2016年リオデジャネイロ・オリンピックの金メダリスト、アンディ・マレー(イギリス/右)とモニカ・プイグ(プエルトリコ/左)(Getty Images)

東京オリンピック テニス競技(7月24日〜8月1日/有明テニスの森公園)

 テニス競技、振り返り

 テニスは1896年の第1回アテネ大会からオリンピック競技に採用されていたが、1924年のパリ大会を最後に競技から外れることになった。

 64年ぶりに正式復帰したのが1988年のソウル大会。ここで女子の年間グランドスラムを達成していたシュテフィ・グラフ(当時、西ドイツ)が金メダルを獲得し、「年間ゴールデンスラム」を成し遂げたことで、テニスにおけるオリンピックは一気にその価値も取り戻す。回を重ねるごとにグランドスラム中心のツアーにおいてもプライオリティーを増していき、トップ選手たちも「第5のグランドスラム」としてメダル獲得に意欲を燃やすようになっていった。


テニス界唯一のゴールデングランドスラマー、グラフ

 1988年の正式復帰以降の金メダリストの顔ぶれを見ても、それはわかる。男子シングルスでは、1996年アトランタでアンドレ・アガシ(アメリカ)が金メダルを獲得してのちの「生涯ゴールデンスラム」につなげ、2008年の北京ではラファエル・ナダル(スペイン)が制して「生涯ゴールデンスラム」を達成している。2012年ロンドンで地元金メダルを獲得したアンディ・マレー(イギリス)は続く2016年リオデジャネイロも連覇。東京では完全復活とともに3連覇を狙う。


ナダルは北京の男子シングルスを制して「生涯ゴールデンスラム」を達成


男子シングルスでロンドン、リオデジャネイロと連覇のマレー


「オールタイム・チャンピオン」の呼び声高いロジャー・フェデラー(スイス)は2008年北京でスタン・ワウリンカとダブルス金メダルを手にしているが、シングルスでは2012年ロンドンの銀メダルが最高。東京はシングルス金メダル獲得のラストチャンスとなるだろう。(※ウインブルドン終了後、東京2020欠場を発表)


フェデラーは2度目の旗手を務めた北京でのワウリンカとのダブルスが唯一の金メダル


 女子はやはりウイリアムズ姉妹(アメリカ)の活躍が目を引く(※のちに欠場を発表)。姉妹で組んだダブルスでは2000年シドニー、2008年北京、2012年ロンドンと3つの金メダルを獲得。姉ビーナスはシドニーでシングルス優勝、妹セレナは2012年ロンドンで「生涯ゴールデンスラム」となるシングルスの金メダルを獲得している。


妹セレナ(右)はロンドンで姉ビーナスと3つ目の女子ダブルス金メダルを獲得し、シングルスでも念願の優勝を飾った


 一方、2016年リオデジャネイロでは世界ランク34位のモニカ・プイグ(プエルトリコ)がノーシードから金メダルをつかみ、世界に驚きを与えた。


リオデジャネイロの女子シングルスではプイグが驚きの金メダル


 来る東京では、誰が栄光の金メダルを手にするのか――。



(テニスマガジン2021年8月号)

写真◎Getty Images、BBM

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