ホルカシュがシンネルを倒し、ATPマスターズ1000で優勝した初のポーランド人選手に [マイアミ・オープン]

写真はマスターズ初制覇を果たしたホベルト・ホルカシュ(ポーランド)(Getty Images)

ATPツアー公式戦の「マイアミ・オープン」(ATP1000/アメリカ・フロリダ州マイアミ/3月24日~4月4日/賞金総額429万9205ドル/ハードコート)の男子シングルス決勝で、第26シードのホベルト・ホルカシュ(ポーランド)が第21シードのヤニク・シンネル(イタリア)を7-6(4) 6-4で下してキャリア最大のタイトルを獲得した。

 男子テニス界を長年支配してきた『ビッグ3』が不在のマイアミで新世代がその開いた隙間を埋めようと鎬を削る中、ブレイクスルーに成功したのはホルカシュだった。

 1月にデルレイビーチでツアー2勝目を挙げたホルカシュは今季のフロリダでの戦績を10勝0敗とし、大会後に更新される世界ランクで37位から自己最高を更新する16位に浮上することが確実となった。

「これまでの人生で最大のトロフィーを掲げることができて本当に幸せだよ。僕はここまでプレーした中で最高のテニスをプレーした。内容の濃い大会だったね」とホルカシュはコメントした。

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)に加えてUSオープン優勝者のドミニク・ティーム(オーストリア)も欠場してはいたが、それでもこの決勝カードは驚きだった。

「僕らはラファ、ロジャー、ノバク、ティームがプレーしないことは分かっていたよ。多くのプレーヤーにとって大きなチャンスだったんだ」とシンネルは語った。

 それを最大限に活かしたのがホルカシュだった。彼は決勝までの道程で、第2シードのステファノス・チチパス(ギリシャ)と第4シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)を倒した。ホルカシュが同じ大会で2人のトップ10プレーヤーを破ったのは、これが初めてのことだった。

 この結果でホルカシュは、ATPマスターズ1000の大会で優勝した初のポーランド人となった。

「僕のプレーでポーランドの人々にインスピレーションを与えることができるよう願っているよ。国の皆がこの勝利を喜んでくれるとうれしいね」

 身長196cmのホルカシュは好調なリターンで4度のブレークに成功し、カギとなるポイントではネットに詰めた。

「ヤニクに勝つには本当にいいプレーをする必要があるんだ。彼は驚くべき選手で素晴らしい未来を持っている」とホルカシュはシンネルを高く評価した。

「彼は非常に強くボールを打つことができるから、僕はできる限り食らいついていこうとしていたんだ」

 初めてのマスターズ決勝に臨んだホルカシュは、試合の早い段階で冷静になることができた。第1セットで彼は瞬く間に3-0とリードを奪ったあと一時的に劣勢に立たされていたが、手堅いプレーでタイブレークを制した。セットポイントでは25本のラリーが続いたが、シンネルのフォアハンドがアウトとなった。

 マスターズの本戦でプレーしたのが3度目に過ぎなかったシンネルは第1セット6-5としてサービング・フォー・ザ・セットを迎えたが、ラブゲームでブレークバックを許してしまった。彼は第2セットに入ってからもさらに2回続けてサービスゲームを落とし、0-4の劣勢に立たされた。

「特に第2セットの出だしに僕はいいサービスを打つことができず、リターンも深く返すことができていなかった」とシンネルは振り返った。

 それからホルカシュのミスが出てブレークをひとつ返されたが最後の2つのサービスゲームをきっちりキープし、マッチポイントではシンネルのフォアハンドがサイドラインを割って勝利が確定した。

「彼が最後にあのショットをミスしたとき、僕はものすごく幸せだったよ」とホルカシュはにやりと笑みを浮かべて話した。

 この大会はまた、ホルカシュのよき友人でダブルスを組むこともあるシンネルにとっても大きな前進を意味した。スキー競技でもジュニアのチャンピオンに輝いたことがあるシンネルは昨年の出だしは78位だったが、月曜日には23位となる見込みとなっている。

「19歳のときにここの決勝でプレーするなら、勝つか学ぶかしかないよ。僕は試合の出だしに少しナーバスになっていたけど、本当に勝ちたいと願っている訳だからそれは普通のことだよ」とシンネルは前を向いた。(APライター◎スティーブン・ワイン/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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