グランドスラム初制覇の15年後、フェデラーはタイトル防衛を目指す [ウインブルドン]
今年3大会目のグランドスラム「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦7月2~15日/グラスコート)が、7月2日(月)に開幕する。
15年を遡り、2003年ウインブルドンの開始時に戻って、当時のロジャー・フェデラー(スイス)がどのような状態だったかを振り返ってみよう。
当時、彼は21歳だった。彼はまだATPランキングで1位に至っておらず、グランドスラム大会にまだ一度も優勝したことがないだけでなく、一度も準々決勝以上に進んだことがなかった。彼は1ヵ月前にフレンチ・オープンで1回戦負けを喫したばかりのところで、1年前のウインブルドンでもやはり1回戦で敗退していた。
2週間後、ついにすべてが成されあと、フェデラー金色のトロフィを揺すって泣いていた。
そして今? フェデラーの37歳の誕生日が迫る中、月曜日にウィンブルドンが始まるとき、彼は前年度覇者としてセンターコートで最初の試合を戦う栄誉に授かることになる。彼は1年前、そのグラスコートでのグランドスラム大会で、記録的8度目のタイトル獲得を果たし、今年1月のオーストラリアン・オープンで優勝することにより、男子シングルスにおけるグランドスラムのタイトル獲得数を史上最多の「20」に伸ばした。
「あとどのくらい長くもつかはわからない」とフェデラーは言った。「まったく見当がつかないよ」。
彼は自分の成功について話していたが、もしかすると、彼の最大のライバル、ラファエル・ナダル(スペイン)と彼が現在見せている、二者による覇権のことも指していたのかもしれなかった。
32歳のナダルは、2003年にはまだグランドスラム大会に出場していなかった。現在彼は、自身17度の優勝を遂げ、グランドスラムのシングルスでの優勝総数でフェデラーに次ぐ2位につけており、その中には6月初頭に成し遂げたフレンチ・オープンでの11度目のタイトルも含まれている。
特に、彼らの衰退に関しここ数年を通して言われていた多くの意見を鑑みると驚くべきことだが、フェデラーとナダルは、ここ6つのグランドスラム・タイトルを各々3つずつと、すべてふたりの間で分け合っている。これは、6つのグランドスラム大会をふたりで獲った2008年から2009年以来の最長記録だ。これには、多くの者たちによって史上もっとも素晴らしいテニスマッチとみなされている、2008年ウィンブルドン決勝でのフェデラーに対するナダルの第5セット9-7の勝利も含まれていた。
ふたりの最長連勝記録は2005年から07年にかけてのグランドスラム11大会連続タイトル独占で、この期間にはフェデラーが8つ、ナダルが3つのタイトルをつかんでいた。
「これは完成の域に達した成就だ。彼らは世界最高のプレーヤーたちであり、その体がかつてのように若くなくなったときにさえ、そのことを証明し続けている。ある者が変わらぬ意欲を持ち、しっかりと準備を行っているとき、才能と強い意思にとってかわれるものなど何ひとつない」とフレンチ・オープンのトーナメント・ディレクターで、元トップ5選手でもあり、フランスのデビスカップとフェドカップ監督だったギー・フォルジェ(フランス)は言った。
「若い選手は、いまだ遅れをとっている」
そう、長い年月が過ぎ去った今も、ロジャーとラファは、変わらず先を歩いているのだ。
もうひとつ兆候がある。フェデラーとナダルは2018年に、世界1位の座で6度ほど交替を繰り返した。1シーズンの間にこれほど1位が入れ替わったのは、1999年以来のことだ。現時点ではナダルが1位、フェデラーは2位だが、ふたりの間の差はわずか50ポイントに過ぎない。ウインブルドンのシード・システムは、グラスコート上での成功も考慮に入れるため、本戦ドローのシードでは、フェデラーが第1シード、ナダルは第2シードとなった。
彼らが第1、第2シードなったのは、初回の2010年以来5度目のことだ。他の4度のケースで、どちらかが優勝を遂げており、2008年と2010年はナダル、2006年と2007年にはフェデラーが大会を制した。
「彼らはすべてを勝ち獲った。彼ら2人ともが、すべてで、一度だけでなく、本当に何度も勝ったんだ」とロビン・ソダーリング(スウェーデン)は言った。ソダーリングは、2009年フレンチ・オープンでナダルを倒したあとに決勝でフェデラーに敗れ、2010年全仏では、フェデラーに対して番狂わせを演じたあとに決勝でナダルに敗れた男だ。
「でも、彼らはいまだ、ハングリーなんだ」
彼らは30代になるとスケジュールをより注意深く調整するようになり、フェデラーはクレーコートシーズンをスキップし、一方のナダルはウインブルドン前にグラスコートの公式戦に出ないという道を選んだ。
ナダルはウインブルドンで2度優勝し、3度準優勝した経歴を持つが、ここ最近はこの大会でちょっとした問題を抱え、ここ5年のうち4度は100位かそれ以下の相手に敗れ、一度も4回戦を超えるところまで歩を進めることができていない。
「ウインブルドンは、このところずっと我々にとって難しい場所だった」とナダルの叔父で元コーチのトニー・ナダルは言った。
「でも(ラファは)、もし肉体的にいい状態でさえあれば、いいチャンスを手にすることになると思う」
揃って手術を経てコートに復帰したノバク・ジョコビッチ(セルビア:肘)、アンディ・マレー(イギリス:腰)、スタン・ワウリンカ(スイス:膝)の前に立ちはだかったのも、健康の問題だった。
しかし今ここには、過去と同じくらいよい調子のフェデラーとナダルがいる。もしかしたら、これまでよりもよいと言えるほどかもしれない?
「わからない。何とも言えないよ。でもそれは、僕にとってそれほど重要なことじゃない。僕は自分が、かつてよりよい選手になっているよう願っている。ただ月日が過ぎ去ることの美徳ゆえに、そして向上を目指して大いに練習を積み、トレーニングしてきたわけだからね」とフェデラーは言った。
「でも、10年、15年前と比べ、今は違う時期にあるんだ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真はロジャー・フェデラー(スイス)
LONDON, ENGLAND - JUNE 28: Roger Federer of Switzerland practices on court during training for the Wimbledon Lawn Tennis Championships at the All England Lawn Tennis and Croquet Club at Wimbledon on June 28, 2018 in London, England. (Photo by Matthew Stockman/Getty Images)
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