サッカーW杯のあと、テニスのデビスカップ決勝もクロアチア対フランスへ
最初はサッカーのワールドカップ決勝、そして、今度はデビスカップ決勝でーー。クロアチアは、テニス最大の国別対抗戦で世界一を決めるため、決勝でふたたびフランスと対戦することになった。
日曜日に、合計8時間におよぶ戦いの末に、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)は非常に混乱したこの準決勝の勝負のかかった最終試合でセットカウント1-2から巻き返し、フランシス・ティアフォー(アメリカ)を6-7(0) 6-1 6-7(11) 6-1 6-3の5セットの戦いの末に倒してアメリカの怒涛のカムバックに終止符を打った。
クロアチア・ザダルで開催された男子テニスの世界国別対抗戦、デビスカップ・ワールドグループ準決勝「クロアチア対アメリカ」(9月14~16日/クレーコート)。
「これは、ここまでの僕の人生でもっとも特別な瞬間だ」とチョリッチは言った。
「もしファンの応援がなかったなら、僕は間違いなく4セットで負けていただろう。というのも(3セット目をタイブレークで落としたあと)、僕の頭は水中深く沈んでいたからだ」
この試合に先立ち、代役のサム・クエリー(アメリカ)が母国の望みをつなぐため、挽回劇を演じていた。スティーブ・ジョンソン(アメリカ)に代わってプレーしたクエリーは、世界6位のマリン・チリッチ(クロアチア)を6-7(2) 7-6(6) 6-3 6-4で破り、アメリカが2勝2敗に追いついていたのだ。
2度目のデ杯タイトルを目指しているクロアチアは、11月23日から25日の決勝で、前年度覇者フランスのもとを訪れることになる。
フランスはクロアチアに対し、今年ロシアで行われたサッカー・ワールドカップ決勝で4-2の勝利をおさめたが、ただ決勝に至っただけでも、クロアチアのような小さな国にとっては大きな成就だった。
「それは、クロアチア・サッカーにとってだけでなく、クロアチアのすべてのスポーツにとって素晴らしい成功だった」とクロアチアのデ杯監督であるジェリコ・クラヤンは言った。
「我々はクロアチアのサッカー・チームが延長戦(規定時間90分のあとに同点だったため、さらに30分戦うこと)で勝つことに慣れていた。そして我々がここでやったのは、ひとつやふたつではなく、10の延長戦だった」とクラヤンは、サッカーのクロアチア代表がトーナメント・ラウンドの最初の3試合のすべてを、延長戦の末に制していたことを指して言った。
勝負の行方をかけた、この日最後のシングルスは、今回デ杯デビューを遂げた世界ランク40位のティアフォーと、18位のチョリッチの間の、思い出に残る初対戦だった。この双方がいまやテニス界の未来を担う存在とみなされている。
「フランシスが第5セットで見せたような、ああいうルーキーをアメリカが得られることは本当にすごいことだ」とアメリカのデ杯監督、ジム・クーリエ(アメリカ)は言った。
「そして試合をひっくり返した、サム(クエリー)がやってのけたことは、まさに驚くべきだ。だから、今日の経験から消化吸収すべきことは多くある。それについては、たった今話しているで、というのも今日は、すべてが分刻みで進んでいたからね」
クーリエ監督はまた、「僕は選手たちをこの上なく誇りに思う。彼らはそこですべてを出し尽くした。可能な限りいいプレーをし、懸命に戦った」と言い添えた。
「我々は今日、素晴らしいひとつの勝利と、素晴らしいひとつの戦いをやってのけたのだ」
チョリッチは第5セットの序盤でブレークを果たし、それからふたたびブレークして、4時間を超える戦いを締めくくった。チョリッチの最初のマッチポイントで、ティアフォーのバックハンドがネットにかかったとき、クロアチアのチームメイトたちはコートになだれ込み、喜びに飛んだり跳ねたりしながら、彼の周りに群がった。
チョリッチは、ティアフォーがすでに椅子に座ってから、この人垣を破って彼と握手を交わしに行った。クロアチア・チームがチョリッチの周りで踊り、祝いは続いた。
チョリッチは終盤により安定したプレーを見せたが、すべてのボールを追いかけ、返すティアフォーの能力は、ポイントを予想以上に長いものにした
「第2、第4セットで、ちょっとした調子の低下があった。そういうことは起こるものだが、いまさらどうしようもない」とティアフォーは言った。
