クロアチアが初日に2勝、アメリカ・チームはセレナの騒動に慎重な姿勢 [デ杯準決勝クロアチア対アメリカ]
男子テニスの国別対抗戦、デビスカップ・ワールドグループ準決勝「クロアチア対アメリカ」(9月14~16日/クロアチア・ザダル/クレーコート)。
デビスカップのアメリカ代表チームの選手たちは、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)がUSオープン女子シングルス決勝でコードバイオレーションを受けたことで起こった一連の騒動について、慎重な態度をとった。
それから、スティーブ・ジョンソン(アメリカ)、マイク・ブライアン(アメリカ)、ライアン・ハリソン(アメリカ)は、その試合でセレナを罰した審判であるカルロス・ラモスと顔を突き合わせることになった。彼が、クロアチアとの準決勝の主審を務めることになったからだ。
デビスカップでアメリカ代表監督を務めるジム・クーリエ(アメリカ)はAP通信に対し、「この一件は意見が分かれ、ある意味で政治的な問題のようになっているが、カルロスはただ、彼が理解している通りに規則を行使しただけだと我々は考えているよ」との見解を示した。
セレナは、日本の大坂なおみ(日清食品)にストレートで敗れた試合で、ラモスによって3度コード・バイオレーションを与えられた。セレナや、一部の批判者は、彼女が男子プレーヤーと同じように扱われなかったと難癖をつけていた。
「僕はこのことを間違ったふうに解釈してほしくないんだが、彼(ラモス審判)は、何年にも渡って僕の試合を裁いてきたように、(あの試合でも)規則を行使しただけだよ」とジョンソンはコメントした。
ジョンソンはまた、「僕はコーチングで警告を受けたことはないが、ラケットを壊したり、暴言などでは経験がある。それは、テニスというスポーツの一部だ。それがUSオープンの決勝だったから、ことが大きくなってしまったんじゃないかなと思う」と言い足した。
USTAの会長兼CEOのカトリーナ・アダムスが、デビスカップ抽選会の際に、脇でラモスに謝っているところを聞いた者もいる。USTAのスポークスマンは、アダムスはメディアとは話さず、またラモスも質問を受けることはない、と釘を刺した。
クーリエ監督は、ラモス審判に関してチームと話し合うことは何もない、と言った。
「我々は、試合をプレーしにここに来ているんだ。カルロスは審判をするためにここにいる。我々はそれ以外の、普通ではないような問題が起こるとは考えていないよ」
ラモスは規則を几帳面に適用する審判として知られているが、アメリカ・チームはコーチングの警告について心配する必要はない。デビスカップの試合では監督がベンチに同席し、試合を通してアドバイスを与えることが許されているからだ。
「彼はこれまでも常にフェアで、良識があり、重要な瞬間に決断を下してきた審判だった。僕は、それがいいか悪いかをジャッジする立場にはいない」とダブルス・スペシャリストのブライアンは言った。
「僕たちは皆、3度違反すればゲーム・ペナルティを食らうということを知っている」とブライアンは言い添えた。
「僕たちは、特にデ杯のフォーマットにおいて、そんな無茶なことをしようとは思わないよ。そんなことで1ゲームを奪われるなんて、馬鹿げたことだとわかっているさ」
クロアチアのトッププレーヤー、マリン・チリッチもまた、ラモスに対して敬意以外の何ものもい抱いていなかった。2014年USオープン・チャンピオンのチリッチは、「僕は、あまり多くのコードバイオレーションを食らうタイプの男ではない。僕はかなり冷静なほうなんだ」と自己分析している。
ぎりぎりになって、故障したジャック・ソック(アメリカ)の代役として呼ばれた世界ランク51位のハリソンは、USオープン女子決勝は「非常にぴりぴりした厄介な状況だった」と言った。
「大きな騒ぎを起こさずに、こっちだ、いやあっちが正しいとは言いにくい」とハリソンは言った。
「セレナが信じられないほど偉大で、カリスマ的存在だと我々は知っている。また、カルロスがそこにいるのは、彼はこのような重要試合を受け持つに値する審判だからだということも知っている」
「僕はカルロスのことを知っているが、彼が自分を難しいポジションに置くようなことを敢えてするような人間ではないことはわかっている。僕は、彼があのときに正しいと感じたことをやろうとしたのだと、心から信じているよ。ああいう熱くなった状況では、特にそれがグランドスラム決勝ともなれば、ことは非常に難しいものとなってしまう」
金曜日の試合では、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)がジョンソンを6-4 7-6(4) 6-3で下し、クロアチアの1勝目を挙げた。第2シングルスでは、デ杯デビューを遂げたフランシス・ティアフォー(アメリカ)をチリッチが6-1 6-3 7-6(5)で退けた。
土曜日のダブルスでは、イバン・ドディグ/マテ・パビッチ(クロアチア)がブライアン/ハリソンと対戦する予定で、日曜日には相手を入れ替えたシングルスが行われる。勝者は決勝で、フランス対スペインの勝者と対戦する。
この対戦でアメリカは、ふたりのトップ選手を欠いている。世界10位のジョン・イズナー(アメリカ)は、妻が初子の出産を予定しているため家にとどまった。また、17位のソックがブライアンと組んでUSオープンのダブルスに優勝する過程で腰を痛めてしまったため、チームを離れた。
「デビスカップに関して我々が知っていることは、(この大会では)ランキングはそう重要ではない、ということだ」とクーリエ監督は言った。
「デビスカップは、非常が予想がつきにくい大会だ。国のためにプレーしているという事実が、選手に違った形で影響を与えるんだ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真はデビスカップ・ワールドグループ準決勝「クロアチア対アメリカ」(クロアチア・ザダル)のオープニングセレモニーの様子
ZADAR, CROATIA - SEPTEMBER 14: Players of Croatia and USA teams stand during the opening ceremony prior to the Davis Cup World Group semi final single match between Croatia and USA at Visnjik sport center on September 14, 2018 in Zadar, Croatia. (Photo by Srdjan Stevanovic/Getty Images)
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ
Pick up
-
PR | 2024-10-20
『ノアから世界へ』——ノア・テニスアカデミー所属、駒田唯衣選手&富田悠太選手インタビュー
全国に35校のテニススクールを展開する業界大手の『ノアイ
-
2024-10-27
第63回テニマガ・テニス部「テニス丸ごと一冊サービス[増補版] 解説編』キャンセル待ち受付中
キャンセル待ち受付中=====テニマガ・テニス部 部活プ
-
2024-10-08
テニス丸ごと一冊サービス[増補版] QRコード(動画)付(堀内昌一 著)書籍&電子書籍
「テニスマガジン」のサービス特集をきっかけに、MOOK「テニ
-
2024-05-03
『テニスフィジバト道場』(横山正吾 著)テニスプレーヤーのための最新フィジカルトレーニング
Tennis Magazine extraシリーズテニスプレ
-
2024-02-05
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(荒木尚子/著)
子どもが主体的に動き出すために大人はどうかかわればよいのか(
-
2022-12-05
勝つための“食”戦略 『最新テニスの栄養学』(高橋文子著)
Tennis Magazine extra シリーズ最新テニ