スビトリーナを倒したブザネスクは博士号取得の才女 [フレンチ・オープン]
「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月27日~6月10日/クレーコート)の大会6日目。
博士号を取るほど学問の分野で精進したあと、ミハエラ・ブザネスク(ルーマニア)は対戦相手を負かすためにコートに戻ってきた。フレンチ・オープンの4回戦に進出するほどまでに。
30歳のブザネスクは、肩の故障によって上達を妨げられる前には、将来を嘱望されるジュニアだった。のちに2度に渡る膝の手術が彼女のプロとしてのキャリアを中断させ、そのため彼女はスポーツ科学で資格を取るため、ブカレストの学校に行くことを決めた。
健康を取り戻した今、彼女は通学用のバックパックをラケットバッグに代え、昨年にランキングで300段以上を駆け登った。そして金曜日に、ここまでのロラン・ギャロスで最大の番狂わせをやってのけた。
ウィナーの数で31対11の優位に立つアグレッシブなスタイルでプレーしたブザネスクは、第4シードであるだけでなく、大会の結果次第では世界1位になる可能性も擁し、何より優勝候補の一角とみなされていたエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)を6-3 7-5で倒して周囲を驚かせた。
「彼女のほうが上だった」とスビトリーナは言った。「だからこそ今日、彼女は勝ったのよ」。
それほどシンプルなことだった。
2週間前にローマで優勝し、フレンチ・オープンで2度準々決勝に至っているスビトリーナに対する自分の成功を、ブザネスクはこう表現した。
「私はただ、アグレッシブにプレーし、いいショットを待って、チャンスでは思い切っていきたいと思っていた」
ブザネスクは日曜日の4回戦で、準々決勝行きの切符をかけ、昨年のUSオープン準優勝者で第13シードのマディソン・キーズ(アメリカ)と対戦する。キーズは第21シードの大坂なおみ(日清食品)を6-1 7-6(7)で破って勝ち上がった。
金曜日に勝って次のラウンドに進んだ選手の中には、第2シードのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)、第14シードのダリア・カサキナ(ロシア)、第26シードのバーボラ・ストリコバ(チェコ)、ノーシードのユリア・プティンセバ(カザフスタン)らがいた。
ブザネスクが、どこからともなく現れたように見えるとしたら――「彼女の名字をなんと発音すればいいのか知らないわ」とキーズは言った――それは実際にそうだったからだ。
2度目の膝の手術のあと、かなり長い期間コートから離れていたブザネスクは、ツアーで総じて2年半を棒に振るというなら、キャリアのプランをバックアップするための計画が必要だと考えた。
それゆえ、彼女は学校に戻り、博士号取得に向けて精進したのだ。
「私は、“もしテニスをプレーしないのであれば、ルーマニアか外国のどこかで仕事を見つけるため、(資格を取ることが)履歴書上での助けになるかもしれない”と考えたの」とブザネスクは振り返った。
しかしながら、最終的に彼女は体調を取り戻し、テニスコートに戻ってきた。
約1年ほど前のこの時期、左利きのブザネスクは世界ランク377位だった。それからここまでの間に、特により下のカテゴリーの大会で75試合以上に勝った彼女は、33位にまでランキングを駆け上がり、パリでは第31シードとなっていた。
今週までの彼女は、1つのグランドスラム大会本戦で、こうも勝ったことはなかったのだ。全仏までの彼女のグランドスラムでの戦績は0勝2敗で、この双方のケースでウォズニアッキに敗れていた。
偶然にも、15年ほど前、ふたりはジュニアで一緒だった。
「彼女はずっと素晴らしい選手だったわ。でもそれから、多くの故障を被ることになってしまった。彼女は戻ってくるために、戦わねばならなかったのよ。彼女には(トップでやっていくための)レベルがあるということは、ずっと分かっていたわ」とウォズニアッキは言った。
「彼女のランキングが上がり、大会でシードがつくようになるのは、時間の問題だと分かっていた」
ウォズニアッキが予見していたように、ブザネスクは今、教育のある強敵なのである。
(APライター◎ハワード・ヘンドリック)(テニスマガジン)
※写真はミハエラ・ブザネスク(ルーマニア)
PARIS, FRANCE - JUNE 01: Mihaela Buzarnescu of Romania celebrates victory during the ladies singles thrid round match against Elina Svitolina of Ukraine during day six of the 2018 French Open at Roland Garros on June 1, 2018 in Paris, France. (Photo by Cameron Spencer/Getty Images)
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