林妃鞠が「親友」に打ち勝って全国初タイトル [2021全中]
福島県会津若松市を舞台に開催された「第48回全国中学生テニス選手権大会」(会津総合運動公園テニスコート)の大会最終日は個人戦シングルスの2回戦から決勝、個人戦ダブルスの1回戦から決勝が行われ、女子シングルス第1シードの林妃鞠(鈴鹿市立神戸)が第5~8シードの津田梨央(名古屋市立猪高)を6-4で下して優勝を果たした。
ともに決勝への道は簡単なものではなかった。津田は夏を迎える前に腰と右肩を痛めており、盤石とは程遠い状態。それでも、準々決勝では第2シードの木下晴結(枚方市立第四)に4-0、5-2から5-4まで追い上げられながら振りきるなど「試合ではアドレナリンが出た」と痛みを忘れての決勝進出だった。
「第1シードなので優勝したいと思っていた」という林にとっても準々決勝がターニングポイントだった。第5~8シードの伊東磨希(早稲田実業)に2-5と追い込まれながら逆転勝利。「踏ん張れて自信がついた。攻撃するタイプなのに繋いでいたのを、自分から攻めることでうまくいくようになった」。
林は決勝でも自慢のフォアで試合をコントロールした(写真◎菅原淳)
三重の林と愛知の津田。東海地区で戦う2人の出会いは小学1年生のときまで遡る。林が愛知の練習会に参加して試合をした相手が津田だった。それ以来、友情とライバル関係を深めてきた。勝ったり負けたりを繰り返してきたが、直近の試合では津田が8-2で完勝。それだけに林は「リベンジしたいと思っていた」。
決勝は序盤から林がゲームを支配した。鋭いクロスに機を見て打ち込むストレート。自慢のフォアハンドを左右に散らしてコーナー深くに打ち込んでいく。「相手の深いボールは我慢して、チャンスを逃さずフォアで攻める」。狙いどおりの展開に持ち込み第4ゲームで先にブレーク。第9ゲームで津田に意地のブレークバックを許して5-4となるも、続く第10ゲームでふたたびブレークをもぎ取って勝利を掴んだ。
津田は敗れても決勝進出と林との対戦を喜んだ(写真◎菅原淳)
「全国大会の優勝は初めてなのでとてもうれしい。トップシードの緊張を感じることなくチャレンジャーとして臨むことができたので、思い切って振っていくことができた」と勝因を振り返り、「全日本ジュニアU16でもいい結果を出したい」と間近に迫ったビッグタイトルも見据えていた。
敗れた津田だが悲壮感はなかった。「体の状態を思えばベスト4にいけたらいいなと思っていた。それが決勝にくることができて、仲がいい友達でライバルと戦えて、しかも全国で(林と)2人で対戦したのは初めてで、うれしいしかない」。男子シングルスと同じように、爽やかなライバル対決が決勝の舞台を彩った。
井上/遠藤は見事に団体とダブルスの2冠を達成
女子ダブルス決勝は第2シードの井上季子/遠藤愛渚(山陽女学園)が第3~4シードの川上栞奈/下野澪(浪速)を6-3で下して団体との2冠を達成した。序盤はリードを許す展開だったが鮮やかな逆転勝ちをおさめた。
遠藤が「最初は緊張もあって前に出ることができず、ミスもあったが、相手のボールに慣れてきてからポーチにも出ることができようになった」と話せば、井上は「リードされていたがデュースを取りきれて、4-3と逆転して流れがきたなと思った」と振り返る。
「キャプテンの季子ちゃんが団体を引っ張ってくれて、ダブルスでも引っ張ってくれて、感謝しかない」という遠藤に、井上は笑顔で「いつも盛り上げてくれている」とコートの外でもコンビネーションは抜群。「団体・個人の2冠を目標にしていたのでうれしい」と笑顔で大会を締めくくった。
編集部◎杉浦多夢 写真◎菅原淳
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