大坂はプリスコバに敗れ大会初Vはならずも「自分を誇りに思う」 [東レPPO]

「東レ パン・パシフィック・オープン」(WTAプレミア/9月17〜23日/賞金総額79万9000ドル/室内ハードコート)は23日、シングルス決勝が行われ、第4シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)がUSオープン女王の大坂なおみ(日清食品)を6-4 6-4のストレートで破り、大会初優勝を果たした。

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「今日は決して最高の試合とは言いきれなかったけれど、大会を通してタフな試合をたくさんこなしてきた中で勝つことができたのはうれしく思っています」

 優勝を果たしたプリスコバが、その喜びを語った際に口にした「最高の試合とは言いきれない」というひと言が、決勝の内容を表していただろう。プリスコバ自身も決勝がこうした展開になることを予想していなかったに違いない。

 試合序盤、互いに効果的なサービスを繰り出しながらサービスキープでスコア上は均衡を保っていたものの、大坂の動きは明らかに今大会のここまでの試合とは違っていた。ビッグショットを狙ったコースへ正確に突き刺すための両サイドへの鋭いフットワークは影を潜め、それはストロークのコントロールを微妙にくるわせて、培ってきた粘り強いプレーの足枷となった。

 それでも最大の武器であるサービスが大坂のゲームを助けたが、第1セット2-2としたあとのサービスゲームで、今大会4試合目にして初めてのダブルフォールトをおかし、集中の糸を切らした。

 一方のプリスコバは冷静にラリーをつなぎ、大坂のミスを誘い、またチャンスでは確実にポイントを決めていった。第1セットは2-2から大坂のサービスをブレーク、第2セットも4-4からブレークし、勝負を決めた。

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「本当に、今までにないくらいの疲れを感じている」と、自身の状況を語ったのは大坂だ。

 第2セット、サービスゲームをキープして4-3としたあと、オンコートコーチングでサーシャ・バイン・コーチを呼んだが、「実際には自分で何が悪いかわかっていたけれど、修正ができなかった。そこまで溜まっていたストレスを話すことで解消したいとコーチを呼びましたが、状況は変わらないだろうと思っていました」と振り返った。

試合中、大坂に声をかけるサーシャ・バイン・コーチ

 USオープンから続いていた試合、自身へ集まる大きな注目に、自身も気づかないうちに心身の疲労がマックスに達していたのだろう。

 そうした中での決勝進出。最後は敗れたものの「USオープンからプレーをし続けて今大会に臨み、よい試合が続いていた。そう考えれば、自分自身を誇りに思う」と大会を通しての自身のプレーを評価した。

 大坂の記者会見に先立ち、記者たちの質問に答えたサーシャ・コーチも「変えるべきことは特にないと思う。今年、彼女はしっかりと成長してきているし、技術的に変えるべきことは何もない」と、この敗戦にとらわれることなく、あくまで大坂のテニスについて前向きだ。「もちろん、試合での状況による決断などは向上できる部分」とも付け加えたが、それは経験をさらに重ねることで磨かれていくところでもあるのだろう。

 ニューヒロインのストーリーは、まだ先が長い。今シーズンは、まずは「現状、目標として重要な部分を占めている」と大坂自身が語るツアー最終戦、シンガポール(10月21日〜)を目指す。

(ライター◎田辺由紀子)

※写真は大坂なおみ(日清食品)(撮影◎佐藤明)

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