10度目の挑戦で初出場ベスト4! カラツェフの知られざるテニス経歴 [オーストラリアン・オープン]

「今日はちょっと暑すぎたね」と試合後に話したアスラン・カラツェフ(ロシア)

今年最初のグランドスラム大会となる「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦2月8~21日/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で、アスラン・カラツェフ(ロシア)が第18シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)を2-6 6-4 6-1 6-2で下した。

 グランドスラム初出場で予選から準決勝まで勝ち上がってきたカラツェフの人生とプロ生活を紹介する。

 現在27歳のカラツェフはロシア南西部、ジョージアとの国境近くの街ブラジカフカスで生まれた。3歳で家族とイスラエルに移り、テルアビブ・ヤフォでテニスを初めて12歳まで過ごす。それから父とロシアのロストフに戻りプレーを続け、14歳でロストフの近郊にあるタガンログに行き、そこでスポンサーを見つけて18歳までプレーした。 

 その後はモスクワに出るが、そこでコーチのすすめでドイツのハレへ行き、2年間を過ごす。ドイツの次は、スペインのバルセロナを拠点にしている時期もあった。直近の3年間はベラルーシのミンスクを拠点にベラルーシ人のジゴーリア・ヤツィクをコーチにしている。ポルトガル人のフィットネスコーチ、ルイシュとも3年間一緒にいるという。

 今大会は3回戦まですべてストレート勝ち。特に第8シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)を倒したパフォーマンスは圧巻だった。4回戦でキャリア初の5セットマッチの末、第20シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を2セットダウンから逆転して準々決勝へ進む。

 この日行われた準々決勝では、第18シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)に第1セットを奪われるが、第2セットから反撃。ディミトロフが第3セットで背中を痛めて動けなくなってからは、容易に勝利を手に入れた。

 2013年にプロ転向も、長年トップ100の壁を破れず、2020年にチャレンジャー大会2つに優勝、2度準優勝でキャリアハイの世界ランク111位となり、今大会の予選出場権を手にした。そして2014年から挑んできたグランドスラム予選10度目の挑戦で、ついに本戦への扉を開いた。

 今回、ブレークした要因にコーチの精神面での指導にあるという。

「成功のカギは自分に合ったコーチ、チームを見つけたことだ。フューチャーズ大会を戦っているときに彼らに出会った。コーチにはメンタル面で多くを学び、自分を信じられるようになった。コート上で自分のプレーを信じることが勝利の助けになっている」

 周囲の盛り上がりとは対照的に本人はいたって冷静だ。準決勝では第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)と第6シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)の勝者と対戦するが、相手が誰になろうと関係ないという。

「予選から準決勝まで勝ち上がったのはすごいこと。だが、あまり考えすぎずにこの時間を楽しんでいる。次は誰と対戦することになろうと、気にすることなく、1戦ずつ戦うよ」(テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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