イ・ダクヒ(韓国)はボールを宙に投げ、ATPツアー本戦での初めてのサービスを打った。それは大きな破裂音を立てながら対戦相手の横を飛び去った。

 この21歳の韓国人選手はその音を聴いていない。彼は生まれつき耳が聞こえないのだ。

 ツアー初の聴覚障害を持ったプロテニスプレーヤーとなった男は、世界レベルのツアー大会でプレーするに十分なだけ克服したその障害によって、定義づけられたくないという。

 この彼の初めての経験は少なくとも2回戦までは続くことになる。イは「ウィンストンセーラム・オープン」(ATP250/アメリカ・ウィンストンセーラム/8月18~24日/賞金総額80万7210ドル/ハードコート) のシングルス1回戦でヘンリー・ラクソネン(スイス)を7-6(4) 6-1で倒し、2回戦で第3シードのホベルト・ホルカシュ(ポーランド)と対戦する権利を手に入れた。

 この初戦の勝利がイと彼のキャリアに大きな意味を持つのと同じくらい、いやそれ以上に、これはすべてのスポーツにおける聴覚障害者にとって重要な意味を持つことだったかもしれない。

「(障害があるからと)挫けるべきではない。もし懸命にトライしたなら何だってできる。望むことを何だってやってのけられる」とイは通訳を通してコメントした。彼はまた「障害があるからといってがっかりし、できないと思ったり落ち込んだりしてほしくない」とも言い添えた。

 聴覚はテニスで特別な重要性を持っている。プレーヤーは頻繁に対戦相手のラケットのストリングからボールが離れる音を聞き、一瞬の間にスピンの種類を判別できるようポイント中には静寂を保つよう観客に要求している。

 イにはそれができないが、彼は対戦相手のスイング、彼がどのようにボールコンタクトを行ったか、またボールが自分に向かってくる過程のボールのスピードとスピンに鋭く集中し、目によってそれを補っている。

 事態をいっそう難しくしていることに、彼は英語を話さない。彼は手話を使う代わりに唇を読んでおり、コールに関しては審判の手振りを頼みとしている。

 スコアのアナウンスが聞こえないため、彼は頭の中でポイントやゲーム数を記憶する。これはコートサイドにスコアボードのない小さな大会で、より難しいことになる。これらのことは彼の本戦デビューの序盤にちょっとした支障を生んだ。彼はすでにゲームが決まっていたにも関わらず、サービスを打つためポジションについたのだ。

「試合中、たまに(主審が)シグナルを出すのを忘れたのだと思う」と彼は言い、「彼がインかアウトかのサインを出してくれたらと願っていた」と続けた。


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