拒食症を乗り越えメンタルも充実、トレビザンが予選から8強に躍進 [フレンチ・オープン]

 10年前、16歳になったばかりの頃だった。トレビザンは周囲の期待とプレッシャーに押しつぶされそうになり、一度テニスから離れている。母がテニスコーチで兄がプロとしてプレーしており、父は元サッカー選手という環境で彼女は育った。

 彼女は過去に拒食症を経験し、そこから回復している。その模様は2ヵ月前にブログで綴っていた。

「私は筋肉モリモリの体が嫌いで、体にとってギリギリのダイエットを行いました。そこから食べるのこと重要性、自分の傷と向き合い方、自分の新しい体に感謝することを学んだのです」

フレンチ・オープン2020|トーナメント表

 それから2014年に4年半の休みを経てテニスをふたたびプレーし始めると、1万ドルレベルの小さな大会に出場するなどして少しずつランキングを上げ、グランドスラムの予選にエントリーできるまでになった。そして予選敗退が9度続いてから、彼女は今年ついにブレイクスルーを果たしたのだ。

 今年1月のオーストラリアン・オープンで、トレビザンは初めて128人のトーナメント表にその名を連ねた。予選3試合を勝ち抜いた彼女は1回戦で、その大会を制したソフィア・ケニン(アメリカ)にストレートで敗れたのだった。しかしトレビザンは、そこでトップ選手と戦う準備ができていることを確認できたようだ。

「自信がついたわ。今いるところが私の場所だと感じている」

 キャリア最高の勝利を決めた瞬間、トレビザンはラケットを宙に放り投げた。バックハンドのロブを上げてその着地点が見えなかったようだが、バーテンズの表情を見れば試合が終わったことは分かった。

 トレビザンは笑みを浮かべながら、地元イタリアの記者たちと談笑していた。話題が賞金になると、2019年までに獲得した生涯賞金よりも多い33万ドル(約3500万円)を確保していたことを打ち明けた。自分の性格を聞かれると、「たくさん笑うようにしているの。でも悲しいときは、表情を見ればわかるらしいわ」と彼女は答えた。

 これまで経験した多くのことを乗り越えたトレビザンは、自分がツアーを転戦するレベルに戻れるという自信はあったようだ。

「でもまあ、ここまでのレベルは経験したことがなかったわ」と彼女は笑顔を見せた。(APライター◎ハワード・フェンドリック&ジョン・レスター/構成◎テニスマガジン)

※写真はマルチナ・トレビザン(イタリア)
PARIS, FRANCE - OCTOBER 04: Martina Trevisan of Italy celebrates after winning a point during her Women's Singles fourth round match against Kiki Bertens of the Netherlands on day eight of the 2020 French Open at Roland Garros on October 04, 2020 in Paris, France. (Photo by Clive Brunskill/Getty Images)

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