父の無言の檄で流れが変わり、ケニンがフェロに逆転勝利 [フレンチ・オープン]

今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の女子シングルス4回戦でソフィア・ケニン(アメリカ)が第1セットを落としたとき、彼女の父でコーチでもあるアレクサンダー氏は観客席の座る位置を変えて対戦相手のコーチのすぐ横にどすんと腰を下ろした。

 それは新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの中、ソーシャルディスタンスの規則を考えると近すぎる位置だった。

 ガラガラのフィリップ・シャトリエ・コートで非常に目につきやすかったアレクサンダー氏の動きが実際に結果に影響を与えたのか明確ではないが、主審はグランドスラム大会では許されていないコーチングで警告を与えた。

 2020年オーストラリアン・オープン優勝者のケニンによれば、父はただモチベーションを掻き立てることで助けようとしていただけなのだという。そしてそのあとすぐに、確かに試合の流れは逆転した。

 これ以前のケニンはツアーレベルのどのクレーコート大会でも準々決勝に進出したことがなかったが、ロラン・ギャロスでついにその段階に到達した。ボールを早いタイミングでとらえて相手に時間を与えないというカギとなる調整を行い、ケニンは男女シングルスで最後の地元選手だったフィオナ・フェロ(フランス)を2-6 6-2 6-1で退けた。

フレンチ・オープン2020|トーナメント表

「まず第一に、どうして彼女のコーチが父と一緒のセクションに座っているの?という感じだったわ」とケニンはコメントした。

「右側はシードが高い選手のための場所でしょう? 私は父がそっちの側に座っているものと想像していた。なぜ彼があそこに座っていたのか分からなかったわ」と21歳のケニンは肩をすくめながら言った。ケニンは第4シードで、世界ランク49位のフェロがノーシードだ。

「ええ、父はあそこに座って私を助けようとしてくれていたの。ただあそこに座っていたの…。そしてそれは機能した。それについて、それ以上言うべきことは何もないわ」

 フェロのコーチであるエマニュエル・プランク氏のほうはどうだろうか?

「試合のすぐあと、彼(プランク氏)は私に、『君はソフィアをやっつけることができなかったけど、自分も彼女の父親を追い払うことができなかったよ』と言ってたわ!」とフェロは笑いながら話した。

 1年前のパリで、ケニンは3回戦でセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)に対して番狂わせを演じることで自分の能力を世界に知らしめた。

「クレーコートはかつて、あまり好きではないサーフェスだった。でも今は明らかに、私はこのサーフェスでのプレーを楽しんでいるわ」とケニンは語った。

 彼女は次の相手が誰かを知るのに、あと1日待たなければいけない。というのも屋根のないスザンヌ・ランラン・コートで予定されていた第30シードのオンス・ジャバー(チュニジア)とダニエル・コリンズ(アメリカ)の試合は、雨のために延期されてしまったからだ。

 ボトムハーフのもうひとつの準々決勝は、第7シードでウインブルドン優勝歴2回のペトラ・クビトバ(チェコ)とラウラ・シグムンド(ドイツ)の顔合わせとなっている。(APライター◎ハワード・フェンドリック&ジェローム・パグマイア/構成◎テニスマガジン)

※写真はソフィア・ケニン(アメリカ)
PARIS, FRANCE - OCTOBER 05: Sofia Kenin of The United States of America plays a backhand during her Women's Singles fourth round match against Fiona Ferro of France on day nine of the 2020 French Open at Roland Garros on October 05, 2020 in Paris, France. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

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