Topic2|サービスキープの重要性|堀内昌一先生×鈴木貴男プロ×高田充コーチ_特集「本気でサービス2010」
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本誌最強サービス指導陣の堀内昌一先生、鈴木貴男プロ、高田充コーチの3人がお届けするサービスレッスン。サービスにおいてもっとも多いと考えられる欠点弱点を7つのトピックとしてピックアップし、その問題点を話し合い、解決策を導いていただいた。今回は「TOPIC2|サービスキープの重要性」だ。【2010年10月号掲載】
解説◎堀内昌一、鈴木貴男、高田充 写真◎毛受亮介 イラスト◎サキ大地
リターンが得意という人に限って、サービスが苦手!
「サービスゲームを落としても、リターンゲームがある!」という考えでは
自分より上のレベルには勝てない!
Q「リターンが得意というプレーヤーは、だいたいサービスが苦手」と言ったのは鈴木プロ。「リターンが得意というより、サービスが苦手だからリターンに力を入れていると思う」という分析に一同うなずき、それをしていると、一定レベルまでしか勝てないということも共通認識でした。では、そういうプレーヤーが、これからサービスに対してやる気が出るようなアドバイスをお願いします!
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回答◎堀内昌一
「サービスの目的は“入れる”より“キープ”。テニスは確率のスポーツなのでサービスキープが勝利の法則です」
学生やプロはもちろん、クリニックではコーチやジュニア、一般プレーヤーも指導する機会がありますが、みんな目指しているサービスは同じです。年齢やレベルによって覚えるサービスが違うということはありません。同じ方向へ、正しいアプローチで練習を積んでいけば、誰もが上達できますし、また、上達し続けて武器にしていかなければならないものです。この3号連続のサービス特集で薄いグリップの『ナチュラルスピンサービス』(自然な回転がかかったサービス)を目指してきたのは、上達し続けられるサービスだからです。
上達の過程においては、プレーヤーの成熟度(これがレベルの違い)とニーズ(必要とするもの)に違いが出てきます。例えば、初級者は、まだ打法を覚えている段階ですから、「ファーストサービスをよくしたい」とか「セカンドサービスでの失点が多い」といったものが課題となるでしょう。しかし、レベルが上がってたくさん試合をするようになる中級者は、「大事なところでファーストサービスを入れて有利に展開したい」とか「セカンドサービスのポイント獲得率を上げたい」というように、戦術的な課題が挙がってくるはずです。この欲求がとても大切です。
テニスはゲームで、すなわち確率のスポーツです。あらゆる面で確率を高めていかなければ勝利することはできません。例えば、対戦相手がものすごく強いとき、その相手にどうやって勝つか考えてみましょう。相手のサービスをブレークするのはほとんど難しいと考えれば、自分にできる最大限のことは何かというと、サービスゲームを落とさない(キープする)、これに尽きるのです。
サーバーにはポイントを始める権利があるので、相手より先に打てるサービスをどうにかすれば、ゲームに勝つ確率は上がります。そしてサービスをキープしていけば、少なくとも試合に負けることはありません。こうして考えていくと、「サービスが苦手だからリターンを頑張る」と言っているプレーヤーは、自分より強い相手には勝てないことがわかります。
テニスはサービスキープで成り立っています。そのキープの手段のひとつがサービスです。ですから、サービスは「打つ」のが目的でも「入れる」のが目的でもなく、「キープ」が目的です。
Q 鈴木プロは現役のサーブ&ボレーヤーで、堀内&高田コーチも現役時代はネットプレーをしていました。ネットプレーヤーというのはサービスが得意でなければ優位に立つことができません。では、そのサービスの優位性はどうやって身につけましたか?
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回答◎高田充
「ファーストボレーをどう打つか、逆算したら、サービスを優位に打たなければならないとわかります」
僕のサービスゲームでの考え方は、まずファーストボレーをどうやってうまく打つかを考えて、そのために、相手にどんなリターンを打たせればいいかを考えサービスを打っていました。サービスエースを取ることよりも組み立て(戦術)が重要で、結果的にサービスエースになることはありました。
サービス次第で、ファーストボレーを高い打点で打てるのか、低い打点で打たされるのかが決まりますから、僕はスピン量を増やして、自分が前に詰める時間を稼いだり、相手に対して高くバウンドさせたり、ボディに打ったりして、相手のリターン力を下げるようにしていました。
すなわち、僕がやりたいことを実現していくためには、サービスのバリエーションが必要で、それがなければサービスキープはできないということです。ネットプレーヤーは、このような逆算の考え方ができるので、サービスの重要性を理解し、自ずとサービスがカギになるのだと思います。
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回答◎鈴木貴男
「相手に対する効果とサーフェスの効果を合わせて、サービスを決めます」
僕も基本的に高田さんと同じです。さらに付け加えると、ネットプレーヤーはサーフェスの特性を強く意識しています。例えば速いハードコートだったら、フラット系の速いサービスや、低く切れていくスライス系サービスが非常に有効です。これを対戦相手に対する効果と合わせて考え、サービスを選びます。このこともサービス力を高める要因だと思います。
なんと、69回連続でサービスキープ!
サービスキープしていたら負けないのだ!
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2010年ウインブルドン1回戦、ジョン・イズナー対ニコラ・マユの試合は日没順延で3日がかりとなり、ファイナルセット70-68のスコアでイズナーが勝利しました。最終セットはタイブレークがなく、イズナーは69回連続で、マユは68回連続でサービスゲームをキープし続けたのです。
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