女子決勝はトップシードの日比野菜緒に3度目の決勝進出となった秋田史帆が挑む [三菱全日本テニス選手権95th]
「3度目の正直」を狙う秋田
女子シングルスでまず決勝進出を決めたのは秋田史帆(橋本総業ホールディングス)だった。昨年の決勝と同じ顔合わせとなった準決勝。昨年覇者で第4シードの本玉真唯(島津製作所)を6-4 6-1でねじ伏せた。
「今大会で一番緊張した」という秋田だが、アグレッシブに前に入り込んで左右にショットを散らしていく持ち味を存分に発揮する。第1セット第1ゲームをいきなりブレークされたものの、先に先に仕掛けることで本玉のカウンターを封じて逆転でセットを奪うと、第2セットは第3ゲームから一気に5ゲームを連取。鮮やかに昨年決勝のリベンジを果たした。
「ベストパフォーマンスではなかったかもしれないが、(ツアー休止期間の)えげつない練習量がフラッシュバックして、ここでは負けられないと思った」という秋田。2017、19年に続く3度目の全日本決勝進出に「若いときは自分が3度目も決勝に進むことになるとは思ってもいなかった。無欲で勝ち進んできたが、優勝は意識する」と、いまだ手が届いていない全日本タイトルへ向け「3度目の正直」を誓っている。
日比野は「あこがれの人」との決勝へ臨む
もうひとつの準決勝は第1シードの日比野菜緒(ブラス)がワイルドカード(主催者推薦枠)で出場の18歳、佐藤久真莉(富士薬品)を6-4 3-6 6-3のフルセットで振りきった。
トップシードの日比野は初戴冠を目指す
「勝てたから言えるが、将来的にライバルになるような素晴らしい選手が下の世代にいて、うれしくなった」という日比野。一進一退の攻防の中でも「相手の力を受け止めて、はね返せる力が自分にはあると信じて、チャンスを待った」と言うように、ファイナルセットは第6ゲームのブレークバックから一気にギアを上げ、4連続ゲーム奪取で勝負を決めた。
惜しくも決勝進出はならなかったが、1試合ごとにプレーのレベルを上げていき、「日比野選手に今の自分の実力がどれだけ通用するか」と臨んだ準決勝でトップシードをぎりぎりまで追い込んだ佐藤。「3試合に勝って、日比野さんと対戦できたのはいい経験」と確かな手応えも口にしていた。
決勝は奇しくも木曽川ローンテニスクラブの先輩・後輩対決となった。秋田は「WTAのトップランカーと戦えるのはワクワクしている」と話し、日比野は「小さいときからあこがれの人。全日本決勝の舞台で対戦できるのは本当にうれしい」と、互いに対戦の時を心待ちにしている。初優勝の栄冠は、どちらの頭上に輝くだろうか。
取材◎杉浦多夢 写真◎菅原 淳
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