勇気ある告発をしたトゥルンヘリッティにようやくサポート
3人のアルゼンチンの同胞が関わった八百長事件の証人を務めたあと、テニスの不正を調査する団体であるテニス・インテグリティ・ユニット(TIU)に「利用され、見捨てられたと感じている」と苦情を訴えていたマルコ・トゥルンヘリッティ(アルゼンチン)が、TIUからのサポートを受け取った。
前述の3人のプレーヤーたちはギャンブルに関わる違反行為で、結果的に活動停止処分を課せられていた。
水曜日に発表された声明文の中で、「TIUは通常、証人のアイデンティティを保護する(つまり名を明かさないようにする)が」と前置きした上で、「トゥルンヘリッティが証言したあとに個人的な非難を受け、彼が不正防止団体に協力した動機に疑念を投じる者がいたと理解している」と述べられた。
「トゥルンヘリッティ氏は終始、最高レベルの高潔さ、誠実さを持ち、このスポーツのためになることを考えて行動していた。不正を行おうとするものに反対するという彼の信念に基づく立ち位置と勇気は、敬意と賞賛に値するものである」とTIUは声明文の中でコメントし、「彼の法を遵守する姿勢と協力への感謝を、ここに公に表明したい」と言い添えた。
先月にAP通信に許したインタビューの中で、29歳のトゥルンヘリッティは「八百長に関する告発と証言をしたことは、自分自身と家族の生活に大きな影響を与えた」と打ち明けた。
彼によれば、正直であることの代償は他の選手達からの拒絶であり、そこからくるストレスが彼の健康とテニスにダメージを与えたという。トゥルンヘリッティはまた、「テニスの管理団体と捜査官たちに利用されたとあと見捨てられた」とも話していた。
「彼らはただ、僕を利用したんだ」とトゥルンヘリッティは4月にAP通信に語った。
「彼らは僕を海の真ん中に落としていった。本当にひどいことだ。それはこれまで見た中で最悪の処置であり、僕はいまだその代償を払い続けている」
結果的に3人のアルゼンチン人選手に処罰を課すことになった八百長事件の調査において、トゥルンヘリッティは重要な証人だった。この3人の中でもっともよく知られているのは、かつて世界ランク84位だったニコラス・キッケル(アルゼンチン)で、彼はこれまで八百長で有罪となった選手の中でもっともランキングの高い選手となっている。
TIUはキッケルの有罪を、彼がプレーを予定していたフレンチ・オープンの3日前に発表した。
キッケルは6年の出場停止処分を課されたが、うち3年は彼が今後さらなる違反行為を行わなければ免除される執行猶予付きのものだ。
また、パトリシオ・エラス(アルゼンチン)は5年の出場停止処分で、うち2年が執行猶予付きとなっている。八百長はしていないが、誘われた事実の報告を怠ったことを理由に罰を受けたフェデリコ・コリア(アルゼンチン)は8ヵ月の活動停止処分で、うち6ヵ月は執行猶予付きだった。
何度もTIUに連絡を取ったトゥルンヘリッティは自分の身を守ってほしいと頼んだが、当初は成果が得られていなかった。そしてその保護は、この水曜日にようやくもたらされた。
トゥルンヘリッティはAP通信に、「八百長はテニス界の公然の秘密であり、どんどんひどくなってきている」と話した。
「それはプレーヤーだけの問題ではない。多くのコーチも関与しているんだ。本当に多くのコーチたちがね。それは僕らが考えるより、ずっと多いんだよ」と彼は警鐘を鳴らした。
「もし精神的に弱かったら、そこに足を踏み入れることになる。そうなってしまうと、もう抜け出せない。簡単に手に入る金の中毒になってしまうからだ」(C)AP(テニスマガジン)
※写真は2017年のフレンチ・オープンでのマルコ・トゥルンヘリッティ(アルゼンチン)
PARIS, FRANCE - MAY 28: Marco Trungelliti of Argentina celebrate victory over Quentin Halys of France in the mens singles first round match on day one of the 2017 French Open at Roland Garros on May 28, 2017 in Paris, France. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)
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