世界トップ3を打破したメドベージェフが11月マッチ10連勝で2020年シーズンを締めくくる [Nitto ATPファイナルズ]
キャリア最大のタイトルを獲るために、メドベージェフが容易な道を歩くことはなかった。彼は世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と同2位のラファエル・ナダル(スペイン)を下したあと、決勝で世界3位のティームを倒したのである。
世界4位のメドベージェフはこのシーズン末のエリート大会で、世界ランク上位3人の全員を倒した初のプレーヤーとなった。ツアーのすべての大会を対象としても、そのようなことをやってのけた選手は1990年以降で4人しか出ていない。
「すごく大きな意味がある」と24歳のメドベージェフはコメントした。「僕は自分がいいプレーをしているとき、精神的にも肉体的にもいい状態のときに何をやってのけることができるのかを示して見せた。僕は自分には何ができるかを知ってる。僕はただ、このようなプレーをもっと続けていく必要があるだけなんだ」。
2時間半を擁したこの挽回劇は、メドベージェフがラウンドロビン(グループ内総当たり戦)でジョコビッチをストレートセットで破った試合と土曜日の準決勝でナダルに対しておさめたフルセット勝利に続くものだった。
決勝の序盤でのティームは際立つディフェンス力とパワーを駆使して第1セットで優位に立ち、重要な瞬間に強力なサービスを決めて直面した最初の8つのブレークポイントをセーブした。
「彼はボールを叩き込んできた。まるでもはや明日などないかのようにね」とメドベージェフは振り返った。
しかしメドベージェフはこの試合9度目、第3セットでは6度目に当たるブレークチャンスでアプローチショットからフォアボレーを決めてついにものにし、3-2とリードを奪った。ティームはそこで、『信じられないようなゲーム』をプレーしたメドベージェフを称えた。
彼が勝つためには、そのひとつのブレークがあれば充分だった。試合の残りでメドベージェフは、一度も相手にブレークポイントを与えなかった。彼はこの日12本目のサービスエースを決め、勝負に終止符を打った。
カギとなる流れの転換は第2セットのタイブレークで訪れたが、それはメドベージェフがプレースタイルを変更したことで起きたことだった。ティームはタイブレークで2-0とリードしたが、そこからメドベージェフが通常より頻繁に――サービスからもリターンからも――ネットに出る戦法に切り替えることで驚きの要素を生み出し、続く7ポイントを連取したのだ。
リターンからでもメドベージェフがネットに出始めたことは、「驚くべきこと」で「非常に勇敢な」ことだったとティームは打ち明けた。ティームはこれに先立つメドベージェフとの4試合で3勝を挙げており、その中には最終的にグランドスラム初優勝を飾った9月のUSオープン準決勝におけるストレートの勝利もあった。
第2セットでのティームは4-3とリードするためのブレークチャンスを手にしたが、彼はこのポイントでまずいミスを犯してしまった。彼はそのあと腰に手を当てて考え込み、「もし僕があのブレークポイントをものにしていたら、恐らく試合の結果は違ったものになっていたかもしれない」と試合後に悔やんだ。
次のゲームでティームは躓いてコート上で転んだが、ケガはないように見えた。それでもメドベージェフは、ティームが終盤にかけて徐々に力を失っていったように感じたと明かした。
「3セットマッチでドミニクを疲れさせるというのは、素晴らしい成果だよ」とメドベージェフは自身のプレーぶりを評価した。
最終的にメドベージェフは、この大会を5戦全勝でくぐり抜けた。初出場だった昨年の成績が3戦全敗だったことを考えれば特に、彼がいかに素晴らしい大会を送ったかが理解できる。
11月に入ってからのメドベージェフはトップ10選手に対する7勝を含め、マッチ10連勝で駆け抜けて2020年シーズンを締めくくった。彼はそれに先立つ12ヵ月の間、トップ10に一度も勝てていなかったのだ。彼はこの進撃を「来たるすべてのグランドスラム大会とすべての大会に向けて自信を大きく増幅させる出来事」と呼び、「こんなふうに続けていきたい」と抱負を述べた。
ロンドンでATPファイナルズが開催されるのは12年目の今年までとなっており、2021年から25年まではイタリア・トリノで行われることが決まっている。(C)AP(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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