「1年前の自分なら負けていた」ムグルッサとのバトルで精神面の成長を感じたという大坂 [オーストラリアン・オープン]
第3セット3-5で自身のサービスゲームながらマッチポイントを2つ迎えても大坂は落ち着いていた。絶体絶命のピンチを迎えたとき、一体何を考えていたのか。
「あのゲームを通してあまりサービスがうまく打てていなかったので、1つ目のマッチポイントはまずサービスに集中した。そして自分によりよいプレーをしようと言い聞かせていた。2つ目のマッチポイントではラリーが始まってからは、あまり強気に行き過ぎないように、そして変なことをして酷いアンフォーストエラーだけはしないようにと意識した」
続く4ー5でのムグルッサのサービング・フォー・ザ・マッチでは自信を持って、余裕をもって戦えたという。
「ラリーをして必要なショットをしっかり打てば行けると思っていた。自分のリターンがよかったから、相手にプレッシャーをかけられるだろうと思って、あまりナーバスにはならなかった。もしタイブレークになっても自分のサービスに頼ることができるから、イーブンに戦えるだろうし、心配なかった」
今大会好調に勝ち上がってきたムグルッサと対戦して、その強さを感じたのは大きく分けて2点あったという。
「いつもは相手の考えていることが大体わかるけど、彼女はすごくプロフェッショナルでクールだから感情が読めなかった。そして背が高いから、カバーできる範囲が広く、ウィナーを狙うときコートがすごく小さく見えた」
アンフォーストエラーはムグルッサの28に対して大坂は36と多かったが、そこは割り切って戦った結果だ。リスクをおかしたことでミスが増えた。
「彼女は弱いボールを打つと、すぐに強烈なショットで走らされる。だからアンフォーストエラーが増えてしまった。自分があまり心地いいゾーンでプレーできなかった。でも、グランドスラムチャンピオンとの対戦とはそういうもの。凄く強く押された」
「かなりネガティブになっていた」という大坂が思わずラケットを投げつけた
この日はラケットを投げるなど、追い詰められる場面も見られた。
「試合を通して考え過ぎていた。ラケットを打ちつけたときはナーバスになっていた。この試合で間違いなくすごくストレスがあった。かなり、ネガティブになって、カモンと叫ぶことも少なかった。この数カ月ポジティブにいようと意識してきたのに、あのときの自分の感情はよくなかったと思う。ラケットを投げてしまったことで自分に怒っているけど、でも同時にそこから解き放たれてより本能的に戦うことができた」
苦しい戦いにも何とか崩れなかったメンタル面の成長に手応えを感じたようだ。
「今日の試合を一言で言うならバトル。1年前の自分なら乗り越えられず、負けていたはず。いろんなことを考えすぎてうまくいかなかっただろうと思う。今回精神的に強くなっていたことがよかった」
火曜日の準々決勝では通算4勝1敗と勝ち越しているシェイ・スーウェイ(台湾)と対戦する。変幻自在のショットを操る35歳のベテランは誰にとってもやりにくい相手だ。
「2年前、彼女とここで対戦した試合ですぐに思い出すのは(サイドに振られて)転んだこと。感情の起伏、コントロールできないことがたくさんあった。ボールがラケットに乗るとき、どうしようかなと迷いが出てしまった。でも、グランドスラムのベスト8なんだから、タフじゃなかったらおかしいでしょ。彼女はゲームで遊ぶときに選びたいプレーヤーかな。彼女が選ぶプレーは自分には思いつかないものばかり。対戦するのは楽しくないけど、見るのはすごく楽しい選手」
今大会、かなり調子を上げていたムグルッサを退け、ベスト8進出。決勝で対戦してもおかしくない難しい相手を乗り越えたところに、大坂の大きな成長が感じられた。(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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