「歴史的な記録がかかっていることは分かっている」とジョコビッチ [東京2020]

写真は会場で練習中のノバク・ジョコビッチ(セルビア)(Getty Images)


 世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、自分がその偉業にいかに近づいているかを知っている。彼は単に歴史を生み出すだけではなく、同じ年に4つのグランドスラム大会すべてのタイトルとオリンピック男子シングルスでの金メダルを獲得することで『ゴールデンスラム』を達成した史上初の男子プレーヤーになることを目指しているのだ。

 もちろんこのことは、土曜日に始まる「東京オリンピック2020テニス競技」(東京都江東区・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コート/7月24日~8月1日/ハードコート)にエントリーしたジョコビッチの頭にあった。しかしその偉業の結果生まれるであろうより大きな産物が、彼の心の中でもっとも重い比重を占めていた。それはもっとも偉大なテニスプレーヤーと見なされることで、ロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)のふたりを超えるということだ。

 そのゴールがあまりに大きいため、ジョコビッチはその結果を考慮することさえ望まなかった。

「その論議には加わりたくない。誰とも比べられたくはないんだ。起こり得る歴史的偉業まで、まだまだ長い道程がある」とジョコビッチはコメントした。

「多くのことがかかっているのは分かっている。歴史的な記録がかかっているからね。僕はこのポジションにいられることを光栄に思うし、モティベーションを掻き立てられてもいる。僕はここに至るために大いに努力を積んできた。もしここですべてがうまくいったら、歴史について話そうじゃないか。今この時点では、ただ次のチャレンジにだけ集中するよ」

 セルビアではすでに、この論議は終わっている。セルビア五輪委員会の責任者であるナターシャ・ヤンコビッチ氏は、チームの記者会見の際にジョコビッチを「史上もっとも成功をおさめたテニスプレーヤー」と紹介した。

 今月のウインブルドンで優勝したジョコビッチは20回目のグランドスラム制覇を果たし、獲得タイトル数でフェデラーとナダルに並んだ。彼はまた、今年のオーストラリアン・オープンとフレンチ・オープンでも栄冠に輝いていた。すべてのグランドスラム大会で最低2回勝っているのは『ビッグ3』の中で彼だけであり、4つのグランドスラム大会を連続で制する(2015年ウインブルドンから16年ロラン・ギャロスまで)など他の2人が成し遂げていない業績を残している。

 ゴールデンスラムを達成した史上唯一のテニスプレーヤーは、1988年のシュテフィ・グラフ(ドイツ)だ。

「シュテフィと連絡を取ってはいないが、もし彼女と連絡が取れるならどうやって達成したのか聞いてみたいね」とジョコビッチはグラフについて言及した。彼は短い期間ではあるが、グラフの夫であるアンドレ・アガシ(アメリカ)をコーチに迎えていたことがあった。

「彼女のゴールデンスラムについて考えたとき、僕はそれが達成可能なことだと思っていなかった。でもそれが今、僕にとって日に日に現実的なものとなりつつある。もちろん、それゴールであり夢のひとつだ」

 ジョコビッチにとって有利なことのひとつに、東京オリンピックにはフェデラーもナダルも出場していないということがある。しかしそれは昨年のUSオープンでも同じだったが、ジョコビッチはカッとなって後ろに叩いたボールを線審にぶつけてしまったために失格となっていた。

「ここ15年というものロジャーとラファがいない大きな大会はあまり経験していないから、正直に言うとちょっぴり奇妙ではあるよ。過去には必ず2人のうちひとりはいたからね」とジョコビッチは話した。

 有明テニスの森公園のセンターコートで、ジョコビッチは世界139位のウーゴ・デリエン(ボリビア)に対してオリンピック競技をスタートする。

 男子はトップ10の半分が東京に来ておらず、世界3位のナダル、6位のドミニク・ティーム(オーストリア)、8位のマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)、9位のフェデラー、10位のデニス・シャポバロフ(カナダ)がそれぞれの理由で欠場している。

「しかしそれでも、世界最高峰の選手たちが何人かここにいる。ダニール・メドベージェフ(ロシア)、ステファノス・チチパス(ギリシャ)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)、アンドレイ・ルブレフ(ロシア)。彼らは世界トップクラスの実力者で、メダルの有力候補だ」とジョコビッチは気を引き締めた。

 2008年に北京オリンピックで銅メダルを獲っていたジョコビッチは東京オリンピック不参加も検討していたが、最終的にセルビアを代表して類いまれな偉業を達成することへの彼の欲求は大きすぎた。

「オリンピックはスポーツの歴史の中でもっとも特別であり、もっとも歴史的な大会だ。国を代表して五輪チームの一員となるということは、僕が非常に大切にしていることだからね。それは個人的に僕を励まし、僕自身の個人的パフォーマンスのための大きな自信とエネルギーを与えてくれることなんだ」とジョコビッチは語った。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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