フェデラーが初戦でコキナキスに敗れ、世界1位の座から陥落へ [マイアミ・オープン]

 アメリカ・フロリダ州マイアミで開催されている「マイアミ・オープン」(WATP1000/3月21日~4月1日/賞金総額890万9960ドル/ハードコート)の男子シングルス2回戦で、ビッグサーブが武器で予選から勝ち上がった175位のタナシ・コキナキス(オーストラリア)がセットを先取されながら巻き返し、3-6 6-3 7-6 (4)でロジャー・フェデラー(スイス)を下す番狂わせを演じた。

 史上最年長の世界1位だったフェデラーは、この敗戦のせいで、4月2日にランキングが更新されるときには、1位の座をラファエル・ナダル(スペイン)に譲り渡すことになる。

 フェデラーが土曜日、インディアンウェルズ決勝に続き2試合連続で敗れ、世界1位の座を失った。

「この試合のあとには、僕は1位の座を失うに値すると言えるだろう」とフェデラーは言った。

「そんなふうに、今感じている」

 コキナキスは、世界1位を倒した選手としては、2003年にレイトン・ヒューイット(オーストラリア)を下した178位のフランシスコ・クラベト(スペイン)に次いでランキングの低い選手となった。

「かなりクレイジーな出来事だ」と21歳のコキナキスは言った。

「僕はこのことを、かなりうれしく思うね」

 フェデラーは、2014年以来初めて2試合連続で試合を落としたことになるが、これは、年頭にキャリア最高の17連勝をやってのけたあとにきた下降だった。彼は日曜日、インディアンウェルズの決勝でフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)に敗れており、これもまた、勝ったもの勝ちのタイブレークを落としての際どい敗戦だった。

 このふたつの敗戦には、共通点があるのだろうか?

「ああ、第3セットが6-7だったことだ」とフェデラーは言った。

「それ以外には、それほど似たところはない」

 身長194cmのコキナキスは、落雷のように強烈なサービスとフォアハンドのおかげで、長く将来有望な逸材とみなされていたのだが、その後故障に悩まされ、伸び悩んでいた。ふたりは一緒に練習したことはあったとはいえ、これはコキナキスにとって、フェデラーとの初対戦だった。

「僕は前からずっと、彼のテニスが好きだった」とフェデラーは言った。

「彼が大きな舞台でその力を見せることができたことについて、彼のためにうれしく思う。彼のキャリアで、これは大きな戦果だ。このことで、彼がよい軌道に乗ることを願っているよ」

 この敗戦により、フェデラーは世界1位の座からも大会からも去ることになった。

 女子世界1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)は、同日のより早い時間帯にアグネツカ・ラドバンスカ(ポーランド)に6-3 2-6 3-6で敗れた。優勝歴8回のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、優勝歴6回のノバク・ジョコビッチ(セルビア)もまた、すでに初戦で敗退していた。

 そして、フェデラーが世界1位の座を取り戻すためにすぐにプレーすることはない。彼は、フレンチ・オープンを含めた来たるクレーコートシーズンを、2年連続でスキップするつもりだと言った。

 ナイトセッションに先立つスタジアムのセレモニーでは、ツアーのプロたちが、先月の無差別退場銃殺事件の犠牲者たちのための資金調達キャンペーンを促進するため、マジョリティ・ダグラス高校の少年少女たちに加わった。

 フェデラーの試合は、彼がサービスゲームでお粗末なプレーをし、第2セットの第4ゲームでラブゲームでのブレークを許して1-3とリードされた際に、流れを変えた。

「あのゲームで僕は気合いを入れて頑張り始め、彼にプレッシャーをかけたんだ」とコキナキスは言った。

「ここから、僕が主導権を握り始めた」

 コキナキスはその後、2度とサービスゲームをブレークされることはなく、彼のサービスのスピードは非常に頻繁に時速200kmを越えていた。

「チャンスを手にするたびに、悪いことが起きた」とフェデラーは振り返る。

「自分自身の判断ミス、彼のよい判断…がっかりだ。今日、どうして満足できるレベルに至れなかったのかが、分からない」

 フェデラーは、あるラリーで、背中の後ろでボレーを打ったが、最終的にそのポイントを取ることはできなかった。それから彼は笑ったが――それは試合の序盤のことだ――2時間後に終わりが近づいたときには、その表情は険しくなっていた。

 マッチポイントで、フェデラーはバックハンドのリターンをネット下段に打ち込んだ。コキナキスは勝利を祝って叫び、人差し指を振り、目の高い観客たちからのより大きな歓声を求めるジェスチャーをした。

 コキナキスは、この試合を通し――そして始まる前ですら――ファンたちがはっきりとフェデラー贔屓だったことは、気にならなかったと言った。

「僕がコートに出て来たとき、あまり応援の声はなかったね」とコキナキスは笑いながら言った。

「その少しあとに、彼がコートに出てきた。彼がやるあの誇らし気な歩き方で。僕は“こりゃ、かなりすごいぜ”と思った。彼があの特有の歩き方でコートの上を歩くと、観客たちは大熱狂した」

 出口への歩みは、ここで3度優勝したフェデラーにとって、キービスケーンでの最後のものだった。この大会は来年から、マイアミ・ドルフィンズ・スタジアムに移転することになる。

 ナダルは、腰の故障のため今大会を欠場したにも関わらず、世界1位に返り咲くことになる。ナダルはまた、インディアンウェルズも欠場していた。

 反対に、コキナキスはやっと健康な体を取り戻した。このマイアミ・オープンは、彼にとって、ここ7ヵ月で5大会目に過ぎなかったが、彼は、フェデラーを倒すことは可能だと思っていた、と明かした。

「僕が自分で思うようにプレーできるときには、僕と張り合える選手はそういないと感じる」とコキナキスは言った。

「僕はただ自分のテニス、アグレッシブなテニスをプレーする必要があるだけだったんだ」(C)AP(テニスマガジン)

※写真は2回戦で対戦したロジャー・フェデラー(スイス/左)とタナシ・コキナキス(オーストラリア/右)
KEY BISCAYNE, FL - MARCH 24: Roger Federer of Switzerland meets Thanasi Kokkinakis of Australia at the net after he was defeated in three sets during Day 6 of the Miami Open at the Crandon Park Tennis Center on March 24, 2018 in Key Biscayne, Florida. (Photo by Al Bello/Getty Images)

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles