2017年女王スティーブンスがガウフを圧倒「彼女の前途にはきっと素晴らしいことが待っている」 [USオープン]
今年最後のグランドスラム大会「USオープン」(アメリカ・ニューヨーク/本戦8月30日~9月13日/ハードコート)の大会3日目は、ボトムハーフ(ドローの下半分)の男女シングルス2回戦などが行われた。
3年前、ある記者がスローン・スティーブンス(アメリカ)にまだほとんどのファンが知らないがいつの日か大物になるとあなたが考えている若手の名前を挙げて欲しいと頼んだ。スティーブンスは熟考するために一瞬止まったが、あまり長く躊躇わずにこう答えた。コリ・ガウフ(アメリカ)、当時彼女は14歳だった。
その数年前に初めてガウフに会った――最後にふたりが一緒にフロリダのコートでボールを打ったのはガウフが12歳のときだった――というスティーブンスは、自分が何を話しているかはっきりわかっていた。世界は間もなく、ガウフの存在を発見することになる。
このふたりの友人同士は水曜日の夜、USオープンにおいて初めて公式戦で顔を合わせた。そして今や17歳となった第21シードのガウフを6-4 6-2で振りきったのは、現在世界ランク66位で2017年USオープン優勝者のスティーブンスのほうだった。
試合後にふたりはネット際で暖かい抱擁を交わし、それからスティーブンスはガウフのことを選手としてだけでなく人としても称賛した。
「ココのことは大好きよ。私がココを好きなことは皆が知っているんじゃないかしら。試合後、私は彼女に『愛してる』と言ったの。彼女は本当に素晴らしいプレーヤーであり、彼女が8歳のときから成長していくのを目にすることができて私は幸運だわ。彼女の前途にはきっと素晴らしいことが待ち受けているはずよ」とスティーブンスはアーサー・アッシュ・スタジアムの観客たちに語った。
ハリケーン「アイダ」の影響を受けた豪雨に見舞われ、スタジアムの屋根は閉じられていた。実際にニューヨーク地区には竜巻の警報が出ており、ビリー ジーン・キング・ナショナルテニスセンターの敷地周辺では洪水が発生した。屋根を打つ雨の低い音が通常のテニスの試合音をかき消し、スティーブンスはオンコートインタビューの際に質問を聞き取るのに苦労していた。
ガウフは少しの間、スティーブンスに対して大舞台で大物を倒す助けとなってきた多彩なスキルを披露した。彼女はグランドスラムの舞台でビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)を2度倒し、6月のフレンチ・オープンでは8強入りしていた。
しかしこの日のスティーブンスは、シンプルにより優れたプレーをしていた。彼女は素晴らしいサービスのプレースメントと鋭いフォアハンドを駆使し、第1セット4-4から残りの10ゲーム中8ゲームを取った。ガウフが手にした唯一のチャンスは第2セット2-1の場面で訪れたが、そこを凌いでキープしたスティーブンスは次のゲームをラブゲームでブレークした。そこからはスティーブンスが勢いに乗り、もはや相手に1ゲームも与えなかった。
「今日はフォアハンドが鍵だったわ」とスティーブンスは振り返った。
5年前にふたりがフレンドリーな練習をしたときにガウフはそのフォアハンドを間近で見たが、彼女は「12歳のときに彼女のボールをどのように感じたか覚えていないの。間違いなく、そのときの彼女はスピードを抑えて打ってくれていたはずよ。だからあまり当てにできないわ」と話した。
2017年USオープン決勝の再現となった月曜日の1回戦でよき友人であるマディソン・キーズ(アメリカ)に敗戦まであと2ポイントと迫りながら切り抜けていたスティーブンスは、水曜日の試合で自分のサービスゲームでの49ポイントのうち39本をものにした。
記者がその数字について話したとき、スティーブンスは「いいわね、それはいいことだわ」と返答した。
28歳とガウフより10歳以上年上のスティーブンスは、対戦相手のよりスピードのあるサービスに対してうまく対処して3度ブレークした。ベースラインからの強打の応酬では、お互いに容赦のないパワーでボールを叩いた。
統計によればふたりは合わせて24本のウィナーを決め、44本のアンフォーストエラーを犯した。しかしエラーに関しては、お互いに相手の攻撃への対処を余儀なくされていたことを考えると仕方ないように思われる。
「言うまでもなく、私はスローンをとても尊敬しているわ。一時は彼女のことを見上げていたの。子供の頃から彼女のことを知っているから。でも、私たちの関係が試合に影響を与えたとは思わないわ」とガウフはコメントした。(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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