日本にとって歴史的な一日----大坂は圧勝し、錦織は競り勝った [USオープン]
「USオープン」(8月27日〜9月9日/アメリカ・ニューヨーク/ハードコート)の大会10日目、男女シングルス準々決勝。
錦織圭(日清食品)はアーサー・アッシュ・スタジアムを見回し、日本人の観客たちに気づいた。
水曜日は、錦織が大坂なおみ(日清食品)の直後にプレーしたこともあり、USオープンは日本のテニスファンにとって必見のイベントとなった。
「日本の外で、母国のファンのサポートを得られるというのはいいものだ」と錦織は言った。
「僕らがふたりとも準決勝に進出したというのは、素晴らしいニュースだよ」
双方の選手が、この日の試合に勝ち――大坂は圧勝し、錦織は競り勝った――同じグランドスラム大会の男子シングルスと女子シングルスの準決勝に日本人選手が勝ち残る、という記念すべき日を母国に届けた。
錦織は、4時間8分を要した5セットマッチの末、マリン・チリッチ(クロアチア)に対して2-6 6-4 7-6(5) 4-6 6-4の挽回勝ちをおさめた。
大坂は、レシヤ・ツレンコ(ウクライナ)を57分のうちに6-1 6-1で圧倒し、今大会での5試合で3度目となる、1時間未満の試合を記録した。
「彼女は、たとえグランドスラム大会であっても、タイトルを勝ち獲ることは可能だと思う。彼女にとって、大きなチャンスだと感じている」と錦織は言った。
「また、僕自身もうれしいよ。昨年は故障していただけにね」
昨年後半から今年の初めにかけて、錦織をツアーから遠ざけていたのは右手首の故障だった。彼は春に調子を取り戻し始め、ここフラッシングメドウに戻って来たときには、第21シードになるまでに順位を戻していた。彼は金曜日に、第6シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦することになる。
一方、大坂はインディアンウェルズで自身初のマスターズ・タイトルを獲得し、ここニューヨークでも力強い進撃を見せている。彼女の次の相手は、2017年USオープン準優勝者のマディソン・キーズ(アメリカ)だ。
まだ3歳のときに、家族とともにニューヨークに引っ越したという大坂は、あるときから日本のメディアに追われてはいたが、それは違う理由からだと信じているようだった。
「それは、ケイがいるからだと思うわ」と、錦織が日本でいかに自分より大きな存在であるかを示すために、両手を大きく広げながら大坂は言った。実際、あまりに大きな存在であるがゆえに、ごく最近まで、彼女は緊張してまともに錦織と話しもできていなかったという。
しかし、ひとたび話してみると、多くの共通点があることを20歳の大坂は発見した。8歳年上の錦織は、彼女同様、ビデオゲームをプレーしたり、楽しいことをするのが好きな、『大きな子供』のようだったのだという。
「全般的に言って、彼は本当にいい人で、ポジティブで、陽気なの」と大坂は言った。
これ以前に、日本人男子と女子の双方が同じグランドスラム大会で準々決勝に進出したのは、1995年ウインブルドンで松岡修造と伊達公子がベスト8入りしたときのことで、そのときには、松岡、伊達の双方が、そのラウンドで敗れていた。
準決勝に揃って勝ち進んだ錦織と大坂は、ともに前進し続けたいと願っている。MLBロサンゼルス・エンゼルスのスター、大谷翔平が右肘に深刻な故障を負って手術を薦められたという、滅入るようなニュースが流れたその日、ふたりの勝利は、彼らの“野球の国”に景気づけを与えただろう。
錦織が4年前に、グランドスラム決勝に進出した初のアジア人男子プレーヤーとなったとき、何百人というファンたちが、彼の故郷である島根県松江市のパブリックビューイングのイベントに詰めかけ、コンベンションホールで彼に声援を送った。この週末には、そのようなイベントが2つ行われるかもしれない。
「僕らふたりともが、今週いいパフォーマンスができるよう願っている」と錦織は言った。
(APライター◎ブライアン・マハニー)(テニスマガジン)
男子シングルス準決勝
ラファエル・ナダル(スペイン)[1] vs フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)[3]
錦織圭(日本/日清食品)[21] vs ノバク・ジョコビッチ(セルビア)[6]
女子シングルス準決勝
セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)[17] vs アナスタシア・セバストワ(ラトビア)[19]
マディソン・キーズ(アメリカ)[14] vs 大坂なおみ(日本/日清食品)[20]
※[ ] 数字はシード順位
※写真はUSオープンの準決勝に進んだ錦織圭(右)と大坂なおみ(撮影◎毛受亮介)
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