「僕は若い。この経験から学ぶことだろう。第5セットは、どちらに転んでもおかしくなかった。彼はレベルを上げ、僕は自分のレベルを上げた。脱帽だ」
チリッチとチョリッチは、金曜日の第1、第2シングルスにストレートで勝ち、クロアチアは2勝0敗とリードした。しかし土曜日のダブルスでは、マイク・ブライアン/ライアン・ハリソン(アメリカ)が第5セットのタイブレークで勝利が決まった5時間を超える死闘の末、イバン・ドディグ/マテ・パビッチ(クロアチア)を破り、アメリカの挽回劇を始めていた。
それでも、ここ3年で2度目となる決勝進出を決めたのは、クロアチアだった。クロアチアは2005年に一度だけデ杯優勝を遂げたことがある。
チリッチは、第2セットのタイブレークで6-1のリードを浪費し、それから、ビッグサーバーのクエリーがかけてくるプレッシャーの下で、一連のミスをおかして完全に崩壊してしまった。
クエリーはこれに先立ち、過去6度の対戦で一度もチリッチに勝ったことはなく、世界ランキングを11位から61位にまで落とした男にとって、それは並外れた成績だった。
「これは僕のキャリアで最高の試合のひとつだ。間違いなく」とクエリーは言った。「このところ厳しかった僕の今年を鑑みれば、これは非常に大きな励ましだ」。
チリッチ対クエリーの試合で主審を務めたカルロス・ラモスは、第3セット終盤にラケットを地面に叩きつけ、フレームを捻じ曲げてしまったチリッチに対してコードバイオレーション(警告)を与えた。この試合最初のコードバイオレーションだったため、それは単なる警告に過ぎず、相手にポイントが与えられることも、チリッチがラモスと言葉を交わすこともなかった。
ラモスは、先週末のUSオープン決勝で日本の大坂なおみ(日清食品)にストレートで敗れたセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に、コードバイオレーションを与えた審判でもある。セレナはその後、自分は男子プレーヤーと同じような扱いを受けなかった、と主張した。
クロアチアは、アメリカとの対戦戦績を5勝0敗に向上させた。(C)AP(テニスマガジン)
準決勝|クロアチア 3-2 アメリカ
S1 ◯ボルナ・チョリッチ 6-4 7-6(4) 6-3 ●スティーブ・ジョンソン
S2 ◯マリン・チリッチ 6-1 6-3 7-6(5) ●フランシス・ティアフォー
D ●イバン・ドディグ/マテ・パビッチ 5-7 6-7(6) 6-1 7-6(5) 6-7(5) ◯マイク・ブライアン/ライアン・ハリソン
S3 ●マリン・チリッチ(クロアチア)7-6(2) 6-7(6) 3-6 4-6 ◯サム・クエリー
S4 ◯ボルナ・チョリッチ 6-7(0) 6-1 6-7(11) 6-1 6-3 ●フランシス・ティアフォー
準決勝|フランス 3-2 スペイン
S1 ◯ブノワ・ペール 7-5 6-1 6-0 ●パブロ・カレーニョ ブスタ
S2 ◯ルカ・プイユ 3-6 7-6(5) 6-4 2-6 6-4 ●ロベルト・バウティスタ アグート
D ◯ジュリアン・ベネトー/ニコラ・マウ 6-0 6-4 7-6(7) ●マルセル・グラノイェルス/フェリシアーノ・ロペス
S3 ●リシャール・ガスケ 6-1 4-6 [12-14] ◯アルベルト・ラモス ビノラス
S4 ●ニコラ・マウ 7-6(2) 3-6 [11-13] ◯マルセル・グラノイェルス
※写真はデビスカップ準決勝でアメリカを倒したクロアチア・チーム、地元ファンとともに喜ぶ
ZADAR, CROATIA - SEPTEMBER 16: Davis Cup team of Croatia celebrate victory against USA after day three of the Davis Cup World Group semi final single match between Croatia and USA at Visnjik sport center on September 16, 2018 in Zadar, Croatia. (Photo by Srdjan Stevanovic/Getty Images)
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