チョンがフルセット死闘の末に勝利、ルブレフはチョリッチを圧倒 [Next Gen ATPファイナルズ]
21歳以下のトップ8対決「Next Gen ATPファイナルズ」(イタリア・ミラノ/11月7〜11日)の4日目は準決勝2試合が行われ、第1シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)と第6シードのチョン・ヒョンが、それぞれ決勝進出を決めた。
最初に行われたルブレフ対ボルナ・チョリッチ(クロアチア)の試合は、試合を追うごとに調子を上げているルブレフが4-1 4-3(6) 4-1でチョリッチを圧倒した。
第1セットの第2ゲームで早くもブレークを果たしたルブレフは、難なくセットを先取。この日、明らかにミスが早かったチョリッチは、ルブレフの繰り出すフォアハンドの強打により何度となくしとめられただけでなく、自らのアンフォーストエラーに足を引っ張られた。
第2セットでは、なんとか食い下がってタイブレークに持ち込んだが、ルブレフのミスやダブルフォールトに助けられたにも関わらず、最後の2ポイントを自らのミスで献上することに。形勢を変えられないままなだれ込んだ第3セットでのチョリッチは、フラストレーションからラケットを2度にわたって地面に叩きつけ、警告を食らったこと以外では、あまり目をひくことができなかった。
試合後、チョリッチは、「自分のベストのテニスができなかったのは間違いないが、何より彼のプレーがよすぎた。彼は僕に挽回するチャンスを与えてくれなかった。彼のサーブが今日はすごくよく、それは予想外だった。言える唯一のことは、彼は今日、僕よりも上だったということだ」と、苛立った口調で言った。
一方、ルブレフは、「今日の試合は、今週でもっとも出来のいいテニスだった。明日、いっそういいテニスを見せられるよう願っている」と満足げ。決勝の相手、チョンにはラウンドロビン(2グループに分かれて総当たり戦)の初戦で敗れていたが、「明日、何かが変わるか見てみよう。あれは初戦で、僕は十分なだけアグレッシブではなかったし、僕はミスが多かった。明日はよりいいテニスができるよう願うよ」と言って、秘めた自信をにじませた。
チョンが、ダニール・メドベデフ(ロシア)を4-1 4-1 3-4(4) 1-4 4-0で破ったもう一つの準決勝は、流れが行き来する、白熱した好試合になった。厳しいコースを突いてラリーを支配するチョンが最初の2セットを簡単に取り、第3セットで先にブレークを果たしたときには、そのままあっさり終わるかに思われたが、そこからメドベデフが奮起。ミスを減らし、よりアグレッシブにプレーして次のゲームでブレークバックすると、みるみるうちに勢いを上げ、続く2セットを連取した。
第5セットでも、スコアとは裏腹に緊迫した凌ぎ合いが続いていたが、メドベデフのリズムが少し崩れた第2ゲームで、チョンがブレークに成功。最後まで競り合いながらも、重要なポイントを取ったチョンが、結局フルセットの戦いの勝者となった。
おそらくベストは尽くした手ごたえゆえに、負けたメドベデフは、それでも笑みを浮かべていた。
「僕のプランはバックハンド側に打って、そのあと自分のバックハンドでプレーすることだったが、彼のプレーはあまりによすぎた」と、試合後メドベデフは言った。「四六時中ダウン・ザ・ラインに打って、プレッシャーをかけてきたら、僕はただすべてのポイントで戦わなければならなかった。そうすることで流れを少し変えることに成功したが、試合に勝つことはできなかった」。
一方、チョンは、「厳しい試合だった。以前に対戦したことはないが、彼のサーブがいいのは知っていたから、いいリターンを心がけなければならず、それが最初は機能していた。3、4セット目には彼がすごくいいプレーをしていたから、僕は終わりまで気持ちを強く保たなければならなかった」と振り返った。
最終日である11日は、メドベデフとチョリッチが3位決定戦を戦ったあと、チョンとルべレフが決勝で対戦する。ラウンドロビンでルべレフに勝った試合をビデオで見直すか、と聞かれたチョンは、笑みとともにこう答えた。
