Topic4|サービスの運動連鎖|堀内昌一先生×鈴木貴男プロ×高田充コーチ_特集「本気でサービス2010」

本誌最強サービス指導陣の堀内昌一先生、鈴木貴男プロ、高田充コーチの3人がお届けするサービスレッスン。サービスにおいてもっとも多いと考えられる欠点弱点を7つのトピックとしてピックアップし、その問題点を話し合い、解決策を導いていただいた。今回は「Topic4|サービスの運動連鎖」だ。【2010年10月号掲載】

解説◎堀内昌一、鈴木貴男、高田充 写真◎毛受亮介 イラスト◎サキ大地

回転運動の中で両手を使い、重心を「下」から「上」へ移動する

左手が使えない!×

 両手が「対」に動かない、体が回転しないと手打ちになりやすい!

Q 左手が使えないから手打ちになるのですか?

回答◎堀内昌一、鈴木貴男、高田充

「エネルギーは“上”に伝えたいから、左手と右手は高い位置で入れ替えます」

高田 サービスで左手がうまく使えないプレーヤーは、フォアハンドも同じで、左手が下がっています。両手を同じ高さに維持しなければ、軸を中心とした体の回転運動は使えず、右手の手打ちになるのです。サービスも同じで、両手の動きを「対」にしないと回転運動は導けず、やはり右手の手打ちになります。

堀内 すべてのストロークで言えるでしょう。覚えたいのは、体をトルクのように使った回転運動。基本的に人間の体は回転すると、でんでん太鼓のように、左右の動きは「対」になります。トピック3の「左手を下げてしまう」打法の続きには、左手を下げることで体が開いてしまい、体の回転が使えずに手打ちになるという問題もあります。大切なことは、体の回転運動とともに左手と右手を「対」に使うということです。

鈴木 サービスを手で押して打つのと、体の回転で打つのとでは、運動がまったく違います。手で押せば、スイングが加速しないのでボールに回転がかかりません。体の回転で打てば、スイングが加速するのでボールに回転がかかります。さらに、その運動をサービスは高い位置で行わなければならないので、左手と右手は高い位置で入れ替える必要があります。トスアップをしたら、すぐに左手を下げてしまい「左手が死んでいる」プレーヤーがよくいますが、左手はトスを上げることだけが仕事ではないので、右手とセットでしっかり使わないといけません。

左手は肘から引くのがポイント。左手と右手は対になって連動して動くので、肩のラインは常に一定になる。つまり、左手を引くことで連動する右手(フォワードスイング)を加速させることができる

レッスンは高田充が担当します!

左手を早く下げるとどうなるか?

 → 体が正面を向きスピンがかからない&下半身のパワーが上半身に伝わらない

フォワードスイングに移行する前に左手を下げてしまうと、左手に誘導されて体が正面を向いてしまい、運動を「前」に行なおうとする。その結果、腰が折れて、前につんのめるようなサービスになってしまう

 サービスにおいて左手を早く下げてしまうと、その左手に誘導されて体が正面を向き、打球方向と動作方向が同じになります。そして、いわゆるダウンスイング(「上」から「下」へのスイング)になりスピンはかかりません。

 その際、下半身は斜め上方向(本来の動作方向)に向かおうとするのですが、左手に誘導されて上半身が正面を向いてしまい、動作方向が「前」になります。すると下半身の力が上半身にうまく伝わらず、上半身のパワーだけで打つことになってしまいます。

左手はどのように下げればいいの?

 → 肘から引いて体の中心に収める

 左手を上にキープすることで、肩のラインに高低差が生まれます。この肩のラインの高低差と、左手と右手が対になって動くのを利用することで、フォワードスイングを加速させます。左手は肘から引き、体のコア、お腹の前あたりに収めることでスムーズにひねり戻しの運動連鎖が行なえます。

なぜ左手を早く下げてしまうのか?

 → 早く打球を確認したいから

 サービスの動作方向は斜め上で、打球方向とは異なります。最後まで動作方向(インパクト方向)を見ていることがスピンサービス成功のひとつのポイントですが、どうしても打球の行方を確認したい、つまり正面を向きたいという気持ちが左手を早く下げて、上体を前に向かせる原因になります。

 テニスはゴルフや野球の投球動作と違い、その動作だけで完結するものではありません。すぐにリターンが返ってくるため、リターンに備えた次への準備をしなければなりません。このことが「打球の行方を早く確認したい」という気持ちにつながり、左手を早く下げさせてしまうのです。

 しかし、いくら次への準備が大切とはいえ、サービスのクオリティーを上げるためには左手は肘から引いて高くキープしなければなりません。それをしても、リターンに対応する時間は十分あるはずです。

PRACTICE|1|左手をキープするためのチューブトレーニング

片足でチューブの先端を踏み、もう片方を左手で持ってテークバックまでの動作を行なう。左のわきの下の張りを感じられるように、左手をしっかりと伸ばすのがポイント

PRACTICE|2|両手が対の感覚を養うトレーニング

固定したチューブを引くトレーニング。左腕と右腕を交互に引くことで左手と右手が連動している感覚をつかむ。チューブを持つ手は左手と右手、両方で行なう。左手を肘から引いてフォワードスイングを加速させる動きはストロークにも共通する。サービス用にこのトレーニングをする場合は、高い位置にチューブの端を固定して動作方向である右斜め前を向きながらやるとより効果的

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles