Topic6|修正能力の必要性|堀内昌一先生×鈴木貴男プロ×高田充コーチ_特集「本気でサービス2010」
本誌最強サービス指導陣の堀内昌一先生、鈴木貴男プロ、高田充コーチの3人がお届けするサービスレッスン。サービスにおいてもっとも多いと考えられる欠点弱点を7つのトピックとしてピックアップし、その問題点を話し合い、解決策を導いていただいた。今回は「 Topic6|修正能力の必要性」だ。【2010年10月号掲載】
静止して打つサービスは、試合中も修正可能
ただ「打つ」「入れる」だけではダメ×
→欲しいサービスを手に入れるためには、自分のサービスを診断しないといけない
Q 相手より先に自分から打つことができる唯一のショットであるサービスを、よりよくしていくための方法を教えてください!
サービスは、最初は複雑で難しい
でも、静止して打てるから
いくらでも修正して上達できる!
サービスは、これまで(Topic1〜)お話ししてきた通り、メカニカルな課題がすごくあって、やらなければならないことがたくさんあります。「グリップ(コンチネンタル)」「スタンス(クローズド)」「体のひねり戻し(回転運動)」「左手と右手の入れ替え」「動作方向と打球方向の違い」などに加え、球種をつくり、精度を確認し、上げていかなければいけませんから、これで『サービスは簡単!』とは言えません。
しかし、テニスの中で唯一、静止して打てるサービスは、いくらでも修正することができます。他のショットは、相手が先に打ち、合わせて動きながら打たなければならないもので、これをインプレー中に修正していくのは非常に難しくなります。しかし、試合中もどんどん修正していくことができるのがサービスです。
修正の方法はーー私は、自分で自分のサービスを解説できるようにすることから始まると思います。みなさんは自分のサービスを事細かに解説できますか? これでサービス力がわかります。
「今はなぜ失敗したんだろう」「今のはこうだった」に始まり「そうだ、トスアップが速かった」「タイミングがずれていた」「ボールが浅かったのは膝の屈伸が悪かった」などを解説できれば、次に何をしなければいけないかが明確になり、修正していくことが可能です。自分のサービスを診断し、治療する。それが修正であり、試合中には傷口が広がらないように、治療していかないといけないのです。それを続けることがサービス力を高めます。
このような修正を練習でも試合でも続けていくことで、サービスの精度は必ず上がってきます。鈴木プロのサービスの解説を聞いて、みなさんはどう思いましたか。現役プロで自身のサービスを語る以外に、基礎知識をこれほど持っているプレーヤーを、私は他に知りません。本人が知識を持っていれば、あらゆる状況に対処していくことができます。何をどうすべきかに気づき、実行に移すことができます。これがサービス、そしてサービスゲームを上達させる秘訣です。
レッスンも堀内昌一が担当します!
1 自分のサービスを知る! 解説できるくらいサービスを研究しよう
あるプレーヤーにサービスが苦手だと相談されたとき、僕は、「なぜフォールトしたと思うか」と尋ねました。「トスが前すぎたから?」と疑問符を付けて答え、「わからない」とも言いました。自分のコーチに必ず相談することを前提に、グリップが間違っていることを説明したのですが、しばらくしてからそのプレーヤーに会うと、「コーチがしばらくはそれでいいと言った」とのことで、直さないことにしたのだと言います。私はそこで、それ以上言うのをやめました。
プレーヤー自身が、自分の動作や打球の間違いに気づき、何が正しくて、何が間違っているかを判断できなければ、試合中の半分近くがミス(フォールト)となるサービスの修正などできるはずがありません。修正をしないで、何度もその行動を繰り返せば、そのミスが習慣化してしまい、いつまでたってもサービスがよくならないのは当たり前です。
プレーヤーはコーチに頼らなくてもサービスを修正できるはずです。鏡を利用したり、仲間に見てもらって、カメラやビデオを使っても、自分で自分を良くしていくことはいくらでもできるはずなのです。
サービスをよくするには、自分と向き合って、自分で間違いに気づき、正しい方向へと修正していかなければいけません。だから、はじめに正しい情報や知識を身に付けることはすごく大事なことです。
ここで基礎知識として、ナチュラルスピンがかかるのはなぜか考えてみましょう。どのようにスピンはかかると考えますか?
ナチュラルスピンサービス(自然に回転がかかるサービス)は、動作方向と打球方向の違いがスピンを生みます。体は横向きでクローズドスタンスの状態から、身体の回転運動を使って、右斜め上方向へ動作していきます(写真)。そして、テークバックからフォワードスイングへの切り返しで、左手と右手を高い位置で入れ替え、エネルギーをさらに高い位置(インパクト)へと導きます。このとき回転運動が続いてスイングが加速し、腕が回転し続ける中でボールにスピンがかかります。
2 正しいサービスの知識を持つ!ナチュラルスピンサービスの腕の回転を見てみよう
腕が回転している中にインパクトがあるのでスピンがかかりますが、インパクトでは腕を伸ばしきってボールをとらえるのではなく、腕が伸びきる手前からボールをとらえます。その後、腕は伸びながら回り続け、「ボールをつかむ」感覚が生まれ、スピンがかかります。腕が伸びきったあとでボールをとらえると、ボールはつかめませんからスピンはかかりません。このような正しい知識を持っていれば、試行錯誤しながらも、必ず上達していけるはずです。
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