ロラン・ギャロスの『バブル』はUSオープンに比べてお粗末と選手が指摘 [フレンチ・オープン]
今年最後のグランドスラム「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦9月27日~10月11日/クレーコート)の15日間に渡る本戦は、9月27日にスタートした。
テニス界の多くの者たちはテニスに関係なく、『光の街』と異名を取るパリを訪れている。
しかしながら今年は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのため、プレーヤーとコーチや他の関係者たちは10月11日に終わる15日間の大会の間は観光や散歩に出かけたり、お気に入りのブラッセリーで食事をしたり、道沿いのカフェのテラスでクロワッサンを楽しんだりするチャンスを得ることはできない。
女子シングルスで第2シードのカロリーナ・プリスコバ(チェコ)はそのことを嘆いたが、「多分ちょっぴりショッピングが恋しいけど、まあそれは待てるわ」と言って他の皆と同じように受け入れている。
そうしなければならない。何故ならここでの状況は、2014年ウインブルドン男子ダブルスのチャンピオンに輝いたバセック・ポスピショル(カナダ)が表現したように、「行ける唯一の場所は、(自分の泊っている)ホテル」なのだ。
いや、それは少し誇張しすぎたようだ。彼らは大会会場に行けるし、別の場所にある練習場にも行くことができる。
しかし、ほぼそれだけだ。ポスピショルの言葉を借りれば、彼らは本質的に大会が用意した『バブル(安全地帯)』の中に閉じ込められている。とは言っても、それは本当の意味でのバブルではない。少なくとも、NBAやNHLのために設置されたもののように厳格ではないのだ。
パリにはふたつのオフィシャルホテルがあり、プレーヤーはフレンチ・オープンに関係のない一般の人たちが出入りしていることに気付いた。それについて第32シードのダニエル・エバンズ(イギリス)は、「少しナーバスになった」と打ち明けた。
「誰でも入ってこれる感じだ」と2016年NCAA単複チャンピオンで2回戦で第2シードのラファエル・ナダル(スペイン)に敗れたマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)は不安を募らせた。
「USオープンにやってきたとき、文字通り自分がエスコートされていると感じられた。セキュリティがしっかりしていたんだ。パリに到着して車から降りたとき、僕は同じことを期待していたんだが…、そこには誰もいなかった。僕は自分で3階に行ったよ」とマクドナルドは違いを説明した。
「彼らは検疫の前に食料品店に行ってもいいとさえ言ったんだ。僕は、『どこにも行ったりはしないよ』という感じだったけどね。僕は真っ直ぐ自分の部屋に向かったよ」
ここではUSオープンのときにノバク・ジョコビッチ(セルビア)やセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)を含む何人かの選手が選択した、ロングアイランドに民家を借りて滞在するという類いの選択肢はない。そしてパリに別宅を所有しているセレナが通常しているように、自分の家から通うというオプションもなかった。
「容易じゃないよ。新鮮な空気さえ吸えない訳だからね。理由が何かは分からない、選手ためにコンディションをよりよく、より快適にするために努力する時間があまりなかったのかもしれない」とポスピショルはコメントした。「言うまでもなく、何人かの選手たちはここで2、3週間を過ごすことになる訳なのにね」。
男子シングルスで第22シードのドゥサン・ラヨビッチ(セルビア)は、何故このような対策が取られているのかは分かるが少しキャビン・フィーバー(屋内に長く閉じ込められることで閉所性発熱、ストレス、イライラなどの情緒不安定が生じること)を感じている。
「少し外出して、公園を歩いたりしたいよ」とラヨビッチは本音を漏らした。「でも僕は部屋にいて、映画を見たりビデオゲームをプレーしたり本を読んだりしているんだ」。
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