USオープンで注目を集めた2年後、20歳となったブルックス​ビーがパリでの飛躍を目指す

写真は2019年USオープンでのジェンソン・ブルックス​ビー(アメリカ)(Getty Images)

初めてパリを訪れる他の多くの20歳のアメリカ人と同じようにプロテニス選手のジェンソン・ブルックス​ビー(アメリカ)は自分がいる場所にワクワクし、どこに向かっているか知りたくてうずうずしている。

 カリフォルニア州サクラメント出身のブルックス​ビーは、ATPツアーよりレベルが低いチャレンジャー大会で今季ここまで19勝2敗の戦績を残している。そのサーキットで3つのタイトルを獲得したここ15年で最年少のアメリカ人選手であるブルックス​ビーは、世界ランクを2月の315位からこの月曜日に自己最高となる163位に上げた。そして彼は今、より多くのものを求めている。

 それはフレンチ・オープン予選の臨む今週だけの話ではなく、これから何年にも渡ってのことだ。今から10年の間に自分がどうなっていると思うかと尋ねられたとき、ブルックス​ビーはまったく躊躇することなく野望を語った。

「そのころまでには世界1位になっていたいな。そうできると僕は信じている。長い道程であり、言うまでもなくそこに至るには多くのハードワークと鍛錬が必要だ。でも僕はそれができるモチベーションを持っていると信じているんだ」と彼はズームを介したAP通信とのインタビューの中で話した。

「そして5年か10年またはそれより早くてもいいけど、僕は間違いなく世界最高のプレーヤーになりたいんだ。自分の目標に限界を設けたくはないからね」

 これはある意味、彼の競争心と自信の表れなのだろう。それはまた、短い時間とはいえスポーツの最上層を味わったことがいつの日かビッグになろうとしている者にどのような影響を及ぼすかを示して見せている。

 フレンチ・オープン予選は月曜日に始まり、シングルス本戦は次の日曜日からスタートする。本戦にダイレクトで入れなかった選手たちは予選で3試合勝ち抜けば道を切り開くことができ、彼らがその勢いに乗って成功をおさめることも度々起きている。

 例えば2020年フレンチ・オープンで20歳のセバスチャン・コルダ(アメリカ)は予選を勝ち上がったあとに4回戦まで進出し、そこで最終的に優勝したラファエル・ナダル(スペイン)に敗れた。女子ではナディア・ポドロスカ(アルゼンチン)が予選から準決勝にまで至り、そのあと栄冠に輝いたイガ・シフィオンテク​(ポーランド)に行く手を阻まれた。

 今年のオーストラリアン・オープンでは27歳のアスラン・カラツェフ(ロシア)が初めて予選を勝ち上がったグランドスラム大会でベスト4まで勝ち進み、3連覇を達成したノバク・ジョコビッチ(セルビア)に敗れた。

 ミドルネームがテイラーであることから親しい者たちの間では『JT』と呼ばれているブルックス​ビーは、ジュニアの選手として2018年USオープンで初めてグランドスラム大会に出場した。

 しかし彼はその翌年、18歳のときに脚光を集める。彼はUSオープン予選で3試合に勝って本戦出場権を獲得し、それから2010年ウィンブルドン準優勝者のトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)を倒す番狂わせを演じた。

 これにより注目が高まったブルックス​ビーはベイラー大学でカレッジテニスをプレーすべきか、それともフラッシングメドウで賞金を受け取ることができるようプロになるべきかという議論が巻き起こった。

「全世界が彼にプロになれと言っていました。一方で私は彼に、君にはプロテニス界でプレーする準備ができていないと言ったのです」とブルックス​ビーのアドバイザーであるアムリット・ナラシマン氏は電話取材で明かした。

 そのことについてブルックス​ビーは、「自分としてはテニスに関しては準備ができていると感じていたけど、他のことについてはまだまだだった。肉体的にも精神的にもね。でも今はもう準備はできているよ」と振り返った。

 そんな訳で当時の彼はベイラ―大学進学を選んだが、つま先のケガのために実際には大学の試合ではほとんどプレーしなかった。その間に彼は身長が193cmまで伸び、パワーを付けてフィットネスレベルを向上させた。

 彼のテニスで最高の部分はどこだろうか?

「強さやパワーは弱点じゃないよ」とブルックス​ビーは答えた。

 7歳のときから変わらずブルックス​ビーを指導しているコーチのジョー・ギルバート氏は教え子について「まだヒゲは生やさないだろうね」とジョークを言い、彼のコートでの態度についてナラシマン氏と同じような評価をした。

「彼は負けることに耐えられないんだ。非常に熱いファイターだよ。だから彼は自分自身と戦っているんだ。ときには対戦相手とも戦うけどね。彼は少し感情的な人間だから、あらゆるものと戦うんだ。だけど彼はそういうのが好きなんだよ」(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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