レッドクレーが織りなすロラン・ギャロスの光景に思いを馳せる

テニスファンにとって春のパリといえばフレンチ・オープン、ロラン・ギャロスのレッドクレーコート(フランス語ではテール・バテュ)だ。

 15日間の大会は本来なら今まさに開催されているはずだったが、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより開始は5月から9月後半に延期された。

 登場人物のキャストから時折起こる雨の侵入まで、フレンチ・オープンが他のグランドスラム大会と同様である部分はたくさんある。そして会場のグランドスタンド周辺に漂うクレープの香りからスタジアムの頂上にとまる鳩まで、ロラン・ギャロスならでは光景も同じくらいたくさんある。

 根本的な意味で際立つ違いは、コートサーフェスだ。それはウインブルドンのグラス、USオープンとオーストラリアン・オープンのハードコートとは本当に違う。

 パリのクレーはコート上でボールが遅くなり、ポイントが長くなる。それはある選手にとっては苛立ちとなり、ある選手には有利となる。

 それはまた、プレーヤーのシューズやソックス、シャツ、ズボン、ときには肌に文字通り錆のような色の跡を残す。

 スライドを使うなどフットワークは特殊なテクニックが必要となり、ときには選手の転倒につながることもある。

 それから例えばラファエル・ナダル(スペイン)がフランスで記録的12回のタイトルのひとつを勝ち獲ったあとにやる優勝のポーズのように、競技者が自ら地面に倒れてクレーコートの感触を楽しむ瞬間がある。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は2019年フレンチ・オープンで12回目の優勝を決めた瞬間のラファエル・ナダル(スペイン)(Getty Images)

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles