1日2試合の選手は疲弊気味、ジョコビッチ、フェデラーら準決勝進出 [ウェスタン&サザン・オープン]
ノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、ずっと彼の手から逃れ続けていたタイトルに向け、さらなる一歩を踏んだ。ロジャー・フェデラー(スイス)もまたシンシナティで、獲得タイトルの記録にひとつ加えうる道の上にいる。
金曜日の夜、「ウェスタン&サザン・オープン」(ATP1000/アメリカ・オハイオ州シンシナティ/8月12~19日/賞金総額633万5970ドル/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で、ジョコビッチは出だしの自分のお粗末なプレーに腹を立て、ラケットをコートに叩きつけた。しかし、それから彼は巻き返し、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)を7-5 4-6 6-3で下して準決勝に駒を進めた。今大会は、ジョコビッチがまだ一度も優勝したことがない唯一のマスターズ(ATP1000)だ。
反対にフェデラーは、ここで7度優勝しており、これは大会史上最多の優勝回数となる。故障のため過去2年、出場を見合わせていた彼は、準々決勝で同胞のスタン・ワウリンカ(スイス)を6-7(2) 7-6(6) 6-2で破り、ベスト4に駒を進めた。
数日間の雨のため、準々決勝はスタミナのテストの場となってしまった。雨のために男子6試合、女子3試合が木曜日から持ち越されたのだ。
ジョコビッチは長い1日を終えたあと、観客を煽って声援を促し、こぶしを突き上げた。彼はまず、前年度覇者のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)を2-6 6-3 6-4で倒して、雨のために前夜から持ち越された試合を終わらせた。その数時間後にコートに戻って、自分よりしっかり休みをとっている対戦相手と戦った。
「正直言って、アップダウンが激しかった」とジョコビッチは言った。
ジョコビッチは過去に5度シンシナティの決勝に至っていたが、そのつど最後に敗れていた。彼は今、9つあるATPマスターズ1000の大会のすべてに勝った最初の男になろうと努めているところだ。
「だからこそ、僕はここに来ているんだ」と彼は言った。
「僕は大きなモティベーションを持っている。僕はいま準決勝に進出し、自分をいいポジションに置いた」
彼の決意の強さは、第1セットで見てとれた。自分のサービスを落としたあと、ジョコビッチはラケットフレ―ムの破片を飛び散らせながら、ラケットをコートに3度叩きつけた。彼は別のラケットを取り出すと、そこからよりよいプレーをし始めた。
「ラケットを壊すことを誇りには思わないよ。特に子供たちもいてその様子を見ているわけだから。そんな行為は誇れることじゃない」とジョコビッチは言った。「でも、ときに――感情の爆発が強すぎて、それを外に出してしまうんだ」。
彼は準決勝で、やはり金曜日に2度勝って準決勝に進んだマリン・チリッチ(クロアチア)と対戦する。チリッチは、カレン・ハチャノフ(ロシア)をフルセットの末に破って雨で持ち越された3回戦を終わらせ、それから、その日1試合しかなかったパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)を7-6(7) 6-4で退けた。
フェデラーは、最初の試合でレオナルド・メイヤー(アルゼンチン)を6-1 7-6(6)、72分で倒すと、それからコートを離れて少し休みをとり、ワウリンカと、ふたりにとってこの日2度目となる試合を戦った。
「自信が2倍になるよ」とフェデラーは言った。「1日に2試合をプレーするというのは、(そうではない場合と)非常に違うものだ」。
第3セットの最初のゲームは、雷のせいで22分開始が遅れた。試合が再開されたとき、フェデラーの調子は最高潮となり、彼はこの試合で初のブレークを果たして4-2とリードした。彼は最後のゲームでもふたたびワウリンカのサービスをブレークし、2時間16分で試合を終わらせた。
フェデラーは、試合が再開するか否か気を揉みながら、雷による中断で座っていたとき、疲れを感じていたという。しかし彼は、ふたたびウォームアップをしたあと、流れに乗ることに成功した。
「今夜はこれで終わりになるのかわからなかった。腰を下ろしたとき、(体が)重く感じられた」とフェデラーは振り返った。「でも何とか切り抜けることができてよかったよ」。
フェデラーまた、故障からのカムバックの途中にあるワウリンカに言葉を手向けることも忘れなかった。
「彼がツアーに戻り、いいプレーをし、いい動きをしていることをうれしく思う。だからその意味でもこの試合を楽しんだ。彼に対する試合はいつも厳しいが、今夜の大部分はフラストレーションを禁じ得ないものだったから、第2セットのタイブレーク、そして第3セットで抜け出す道をみつけることができてよかった」
フェデラーは準決勝で、第11シードのダビド・ゴファン(ベルギー)と対戦する。ゴファンは、第4シードのフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)を7-6(5) 7-6(4)で下して勝ち上がった。(C)AP(テニスマガジン)
男子シングルス準決勝
ノバク・ジョコビッチ(セルビア)[10] vs マリン・チリッチ(クロアチア)[7]
ダビド・ゴファン(ベルギー)[11] vs ロジャー・フェデラー(スイス)[2]
※[ ] 数字はシード順位
※写真は試合後のロジャー・フェデラー(スイス/左)とスタン・ワウリンカ(スイス)
CINCINNATI, OH - AUGUST 17: Match winner Roger Federer of Sweden shakes hands with Stan Wawrinka of Switzerland after their match on Day 6 of the Western and Southern Open at the Lindner Family Tennis Center on August 17, 2018 in Mason, Ohio. (Photo by Shelley Lipton/Icon Sportswire via Getty Images)
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