ペア競技の復元力 - 技術・戦術・メンタルを一本につなぐ、ダブルスの本質 -




ソフトテニスの緻密なペアリングから学ぶ、すべてのテニスプレーヤー必読の書

この本はソフトテニスを題材に書かれているが、ソフトテニスの技術や戦術を解説しているわけではない。テニスにおいても共通する、ペア競技ならではの〈戦いの構造(設計図)〉が書かれている。A5判、全320ページ。読み進めていくと、両競技とも同じように戦いの原点を意識するようになるだろう。そして、技術、戦術、メンタルが一本につながっていく、そんな感覚が生まれる本である。(テニスマガジンONLINE編集部)


試合で崩れても残る技術がある。
判断を誤っても立て直せる思考がある。
不安になってもやり直せるメンタルがある。
それらは才能でもなければ、偶然でもない。
試合は設計できるものであり、指導できるものだ。(朴 相俊)


本と著者を紹介

 著者の朴 相俊(パク サンジュン)氏は韓国生まれ。小学生の頃に始めたソフトテニスで恵まれた身体を武器に韓国ジュニア代表選手として活躍した。だが、「燃え尽き症候群」を経験して競技を離れた。

 20歳のとき、縁あって訪日すると、以来日本で学び続けること13年。日本で教育者となった。社会人となって落ち着いた頃にソフトテニスのプレーを再開し、全国大会で優勝するほどの実力者である。取り戻したソフトテニスへの情熱により、昨今は競技の国際的な発展を願い、国内外で普及活動家兼指導者としての活動も行っている(詳細は最下部のプロフィール参照)。
 
 そんな最中の2025年8月、不慮の事故で大怪我を負い、一時は全身麻痺による寝たきり生活を宣告された。だが、懸命のリハビリにより、今は少しずつ回復の道を歩んでいる。思うように身体が動かない時間を過ごす中で、何度も〈戻る〉という行為を繰り返し、その前に進めない状態が著者の指導観を大きく変えた。
 
 この本は、大怪我を負って倒れた著者が病院から一歩を踏み出したときに書き始めた本である。これまでにソフトテニスのプレーヤーをしながら、指導者として長く向き合ってきたテーマ、役割、配球、戦術、メンタルを整理し直そうと思ったのがきっかけだった。だが、その作業を進める中ではっきりとわかったことがあるという。ソフトテニスの試合を分けているのは、技術そのものではなく、人はどう判断し、どう迷い、どう立て直すか、その積み重ねなのだということを。本当に強いプレーヤーは、常に前に進めるプレーヤーではなく、崩れても、迷っても、戻ってこられるプレーヤーであるということに気づいたという。そして執筆の方向性を修正した。

 この本は、ソフトテニスがうまくなる方法を並べた技術書ではない。試合の中で人は何に縛られ、何に救われ、どこで立て直して、戦いの原点に戻るのかを整理した本である。技術、戦術、認知、メンタル、ペア関係を、それぞれ単独で扱うのではなく、試合の中で〈機能し続ける構造(型)〉としてとらえ直すことを試みている。すべては「戻り続けるための設計図」。“止まった身体”が教えてくれた指導の本質がここにある。
 
目次

Cover Message レンズの向こう側 - 撮影の背景と、私と朴さんのストーリー - 
写真・文◎篠原秀典(日本体育大学ソフトテニス部監督/ソフトテニス全日本ナショナルチーム男子監督)



はじめに
第1章 技術は「正しさ」より「再現性」で考える
第2章 前衛・後衛の役割は「配置」ではなく「判断」
第3章 戦術とは「配球」ではなく「心理操作」
第4章 試合を分けるのは「技術差」ではなく「認知の差」
第5章 メンタルは「才能」ではなく「設計」
第6章 ペア競技における信頼とズレのマネジメント
第7章 競技が止まった日、人生が再起動した
第8章 怪我を経験した指導者だから伝えられること 
―技術・戦術・メンタルを超えた「人を育てる視点」―
私の履歴書
おわりに
 

 





著者 Profile


朴 相俊(国際ソフトテニス指導者・プレーヤー・スポーツメンタル教育者)

パク・サンジュン◎1975年、韓国生まれ。小学校から高校までエリートコース(スポーツ強化)でソフトテニス競技に参加し、韓国ジュニア代表としてプレー。1995年、20歳で競技を離れた。大学3年時に休学して兵役に就き、任務を終えたのち1998年に来日。2010年に東京大学大学院教育学研究科身体教育学コースで修士・博士課程を経て、現在は長野県にある佐久大学で基盤教育を行い、並行して国内外のソフトテニス振興・普及活動を行っている。教育学修士、環境共生学博士、日本自殺予防学会編集委員、信州公衆衛生学会理事、日本認知・行動療法学会認定行動療法士。2010年からプレーを再開しており、全日本クラブ選手権や関東オープン(35歳の部)、全日本社会人ソフトテニス選手権(45歳の部)、東日本ソフトテニス選手権(45歳の部)で優勝など。指導者としては、韓国代表も含め、国内の大学・高校チームのメンタルサポート、自ら立ち上げたソフトテニスの地域クラブ「PSJクラブアカデミー(小中学生対象)」代表兼コーチ、実業団「ウェル・トレード・プロワカ」チーム監督。さらに、ソフトテニス普及活動を目的とした「一般社団法人World Challenge Project」を立ち上げ、普及活動家兼指導者として、指導者を対象にソフトテニス技術指導、スポーツメンタル教育、チームビルディング指導のほか、JSPO資格のコーチ講師を務める。国際ソフトテニス連盟ランキング委員会副委員長、日本ソフトテニス連盟特別委員会委員などの活動もある。
Instagram @seagullpark_2028(闘病日記更新中)

部員限定記事 検索

  • 部員限定記事一覧
  • 著者で選ぶ
  • レッスン内容で選ぶ
  • テーマで選ぶ
  • ジャンルで選ぶ

BOOK&MAGAZINE