ワクワクするライバル関係----堅実ナダルが躍動キリオスを4セットの末に破る [オーストラリアン・オープン]

「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・メルボルン/1月20日~2月2日/ハードコート)」の大会8日目、男子シングルス4回戦。
 
 ラファエル・ナダル(スペイン)はぶつぶつ言ったり、身づくろいをしたり、アンダーサーブを打ったり、股下ショットを打ったりすることは、より若く華やかな対戦相手のニック・キリオス(オーストラリア)に任せておいた。間違いなくナダルは、彼らのライバル関係の“最新回”で勝利を得られたとことをうれしく思っているだろう。

 世界ランク1位のナダルは、母国の観客の寵児であり第23シードのキリオスを6-3 3-6 7-6(6) 7-6(4)で倒した見ごたえある試合の中で、考えを自分の中だけにとどめて打つショットをよりオーソドックスなバラエティに限ってプレーした。そして彼は今、オーストラリアン・オープンの準々決勝に進出し、最多タイとなる20回目のグランドスラム制覇にまた一歩近づいた。

 このふたりは互いに好き合ってはいない。しかしナダルは、キリオスとの対戦成績を5勝3敗としたあと、好意的なことしか言わなかった。

「彼がプレーしたいと望むとき、彼が自分のやっていることに集中しているとき、彼はこのスポーツにとって非常に重要なプレーヤーとなる」とナダルは評価した。「彼は大きな才能を持ち、観客にとって非常に面白い選手たちのひとりだからね」。

 試合の中でキリオスはよくやるトリックショットや滑稽な動作をやりはしていたが、努力という面では決してぐらついていなかった。

「今日の彼は非常に真剣にプレーしていたと思う」とナダルは振り返った。「彼はずっとベストを尽くそうと努めていた」。

 この試合は間違いなく、キリオスにとって大きな意味があったのだろう。キリオスは、「今夜、敗れて打ちひしがれている。これらは、僕がもっとも勝ちたいと思う類いの試合なんだ」と打ち明けた。

 懸かっているものの大きさと緊張感が、いかにふたりに影響を与えたかの例を挙げよう。

 ターニングポイントとなった第3セットのタイブレーク5-5の場面で、キリオスはダブルフォールトをおかした。それは、セットポイントというプレゼントをナダルに与えてしまうものだった。ところがナダルはそれを生かすことができず、自らもダブルフォールトを返してしまった。

 それでもその2ポイント後、キリオスはフォアハンドをネットにかけてセットはナダルのものとなった。その少しあとにキリオスはふたたびダブルフォールトをおかしてラブゲームでブレークされ、これでナダルは第4セットを2-1とリードして試合の舵を握ったかに見えていた。

「ニックに対しては、決してコントロールなど握れないものだ」とナダルはのちに語った。

 案の定、ナダルは5-4から自分のサービスを迎えたときにしくじった。彼はダブルフォールトによって2つのブレークポイントを与えてしまった。キリオスはその2つ目をジャンピング・フォアハンドでものにすると、頭を後ろに傾け、叫び声を上げてそれを祝った。観客たちは立ち上がって歓声を上げ、キャンベラ出身の24歳を応援しながらオーストラリアの国旗を振ったのだった。

「恐ろしいゲームだった」とナダルはそれを呼び、ナーバスになったせいで硬くなったことを認めもした。しかし彼は態勢を立て直し、キリオスのフォアハンドのネットミスで終わった最後のタイブレークで勝利をものにした。

 間違いなく、涼しく風のあるコンディションはナダルに有利に働き、キリオスのパワーが基盤のスタイルを鈍らせることになった。しかしまた、次の事実もある。ナダルは64対27と、アンフォーストエラーの2倍以上のウィナーを決めていたのだ。

「1ポイントを取るために、1ポイントを3度勝ち取らなければならなかった」とキリオスはコメントした。キリオスは25本のサービスエースと、いくつかの思い出深き瞬間を生み出した。その中には、日曜日にヘリコプターの事故のため41歳で亡くなったNBAのスターであるコービー・ブライアント(アメリカ)に敬意を表してロサンゼルス・レイカーズの背番号8のシャツを着てコートに現れ、ウォームアップを行ったことも含まれる。

 キリオスは記者会見の際には、やはりブライアントの背番号だった24番のシャツに着替え、彼の死のニュースに心を揺さぶられたと話した。

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