変わらずバッドボーイ、71歳のナスターゼが1日に2度逮捕される

 5月25日の金曜日、元テニス・プレーヤーのイリー・ナスターゼ(ルーマニア)が、母国ルーマニアで6時間の間に2度逮捕されるという事態がおきた。彼はまず、飲酒運転の嫌疑と、アルコールテストを受けることを拒否したことで逮捕され、その後、スクーターで信号無視をしたため、ふたたび捕らえられた。

 ナスターゼのアルコールレベルは0.55mgで、ブカレストの警官ビクトル・ジルセアバ氏によれば、これは法的に許容されるレベルをはるかにこえ、最高5年の実刑を課される可能性があるという。

 警官は最初、71歳のナスターゼを午前4時45分頃に止めた。彼はブカレストのヘレストロ・パーク・エリアで夜遊びをしたあとに運転しており、見るからに酔っていたにも関わらず、ビールを3杯飲んだだけだと主張。ジルセアバ氏によれば、ナスターゼは車を止めず、警官が彼の車をブロックしなければならなかった。

 警察はほかに誰が車の中にいたのかについて言及することを拒否したが、ルーマニアのテレビはふたりの女性と一緒だったと報じている。現在4番目の妻、ブリジットとの離婚手続き中であるナスターゼは、夜遊び好きなことで知られていた。

 元USオープンとフレンチ・オープン優勝者で、70年年代から80年代の初頭にバッドボーイとして名をはせたナスターゼは、アルコールテストの機器に息を吹き込むことを拒否。警官は彼を車から降ろし手錠をかけた。

 警察が、飲酒運転とテスト拒否について取り調べを開始することを決め、ナスターゼはのちに釈放された。

 しかしその約6時間後、ナスタ―ゼがスクーターで信号無視をしたため、警察はふたたび彼を逮捕したのだ。最初の事件のあと、彼の運転免許証は、使用停止となっていた。

 ナスターゼは警官に手荒な扱いを受け、最初の逮捕の際に、地面に投げ倒されたと主張した。

 2度目に逮捕されたとき、ナスターゼが警察をあざけり、共産党時代の市民軍のようにふるまっていると言って彼らを非難しているところは、ビデオに収められていた。2度目の逮捕の際にナスターゼは警察の車に乗り込み、警官のヘルメットを頭に乗せた。

 彼は1時間ほどの尋問をうけ、警察署をあとにしたとき、アルコールテストを拒否したのはおそらく間違いだったと認めていた。

 不運なニュースはこの逮捕ではとどまらなかった。のちにナスターゼは、フェイスブックに投稿したメッセージを通し、金曜日に姉が亡くなり、打ちひしがれている、プライバシーを尊重してほしい、と告げていた。

「厳しいときには、サポートと理解が必要だ」とナスターゼは言った。

 この逮捕の一件でナスターゼは、警察の仕事を妨げたことで1000レイ(約253ドル)の罰金を科され、免許証は3ヵ月の使用停止となった。その上で彼は、飲酒運転とアルコールテスト拒否のため、起訴されることになる。

 かつて世界的トッププレーヤーだったナスターゼは、テニスコート上での予測がつかず感情の起伏の激しい振る舞いによって知られていた。試合での感情の激発ゆえ、かつてナスティ(不快な、陰険な、意地悪な、の意)とあだ名されていた。

 彼はこれらの特徴を、引退後も保持していたようだ。

 昨年、ナスターゼは、ルーマニアのフェドカップ監督として臨んだイギリス戦で、相手選手のジョハナ・コンタ(イギリス) と審判を侮辱したことで罰金を受けていた。また、彼はイギリスのアン・ケタボンヌ監督に性的な意味で言い寄ったとも言われている。

 それとは別に、ネット企業の実業家であるアレクシス・オハニアンと結婚したセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)の肌の色に関しての、人種差別的ともとれるコメントについて、彼は国際テニス連盟(ITF)からのお咎めを受けていた。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は昨年のマドリッド・オープンの観戦に訪れたイリー・ナスターゼ(ルーマニア)
MADRID, SPAIN - MAY 14: Ilie Nastase attends the match between Rafael Nadal of Spain and Dominic Thiem of Austria in the final during day nine of the Mutua Madrid Open tennis at La Caja Magica on May 14, 2017 in Madrid, Spain. (Photo by Julian Finney/Getty Images)

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