リズムを見出したフェデラーがウインブルドン2週目へ
2年ぶりの開催となる今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月28日~7月11日/グラスコート)の男子シングルス3回戦で、第6シードのロジャー・フェデラー(スイス)が第29シードのキャメロン・ノリー(イギリス)を6-4 6-4 5-7 6-4で振りきりベスト16進出を決めた。
当然ながらフェデラーは、このウインブルドンが30代で迎える最後のグランドスラム大会だということを知っている。彼はまたもう1年半近く、グランドスラム大会の4回戦でプレーしていないことも自覚している。そして正直なところ、彼は自分があと何回プレーできるか分からないのだということも理解している。
それらの要因が重なったことが、勝利の瞬間に見せたフェデラーらしくない大きなリアクションに繋がったのかもしれない。彼が放った時速198kmのサービスに対するリターンがネットにかかって勝利が決まったとき、フェデラーは万歳をしてから大声を上げて派手めなガッツポーズを見せた。
また、次のような事実もある。2020年に2度の右膝手術を受けて今季も今週までわずか8試合しかプレーしていなかったフェデラーは世界ランク34位のノリーとの対戦を“基準点”と表現し、自分のテニスが今どの位置にあるかを見定めるための物差しと見なしていた。
「僕は自分が試合通して極めて落ち着いていたと思う。多分それもあって、すべての感情を試合の終わりのために取っておいていたんだ」とフェデラーは振り返った。8月8日に誕生日を迎える彼は、1975年に40歳でやってのけたケン・ローズウォール(オーストラリア)以降で最年長のウインブルドン4回戦進出者となった。
「もし彼のようなレベルの選手を倒せるなら…と考えたんだ。彼は先週の大会でいいプレーをし、ホームでたくさんの試合をこなしていたからね。僕は自分が誰に勝ったのかを理解しているよ。言いたいことは分かるだろう?」と彼は説明した。
「彼は時折いいプレーができるといった類いの選手じゃない。彼は優秀なプレーヤーだ」
もっともノリーにとって、ホームでプレーするアドバンテージはそれほどなかった。老若男女にかかわらず、スタンドからはノリーへの声援以上に多くの「カモン、ロジャー!」と叫ぶ声が聞こえていたからだ。そしてフェデラーは、その期待にしっかり応えた。
この試合でのフェデラーは33本のアンフォーストエラーを上回る48本のウィナーを決め、11回試みてすべてポイントに結び付けたサーブ&ボレーを含む38回のネットプレーを30回成功させた。
フェデラーはグランドスラム大会で69回目となる4回戦で、26歳で同じ舞台が2度目となる第23シードのロレンツォ・ソネゴ(イタリア)と対戦する。
「僕は間違いなく、この時点で自分のリズムを掴んだと感じている」とフェデラーはコメントした。
その少しあとにフェデラーは、「コートで心が安らいだのは、恐らく初めてと言っていいんじゃないかな。自分がやっているすべてのことについて、本当の意味である種の落ち着きを感じることができたんだ。どこにサービスを打ちたいのか、どのようにサービスゲームを取りたいのか、どうやってミスや間違った選択をしたのか。僕はただ、そういったことを払いのけていたんだ」と土曜日のプレーについて語った。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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