セレナ対マリアの歴史をひも解く [フレンチ・オープン]
この14年間で21度行われてきたセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)対マリア・シャラポワ(ロシア)は、女性スポーツの中で長期に渡り、多面的で偏ったライバル関係だと言える。
この両者の対決の物語は、月曜日に行われるフレンチ・オープン4回戦でその続きが見られるだろう。
彼女たちはお互いのテニススタイルや実績に敬意を表している。歴史上、もっとも稼いだ女性アスリートであり、これまで2人の激突だけによる賞金だけでも100億円以上を分け合っている。2人はともに苦しい幼少時代を過ごし、その後は激しい競争の中で、女子テニス界の新たな道を切り開き、次世代の選手たちをより高いレベルに引き上げてきた。
共通点も多いが、小さなケンカによって危うい関係に何度も亀裂が入ってきたが、それによって2人の関係性が完全に失われたことはない。
ここで2人の関係を項目ごとに振り返ってみる。
オンコート:もしセレナがいなければ、シャラポワはこれまでにグランドスラムで5回以上は優勝していたはずだ。シャラポワはグランドスラムでの8度の対戦で7度も敗れている。その中にはオーストラリアン・オープン決勝(07年、15年)、2013年フレンチ・オープン決勝も含まれている。シャラポワがセレナを倒したのは、どちらも2004年のことだ。17歳で迎えたウインブルドン決勝でセレナを破り、その4ヵ月後にはWTAチャンピオンシップで倒している。それ以後はセレナが18連勝中だ。その間にシャラポワはわずかに3セットしか取れておらず、2013年以降の7試合ではすべてストレート負けを喫している。
オフコート:2人とも元世界ナンバーワンだが、まったく異なる理由からカムバックを目指している。シャラポワは2016年に、多くのロシアや東欧のスポーツ選手が使用してきたメルドニウムが、世界アンチドーピング機構によって禁じられたあとに陽性反応が出たため、15ヵ月の出場停止処分を科された。それに対し、セレナは昨年9月に第一子のアレクシス・オリンピアを出産したときの緊急帝王切開、分娩後の合併症からの復帰に苦しんできた。
幼少時代:シャラポワの両親、イェレナとユーリはチェルノブイリの原発事故のあと、当時住んでいたベラルーシのホメリから避難した。そのときイェレナは妊娠しており、マリアの出産を控えていた。マリアはビザの関係や貧困を理由に6歳で母と別れて父とともにフロリダへ移り住んだ。セレナは姉のビーナスとともにカリフォルニア州コンプトンのコートでテニスを始めた。だが、その街は殺人事件の発生率が高く、アメリカの中でもっとも危険な街のひとつと言われていた。彼女たちの異母妹はギャング同士の銃撃事件で亡くなっている。
小さなケンカ:セレナは月曜日の試合に向けて、シャラポワが昨年出版した自伝「アンストッパブル~私のこれまでの人生」を批判する形で先制攻撃。2004年のウインブルドン決勝で敗れたあと、セレナがロッカールームで泣いたことに触れているのが気に食わなかったようだ。2013年にはお互いの恋愛関係について批判し合うこともあった。(C)AP(テニスマガジン)
※写真は2016年オーストラリアン・オープンの準々決勝を終えて健闘を称え合うセレナ(左)とシャラポワ
MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 26: Maria Sharapova of Russia congratulates Serena Williams of the United States on winning their quarter final match during day nine of the 2016 Australian Open at Melbourne Park on January 26, 2016 in Melbourne, Australia. (Photo by Quinn Rooney/Getty Images)
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