藤南帆ら多数のジュニア選手がシード勢への挑戦のチャンスを獲得 [第93回三菱全日本テニス選手権]

「三菱 全日本テニス選手権 93rd」(賞金総額2850万円/本戦10月27日~11月4日/大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター/ハードコート)の本戦が始まり、初日は男子シングルス1回戦8試合と女子シングルス1回戦16試合および男子ダブルス1回戦6試合が行われた。

 女子シングルスは第1シードの清水綾乃(Club MASA)と第2シードの小堀桃子(橋本総業ホールディングス)がともに20歳で、若さが印象的な今大会。シード勢はまだ登場していないが、ジュニアを含めて10代プレーヤーがコートを賑わし、多くが初戦を突破した。

 注目の試合の一つは、センターコートで行われた20歳の清水映里(早稲田大学)と17歳の内藤祐希(TEAM YONEZAWA)の対戦。清水が予選突破で内藤はワイルドカード(主催者推薦枠)だが、〈昨年のインカレ・チャンピオン vs 国内ジュニア女子ナンバーワン〉と聞けばぐっと興味は増す。

 しかし、序盤は思いがけず一方的な展開になった。「センターコートに入ったら急にプレッシャーを感じて自分のプレーができなかった」と内藤。0-5と一気にリードを許した。4ゲームを巻き返したものの第1セットを4-6で失う。第2セットは第10ゲームのサービスゲームで3度もマッチポイントを握られた。

「そのとき『私、何やってんの』と思ったらやっと肩が下に落ちて、リラックスしてプレーできるようになった」と言う。緊張すると力が入って肩が上がってしまうことは、以前から自覚している悪い癖だ。肩の位置は内藤の精神状態を顕著に表すらしい。

「5-0まで、私はほとんど何もしなかった。向こうのミスでそうなっただけです」という清水の言葉を聞いても、試合のアップダウンがほとんど内藤の精神状態次第だったことが伺える。

 ピンチをしのいだ内藤はタイブレークを奪取し、最終セット5-3でサービング・フォー・ザ・マッチを迎える。そこでもブレークポイントを握られるなど最後まで行方はわからなかったが、そのゲームを2度のデュースの末にサービスエースで2時間31分の試合を締めくくった。

 この夏、内藤は足の疲労骨折で2ヵ月もの間プレーができず、全日本ジュニアもUSオープン・ジュニアも欠場した。しかし、今月のユースオリンピックにはなんとか間に合わせ、シングルスこそベスト8に終わったが、田島尚輝(TEAM YONEZAWA)と組んだミックスダブルスで金メダル、佐藤南帆(有明ジュニアテニスアカデミー)との女子ダブルスでは銀メダル獲得と大活躍。しかし、夏の悔しさはまだ晴らし足りないだろう。

「今、けっこう調子が上がってるので、一戦一戦、決勝を目指していきたい」。大きな山が次の一戦、相手は第2シードの小堀だ。

 なお、ユースオリンピックで内藤とダブルスを組んだ同い年の佐藤もワイルドカードで出場。やはりワイルドカードを得たプロの清水千夏(フリー)に6-4 6-2で快勝し、第8シードで20歳の村松千裕(グラムスリー)との2回戦へ駒を進めた。

 そのほか、永田杏里(南山高等学校女子部)や宮本愛弓(ローズヒルテニスクラブ)、西郷里奈(志津テニスクラブ)、吉岡希紗(四日市商業高校)など予選上がりのジュニア選手も次々と初戦を突破している。

(ライター◎山口奈緒美)

※写真は女子シングルス2回戦に進出した17歳の内藤祐希(TEAM YONEZAWA)
撮影◎江見洋子

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