ソックがマスターズ初制覇を果たし、ロンドン行き確定 [ロレックス・パリ・マスターズ]
フランス・パリで開催された「ロレックス・パリ・マスターズ」(ATP1000/10月30日~11月5日/賞金総額427万3775ユーロ/室内ハードコート)のシングルス決勝で、第16シードのジャック・ソック(アメリカ)が予選から勝ち上がったフィリップ・クライノビッチ(セルビア)を5-7 6-4 6-1で下して優勝を飾った。この結果、ソックはロンドンで開催されるATPファイナルズへの出場権を獲得した。
25歳のソックは大会序盤で早期敗退の危機もあったが、それを乗り越え、キャリア最高のタイトルを手にした。大会前にはロンドン行きはまったく眼中になかったというが、自身初のマスターズ・タイトルを獲得し、さらにロンドン行きも決めて、ロジャー・フェデラー(スイス)ら、すでに出場を決めているトップ6人に挑むことになる。
「大会が始まるとき、ロンドン行きはまったく頭になかった。行ける可能性があることも知らなかったんだ。でも最高の一週間になった。まだ実感がないけど、正直言って何と表現したらいいのかわからないよ」とソックはコメントした。
特に水曜日のカイル・エドマンド(イギリス)戦は大苦戦だった。2回戦で当たるにはあまりに厳しい相手で、最終セット1-5からタイブレークに持ち込み、奇跡的な逆転勝利をおさめた。
「もうオフにどこへ遊びに行こうか考えていたよ。でも、あの状況から反撃して逆転できたことを誇りに思う。あそこから盛り返して、今はこのトロフィーを手にしていることは、とてつもないことだと思う」
約100万ドルを獲得してパリをあとにしたソックは、ランキングを9位にジャンプアップさせて、すでにATPファイナルズでの戦いを見据えている。「いつものように大きくラケットを振って、自分のプレーをするだけさ。その瞬間を楽しむよ」と語った。
キャリア4つ目のタイトルをかけた決勝。ソックはランキング77位で予選勝者のクライノビッチからひとつ目のマッチポイントで勝負を決めた。最後のポイントでクライノビッチのバックハンドがアウトになったとき、ソックはコートに背中から崩れ落ちて両手で顔を覆い、その後、チームが座っているスタンドに飛び込んで喜びを分かち合った。
「昨夜は緊張であまりよく寝られなかった。でも、第2、第3セットで何とか解決策を見つけることができた」というソックは、今大会でアメリカ人としては1999年のアンドレ・アガシ以来の優勝となった。アメリカ人がマスターズを制したのは、2010年のマイアミでアンディ・ロディックが優勝して以来のことである。
「3月頃からかなりきついシーズンだった。今大会は、今季の最後の大会だから、いいプレーを見せてオフに入ろうと思っていただけだったんだ」というソックは、コップ一杯の水で今大会の優勝を祝うようだ。
クライノビッチによる予選勝者の決勝進出は、2012年のこの大会での、ジャージー・ヤノビッチ(ポーランド)以来のことだ。過去にATPツアーの決勝を戦った経験はなく、あるのはチャレンジャー5大会でいずれも勝利していた。
決勝に敗れたクライノビッチは、ベンチに腰掛け、失望に首を振りながら頭を垂れた。最終セットは疲れでエネルギー切れを起こしたようだ。「積極性が足りなかった。彼はどんどん調子を上げ、僕はサービスが特によくなかった」とクライノビッチは試合を振り返った。
それでも、次週は世界ランクが33位まで上がる。「予選から、自分よりランキングが上の選手を何人も倒してきた。だから、今大会はすべてがポジティブだ。今年は試合数が多かったから、いい気分で自宅へ帰り、オフを満喫できるよ」と笑顔を見せた。
第1セットはほぼ互角で、クライノビッチのほうがやや優勢だった。第12ゲームでソックから30-40となり、クライノビッチが初のセットポイントを迎えた。そこでソックがクロスへウィナーを狙うがネットにかけ、クライノビッチが第1セットを先取した。
第2セットはソックが徐々に調子を上げて競り勝ち、最終セットも第3ゲームをブレークしてから5ゲーム連取で一気に勝負を決めた。ソックは9本のサービスエースを決めて3度ブレークされたのに対して、クライノビッチのサービスゲームを6度ブレークした。
ソックにとっては、オークランド、デルレイビーチに続く今季3つ目のタイトル。すべてハードコートで獲得した。(C)AP(テニスマガジン)
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