穂積絵莉とジャン・シューアイの初コンビが全試合ストレートの完全優勝 [花キューピットオープン]

「花キューピットジャパンウイメンズオープンテニスチャンピオンシップス」(広島県広島市・広域公園テニスコート/本戦9月10~16日/賞金総額25万ドル/ハードコート)は9月16日(日)、シングルスとダブルスの決勝が行われ、ダブルスは第2シードの第2シードの穂積絵莉(橋本総業ホールディングス)/ジャン・シューアイ(中国)が第1シードの加藤未唯(ザイマックス)/二宮真琴(橋本総業ホールディングス)を6-2 6-4で退けた。ジャンは前身となるHPオープンでクルム伊達公子(当時)との優勝以来7年ぶり2度目、穂積にとっては同大会初制覇となった。

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 ダブルス決勝はトップ2シードの対戦。第1シードは今年のフェドカップ代表でダブルスを務めた加藤/二宮ペア。一方の第2シードは、2017年のフェドカップ日本代表でダブルス出場の穂積とジャン。今大会が初コンビのペアが決勝に進出した。

 ファンのお目当ては、地元・広島県出身の二宮だろう。今年のフレンチ・オープンは決勝で対戦する穂積とのペアで準優勝。ジュニア時代は会場の広島広域公園テニスコートで育ち、今や日本を代表する選手に成長した地元スターの凱旋Vを見ようと、多くのファンが会場へ駆けつけた。

左から二宮/加藤、穂積/ジャン

 試合の序盤はブレーク合戦が続いたが、徐々に調子を取り戻したのは穂積/ジャン組だった。第4ゲームから5ゲームを連続で奪い、第1セットを6-2で先取すると、続く第2セットは加藤/二宮ペアがネットに詰めれば、ストロークに自信をもつ穂積とジャンがパスを狙うスリリングな展開。最後は、この試合7度目のブレークを奪った穂積/ジャン組が6-4でものにし、歓喜の抱擁を交わした。

ジャン(左)と穂積はストロークから押し込む戦いで試合を制圧

 全試合ストレート勝利で完全優勝を飾った穂積とジャン。「うれしいの一言に尽きる。自分たちのいいところが出せてよかった」と穂積が語れば、ジャンは「伊達(公子)さんとのダブルスで初タイトルを取った思い出深い大会。この1週間は(穂積)絵莉さんといっしょにいいプレーできた」と喜ぶ。

 ペア結成のきっかけは8月だった。穂積がジャンにUSオープンでのダブルス出場を打診。しかし、別のパートナーとの出場が決まっていたことで一度は話が流れた。だが、ジャンもそのオファーに応えようとジャパンウイメンズオープンでのペア結成が決まったという。

 穂積にとっては決勝の相手、加藤と二宮は同期であり、よく知る相手。彼女たちのネット際での動きは「世界でもトップレベル。組んでいても本当に信頼できるパートナーです。だからこそ負けたくなかったし、1ポイント目から気合いを入れてプレーしました」と振り返った。

 穂積のWTAタイトル獲得は実に2年ぶり。本人もその感覚はあまりなかったようで、昨年のオーストラリアン・オープンでは加藤とともに4強入り、今年の全仏は二宮と準優勝したことでダブルスへの自信を深めた。久々のタイトルにも「(2年前の)初優勝ほどのうれしさはないですけど……もちろん、日本の大会で優勝したのは初めてなのでうれしいです!」と笑い、喜びを噛み締めた。

ネットプレーを絡めたプレーを出し切れなかった二宮(左)と加藤

 穂積/ジャン組とは対照的に、悔しい敗戦に終わった加藤と二宮。加藤は前回大会でシングルス準優勝。今年はダブルス決勝で敗戦に終わり、「優勝は来年におあずけです」とぽつり。地元の期待に応えたかった二宮は「朝起きたときから緊張していた」ほど、優勝への気持ちも強かった。しかし、試合に入ると動きが硬く、自分たちのネット際でのプレーもうまく発揮できなかった。

「応援にきてくれた人たちに申し訳ない気持ち」と肩を落とす二宮だが、加藤とのダブルスで決勝に進んだのは初めて。「そこは前向きに捉え、もっと上を目指していきたい」と顔を上げた。

(編集部◎中野恵太)

写真◎矢野寿明

※トップ写真は、優勝後に歓喜の抱擁を交わすジャン(左)と穂積絵莉(橋本総業ホールディングス)

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