最後の『マニックマンデー』で注目を独占したフェデラーが最年長のウインブルドン準々決勝進出者に

写真はロジャー・フェデラー(スイス)(Getty Images)


 2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)は来年から伝統的『ミドルサンデー(大会中日の日曜日)』が休息日ではなくなるため、日曜日に試合がないことからスケジュールが過剰に込み合う『マニックマンデー(大忙しの月曜日)』も今年が最後となる。

 来年からは、1日に男女シングルス4回戦の16試合が一気に行われることは原則としてなくなるのだ。

 とはいえ多くの試合が同時に行われて混乱状態だったこの日、ステージを独り占めしたのはロジャー・フェデラー(スイス)だったと人々が感じたとしても無理はないだろう。

 ウインブルドンを8度制した彼は昨年の2度に渡る右膝手術を乗り換え、40歳目前にしてグランドスラム大会に出場している。だから彼がこれから何度ここでプレーできるのかは誰にも分からないし、フェデラー自身がこの2週間で自分に何ができるのか分からずにいるのだ。

「自分がつぎ込んだ努力が報われるのを目にすること、僕がこのレベルでプレーできると知るのは素敵なことだとは思う。実際に朝起きたとき、問題ない感じることはできているよ。非常に価値のあるありがたいことだし、いいフィーリングだ」と2021年は8試合をプレーしただけの状態で今大会に臨んでいるフェデラーは語った。

「まあこれから、僕のタンクにあとどのくらい残っているか見てみることにしよう」

 第6シードのフェデラーが第23シードのロレンツォ・ソネゴ(イタリア)を7-5 6-4 6-2で倒す間、彼がポイントを取るたびにこれがあたかも最後であるかのように騒々しく拍手喝さいを受けていたのはそのためだったのかもしれない。

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)やアンジェリック・ケルバー(ドイツ)という過去の優勝者たち、またウインブルドンで初めて準々決勝に進出した10人以上の選手たちの試合を含む過密な日程の中、フェデラーの試合はどこよりも観客の声援と活気に満ちていた。

「これが最後のミドルサンデーであり最後のマニックマンデーだったのだと、今から20年か50年くらいしたら振り返るのだろね」とフェデラーはコメントした。

「僕はミドルサンデーが休息日だった時代にプレーできたことをうれしく思う。時代とともに変化していかなければいけないのだろうから、僕は理解するよ」

 このあたかも“多くの選手たちの中でたったひとりにしか関心がない”とでもいうような雰囲気は、ソネゴにちょっぴり影響を与えたようだった。劣勢の中で好プレーを続けて4ポイントを連取したとき、彼は腕を上下に動かして観客からの声援を促そうとした。

 第1セットの終盤に雨が降り始めて開閉式の屋根を閉じなければならなくなったため、20分の遅れが生じた。声援が反響する屋根の下で試合が再開され、ブレークポイントからサービスを打ったソネゴがすぐさまダブルフォールトを犯して5-6とリードを奪われたのは偶然のことではなかったかもしれない。

 それはフェデラーが必要とした唯一の突破口であり、彼はその勢いに乗って同大会で18回目のベスト8へと駒を進めた。8月8日に40歳の誕生日を迎えるフェデラーは、1968年に始まったオープン化以降の時代で最年長のウインブルドン準々決勝進出者となった。

 フェデラーはまだ、自分が次に対戦する相手が誰になるか知らない。というのも第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)と第14シードのホベルト・フルカチュ(ポーランド)の試合は屋根のない2番コートで行われていたため、第4セットの途中で降雨により順延となったのだ。試合が中断されたとき、メドベージェフが6-2 6-7(2) 6-3 3-4でリードしていた。

「フェアじゃないが、どうしようもない。彼らはまだ若いから回復できるだろう。彼らにとって大きな問題にはならないんじゃないかな」とフェデラーは抜け目ない笑みを浮かべながらともに20代半ばのメドベージェフとフルカチュについて話した。

「僕にとって残念なことに、彼ら非常に優秀な選手たちでもある。明日も雨になるといいんだけどな」とフェデラーはジョークを言った。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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