デビスカップ引退から戻ったマイク・ブライアンが、アメリカの望みをつなぐ [デ杯準決勝クロアチア対アメリカ]
男子テニスの国別対抗戦、デビスカップ・ワールドグループ準決勝「クロアチア対アメリカ」(9月14~16日/クロアチア・ザダル/クレーコート)のダブルスで、マイク・ブライアン/ライアン・ハリソン(アメリカ)がイバン・ドディグ/マテ・パビッチ(クロアチア)に7-5 7-6(6) 1-6 6-7(5) 7-6(5)で競り勝ち、アメリカが1勝目を挙げた。
デ杯から一度は引退しながら、ふたたび戻ることを受け入れたダブルス・スペシャリストのブライアンの決断が、アメリカに熱望されていた上昇気流を呼び込むことになった。
ブライアンは初めてハリソンと組んで5時間近い接戦を制し、アメリカがクロアチアに対して1勝2敗と追い上げることに成功した。
「国のために1勝を挙げるというのは、素晴らしいことだ――苦労の末の、第5セット7-6――これは非常に重要な勝利であり、この試合のことは決して忘れないだろう」とブライアンはコメントした。
4時間43分――それはブライアンのキャリアで、もっとも長いデビスカップの試合だった。
「これが、僕がここに来て、デビスカップに復帰した理由だった」と40歳のブライアンは言った。
「僕はアメリカの1勝に貢献出来て、ワクワクしている。僕らは自分たちの任務を果たした。今、僕らはこの勝利が、明日に向けてチームに勢いを与えることを願うばかりだ」
日曜日の相手を入れ替えたシングルスでは、世界6位のマリン・チリッチ(クロアチア)がスティーブ・ジョンソン(アメリカ)と、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)はフランシス・ティアフォー(アメリカ)と対戦する予定になっている。
クロアチア・ダルマチア地方の海岸沿いにあるこの屋外クレーコートで勝ったチームは、11月23日から25日にかけて行われる決勝で、前年度覇者のフランスと対戦することになる。フランスはもうひとつの準決勝で、スペインを3勝0敗で倒していた。
マイクと双子の弟ボブ・ブライアン(アメリカ)は、2016年にアメリカがクロアチアに敗れたあと、ふたりはデビスカップからの引退を表明した。
しかしマイクは、ボブが故障中に一時的にペアを組んだジャック・ソック(アメリカ)とのパートナーシップで成功に満ちたシーズンを楽しんでいたときに、デビスカップに戻る決心をした。ブライアンとソックは、ウインブルドンとUSオープンの男子ダブルスで優勝していたのだ。ところがソックは、USオープン優勝への過程で腰を痛め、結局デ杯での相棒はハリソンに置き換えられた。
アメリカ代表監督のジム・クーリエ(アメリカ)は、ボブが腰の手術を受けたあと、マイクにデビスカップに復帰するよう頼む前に、ボブに会って彼の承認を得た。
「それは、誰かと結婚しようと思ったときに、相手の父親に挨拶しに行くのと同じようなものだ。彼らはあまりに親しいので、ボブへの相談なしでは筋が通らない、と思ったんだよ」とクーリエ監督はブライアン兄弟について言った。ふたりはともに組んだダブルスで、グランドスラム通算16勝を挙げている。
「当然ながら、彼らは信じられないほど価値のある戦力だ――一緒であろうとバラバラであろうと――だから我々は彼らと一緒に戦うことができて今まで幸運たったし、今回はマイクの力を借りることができてよかったよ。今日は、かなり難しい状況だったが、彼(ブライアン)とライアン(ハリソン)は、本当にうまく協力し合ってプレーしていた」
ブライアンの反射的ボレーが試合を通してカギとなる武器だった一方で、アメリカの2度目のマッチポイントをものにし、ドラムを叩きトランペットを吹き鳴らす騒々しい地元の観客たちを黙らせたのは、ハリソンの放ったフォアハンドのリターンウィナーだった。
マイケル・ビーナス(ニュージーランド)と組んで2017年フレンチ・オープン男子ダブルスで優勝したハリソンは、今年に行われたセルビアとベルギーに対するデビスカップ戦の双方で、アメリカの勝利に貢献していた。
ハリソンは、これほど素晴らしい経験あるパートナーを持てたことに、感謝していた。
「どこにいるべきか、何をすべきかについて彼が僕を助てくれたおかげで、僕の仕事はより容易になった。僕はただすべてのポイントのために戦い、自分の持てる武器を使い、マイクをを助けようと努めていた」とハリソンは言った。
クロアチアのドディグもまた、ブライアンに敬意を表していた。
「彼があの歳でいかに上手く自分のレベルをキープしているかは、実に驚くべきことだ」とドディグは言った。
「彼は変わらず世界最高のダブルス・プレーヤーの一角であり、そのことをコート上で証明し続けている。われわれ皆にとって、素晴らしいお手本だ」
金曜日の最初のふたつのシングルスで1セットも取れずに敗れていたアメリカにとって、このダブルスの結果は願ってもないことだった。
アメリカは自国のトップ2の選手を欠いている。17位のソックのほかにも、10位のジョン・イズナー(アメリカ)も今回は出場を見合わせたのだ。イズナーは現在、自宅で子供の誕生を待っている。
日曜日のシングルスでクーリエ監督は、ジョンソンの代役としてサム・クエリー(アメリカ)をチリッチ戦に送り込むこともできる。
「今はまだ、考え中だよ」とクーリエは言った。(C)AP(テニスマガジン)
※写真はアメリカのマイク・ブライアン(右)/ライアン・ハリソン
ZADAR, CROATIA - SEPTEMBER 15: Mike Bryan and Ryan Harrison of USA compete in the doubles match against Ivan Dodik and Mate Pavic of Croatia during day two of the Davis Cup World Group semi final doubles match between Croatia and USA at Visnjik sport center on September 15, 2018 in Zadar, Croatia. (Photo by Srdjan Stevanovic/Getty Images)
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