「もう0時で遅いので、まず寝て、あとで考えます」
決勝
チョン・ヒョン(韓国)vs アンドレイ・ルブレフ(ロシア)
準決勝
○チョン・ヒョン(韓国)4-1 4-1 3-4(4) 1-4 4-0 ●ダニール・メドベデフ(ロシア)
○アンドレイ・ルブレフ(ロシア)4-1 4-3(6) 4-1 ●ボルナ・チョリッチ(クロアチア)
ラウンドロビン・グループ
グループA
アンドレイ・ルブレフ(ロシア)[1]、デニス・シャポバロフ(カナダ)[3]、チョン・ヒョン(韓国)[6]、ジャンルイジ・クインツィ(イタリア)[WC]
○チョン 1-4 4-3(5) 4-3(4) 4-1●シャポバロフ
○チョン 4-0 4-1 4-3(1) ●ルブレフ
○チョン 1-4 4-1 4-2 3-4(6) 4-3(3) クインツィ
○ルブレフ 1-4 4-0 4-3(3) 0-4 4-3(3) ●クインツィ
○ルブレフ 4-1 3-4(8) 4-3(2) 0-4 4-3(3) ●シャポバロフ
○シャポバロフ 4-1 4-1 3-4(5) 4-3(5) ●クインツィ
グループB
カレン・ハチャノフ(ロシア)[2]、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)[4]、ジャレッド・ドナルドソン(アメリカ)[5]、ダニール・メドベデフ(ロシア)[7]
○チョリッチ 4-3(2) 4-1 4-3(5) ●ドナルドソン
○チョリッチ 4-3(5) 2-4 4-1 4-2 ●メドベデフ
○チョリッチ 3-4(3) 2-4 4-2 4-0 4-2 ●ハチャノフ
○メドベデフ 2-4 4-3(6) 4-3(3) 4-2 ●ハチャノフ
○メドベデフ 3-4(3) 4-2 4-3(1) 4-0 ●ドナルドソン
○ハチャノフ 4-1 4-3(3) 4-2 ●ドナルドソン
Race to Milan ランキング(10月30日付)
Race to Milan(ATPランキング)選手名(国名)年齢|2017年の主な戦績ほか
1位(4位) アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)20歳 |ATPファイナルズ出場(今大会欠場)
2位(35位)アンドレイ・ルブレフ(ロシア)20歳|ウマグ(ATP250)優勝
3位(44位)カレン・ハチャノフ(ロシア)21歳|ハレ(ATP500)ベスト4のほか、4大会でベスト8
4位(49位)デニス・シャポバロフ(カナダ)18歳|モントリオール(ATP1000)ベスト4
5位(51位)ボルナ・チョリッチ(クロアチア)20歳|マラケッシュ(ATP250)優勝
6位(54位)ジャレッド・ドナルドソン(アメリカ)21歳|シンシナティ(ATP1000)ベスト8
7位(54位)チョン・ヒョン(韓国)21歳|ミュンヘン(ATP250)ベスト4、バルセロナ(ATP500)ベスト8
8位(63位)ダニール・メドベデフ(ロシア)21歳|チェンナイ(ATP250)準優勝のほか、7大会ベスト8以上
56位(294位)ジャンルイジ・クインツィ(イタリア)21歳|2013年ウインブルドン・ジュニア優勝
※トップ写真はチョン・ヒョン
MILAN, ITALY - NOVEMBER 10: Hyeon Chung of South Korea returns a forehand in his match against Daniil Medvedev of Russia during the semi finals on day 4 of the Next Gen ATP Finals on November 10, 2017 in Milan, Italy. (Photo by Emilio Andreoli/Getty Images)
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