ワクワクするライバル関係----堅実ナダルが躍動キリオスを4セットの末に破る [オーストラリアン・オープン]
水曜日に行われる予定となっている33歳のナダルの41度目のグランドスラム準々決勝は、第5シードのドミニク・ティーム(オーストリア)に対するものとなる。これはここ2年のフレンチ・オープン決勝と同じカードであり、その双方でナダルが勝っていた。
上半分のドローのもうひとつの準々決勝は、第7シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)対第15シードのスタン・ワウリンカ(スイス)となった。
ナダル対キリオスはプレーの質という意味で、また部分的には彼らが好き合っていないというサイドストーリーゆえ、見るものを非常にワクワクさせる対戦だ。
「僕が過去に彼を批判したとき、それは彼が正しくないこと、僕らのスポーツや子供たちのためにふさわしくないことをやったと思ったからだ」とナダルは説明した。
昨年、メキシコでキリオスがナダルを破ったとき、彼らはメディアを通して棘のある言葉を交わし合った。7月のウインブルドンでふたりがふたたび会ったとき――偶然にもスコアは月曜日の試合とまったく同じだったが――キリオスはショットをナダルの体にぶち当て、そのあとに謝らなかった。
エネルギーと感情を消耗させる4時間半を要した5セットマッチのあとにこの試合に臨んでいたキリオスは、序盤には前試合が彼にダメージを与えているように見えた。
一方のナダルは、まるで休暇から戻ったばかりのように非常に活力に満ちているように見えた。彼のスピンをかけたフォアハンドは最高の調子だった。ナダルはキリオスが1本のウィナーを取る前に、8本のフォアハンドのウィナーを積み重ねていた。
第2セットはナダルの困惑によって始まり、傾向はガラリと変わった。彼は第1セットのあとトイレに行く際に、ボールボーイに2本あるラケットのうち1本のストリングを張り替えるよう頼んで、2本のラケットをコートサイドの椅子の上に置いていった。そして戻って来たとき、彼は意図したのと違うラケットが取り去られていることに気づいた。
しかしながら、試合は進められなければならない。ナダルは第2セットの第1ゲームで3つのブレークポイントを握ったが、キリオスは最初のそれを時速212kmのサービスで回避した。2つ目のそれは、キリオスらしい突飛なショットで打ち消された。キリオスはネットに背を向けてロブを追い、脚の間からショットをはたき返してラリーを続け、最終的にポイントは彼がミスを強いるフォアハンドを叩き込んだときに終わった。そして彼は3つ目のそれを、より伝統的なやり方で無効化した。
63分が経過した頃にキリオスは最初のブレークチャンスを手にし、フォアハンドのパッシングショットでその機会をものにして3-1とリードした。ナダルはそのショットをやり過ごしたが、ボールはベースラインの後ろ部分に乗った。キリオスはジャンプしながら拳を突き上げ、そのブレークを祝った。
まもなくセットオールとなり、キリオスは歯でタオルをくわえてコート際の椅子に向けて誇らし気に歩いていった。
正直なところ、キリオスはプレーするたびにマイクをつけるべきだ。彼がナダルに「うますぎる!」と賛辞を投げようと、自分のチームを「何か言えよ!」と叱りつけようと、まずいバックハンドのあとに「よくやった!」と叫ぶことで皮肉っぽく自分を批判しようと、ラケットで自分の頭を叩こうと、彼のおしゃべりは強い印象を与えた。
のちに彼は第3セットのタイブレークであるショットをしくじったあと、ラケットを叩きつけて壊したことで警告を受けた。第4セットの終わり方はおそらくキリオスを怒らせたが、彼はさっさと荷物をまとめコートから去った。
この敗戦を、ナダルに対する前回のそれと比べてキリオスはこう言った。
「今回は、前よりもずっと競っていたと感じている」
(APライター◎ハワード・フェンドリック/構成◎テニスマガジン)
試合後のニック・キリオス(オーストラリア)
※トップ写真はラファエル・ナダル(スペイン)
※写真◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU
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