グラスコートで、シーズンに必要になるのが”シャッタリング”という芝生のメンテナンス作業です。

これは芝生に刃を入れることで、雨季に備えるものです。この作業を行う事で、芝生の生命力を強くするだけでなく、土壌を改善する目的もあります。

シャッタリングの作業のためだけに、専用の機械をレンタルして作業します。

丸い円盤状のカッターが芝生に切れ目を入れます。

特に最近ではゲリラ豪雨などの影響もあるため、シャッタリングを行わないでいると、九州ではコートが、プールのようになって、回復まで半月近くかかることもあります。

芝生に升目状に切れ目が入っていますが、1週間程度で切れ目は消えて回復します。

私は毎年、ウインブルドンに芝の勉強に訪問します。その時にウインブルドンのグリーンキーパーのチーフに尋ねたところ、ロンドンでも最近は夏場の気温が高くなりゲリラ豪雨のような雨も増えているので、芝の品種の研究には余念がないと話していました。

最近ではロンドンの夏も高温多雨の傾向があり、気候が大きく変わってきているようです。

日本で言えば北海道と同じ緯度のロンドンも最近では、この暑さです。

しかし、それでも日本のように1時間に80mmを超えるような雨は信じられないらしく、同じくアメリカから講習に訪英していたアメリカの芝の専門家と一緒に”Crazy"だと笑っていました。

温暖湿潤気候の日本も段々と、亜熱帯・熱帯の気候に近づいていくことが予想されます。その中で天然芝のコートを快適にプレイできる環境で維持していくことは、本当に難しいことです。

以前にも書きましたが、テニスは自然の状況と会話しながら、楽しむスポーツです。砂入り人工芝が日本中に広まってしまった今。雨で中断するウインブルドンを見ながら、テニスの源流や起源、文化に思いを馳せてみるもの、このシーズンのテニスの醍醐味だと思います。

急な雨にはシートをかけて対応するのもウインブルドンの伝統です。中断もプレーのひとつです。

ウインブルドン。いよいよ開幕です。

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