29度目の姉妹対決はビーナスがセレナに勝利 [BNPパリバ・オープン]
アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズで開催されている「BNPパリバ・オープン」(3月7~18日/WTAプレミア・マンダトリー/賞金総額864万8508ドル/ハードコート)の女子シングルス3回戦。
姉妹のひとりは、出産後のカムバックを始めたばかりで、ややさび付いている。もうひとりは、世界トップ10に返り咲き、第2の春を経験中の37歳だった。
20年前に望まずして始まったライバル関係は、月曜日の夜、新しい章を迎えた。インディアンウェルズの3回戦で、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)が妹のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を6-3 6-4で破り、姉妹対決で2014年以来となる勝利を挙げたのである。
これは、17歳のビーナスと16歳のセレナが1998年オーストラリアン・オープン2回戦で対戦したときに次ぐ、大会の早い段階での対戦だった。
ふたりはその日、昨年のオーストラリアン・オープン決勝以来の対戦に臨んだ。その決勝では、すでに妊娠していたセレナが姉を破り、23度目のグランドスラム・タイトル獲得を果たしていた。
「これはすごく大きなニュースになるだろうね。たぶん今年1番のストーリーに」と男子世界1位のフェデラーは、セレナのカムバックについてコメントした。
「彼女が大いにプレーし、カムバックの過程を楽しみ、調子を戻していけるよう願う。どれほど高いところまでいけるか誰にもわからないよ? それは重要ではないとはいえ、彼女が今それをやっているのを目にするのは、素晴らしいことだよ」
しかし、この夕べは、ビーナス叔母さんのものとなった。
彼女は、総じて1時間半かかったこの試合を、2度目のマッチポイントでものにした。セレナのフォアハンドのサービス・リターンがコートを割ったとき、試合に終止符が打たれたのだが、これはセレナの41本目のアンフォーストエラーであり、そのうち17本がフォアサイドからのものだった。
「現時点で、私は彼女より多くの試合数をこなしているという点で、ラッキーだったわ」とビーナスは試合後のコート上で言った。
「彼女は怒涛のようにカムバックしつつあった。私は(より早く)試合を終わらせるチャンスを手にしていたけど、そうできなかった」
ビーナスは、第1セットの第6ゲームでラブゲームによるブレークを果たし、4-2とリードした。彼女は、時速174キロと193キロのサービスエースを続けざまに決め、36分で力強くセットを締めくくった。
「当然ながら私は彼女のことをよく知っているけれど、間違いなく彼女は通常よりもいいプレーをしていたわ」とセレナは言った。
「彼女のサービスは非常に安定していた。彼女はただただ、すべてを見事にやってのけていた」
第2セットでのビーナスは、たちまち3-0、それから5-2とリードした。セレナのショットがコートを割って、姉に最初のマッチポイントを与える。しかしセレナは、バックハンドでダウンザラインにウィナーを打ち込み、デュースに持ち込んだ。ビーナスのフォアハンドがアウトし、それからダブルフォールトが出て、スコアは5-3に。セレナは次のゲームで、サービスエースと鮮やかなウィナーによって自分のサービスゲームをキープし、5-4と追い上げた。
次のゲームで、ビーナスは2本のブレークポイントに直面したが、セレナのフォアハンドのアンフォーストエラー2本に救われ、デュースにこぎつけた。ビーナスはそこから踏ん張り返し、ふたりの29度目の対決を勝利で終わらせた。
「普通なら絶対ミスしないショットをミスしてしまった。もう少しだったのに」とセレナは言った。
「少なくとも、あれらはギリギリのミスだった。もう一息よ。私はまだ自分が至りたいレベルにはなっていないけれど、最終的には、そこに行きつくわ」
WTAツアーの対戦成績では、ビーナスが7勝7敗に追いついたが、セレナはいまだ、ふたりの総合対戦成績で、17勝12敗とリードしている。
「対戦しなければならなくなるたびに、すごく嫌なのだけれど、ひとたびコートに出れば、戦いを楽しんでいるわ」と先週末にセレナは語っていた。
「ただ試合後の感覚が、あまり好きではないの」
試合後、微笑むことなく片手で抱擁し合ったネット際の挨拶を見れば、それは明らかだった。ビーナスは通常どおり勝利のピルエット(バレエのくるりと回るしぐさ)をやったが、そうしながらもやはり微笑んではいなかった。
険しい表情のセレナは、右の人差し指を空に向け観客に挨拶しつつ、コートから退出した。
セレナは、14ヵ月の活動休止期間を経て、この大会からWTAツアーに復帰した。この14ヵ月の間に、彼女は娘のアレクシス・ジュニアを出産し、この日コートサイドで試合を見守っていたアレクシス・オハニアンと結婚した。
「これは私がこれまでプレーしたなかで最高のテニスで、それでも負けた、と言わなくて済むっていうのはいいことだわ」とセレナは言った。
「向上の余地は信じられないほど大きいわね」
通常、姉妹は大会の終盤に差し掛かかるまで、対戦しないで済んでいた。しかし、ビーナスが第8シードだった一方で、36歳のセレナは長い不在のせいで今回ノーシードだったため、3回戦での対戦が実現してしまったのだ。セレナは最初の2試合に勝ち、一方のビーナスは1回戦をBYEで免除され、初戦に勝って3回戦に至っていた。
「彼女(セレナ)は速やかにシードの立場に戻り、遅かれ早かれ大会で優勝し始めると思うわ」とビーナスは言った。
そのほかの試合では、第2シードのカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)、第7シードのカロリーヌ・ガルシア(フランス)、第10シードのアンジェリック・ケルバー(ドイツ)、第20シードのダリア・カサキナ(ロシア)、第21シードのアナスタシア・セバストワ(ラトビア)、第27シードのカルラ・スアレス ナバロ(スペイン)、ワイルドカード(主催者推薦枠)のダニエル・コリンズ(アメリカ)が4回戦に進出。前年度覇者で第24シードののエレナ・べスニナ(ロシア)は、ケルバーに5-7 2-6で敗れた。(C)AP(テニスマガジン)
※写真は3回戦で対戦したビーナス・ウイリアムズ(左)とセレナ・ウイリアムズ(右)
INDIAN WELLS, CA - MARCH 12: Venus Williams (L) of United States hug Serena Williams after her win over her sister during Day 8 of BNP Paribas Open on March 12, 2018 in Indian Wells, California. (Photo by Kevork Djansezian/Getty Images)
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