2021-10-15

ジュニア

第2シードの17歳・中村健太とノーシードの14歳・富田悠太が決勝へ [世界スーパージュニア2021]

写真は富田悠太(テェリーTC)(撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU)


 国際テニス連盟(ITF)のジュニア公式戦「大阪市長杯世界スーパージュニアテニス選手権大会」(ITFグレード4/大阪府大阪市・ITC靱テニスセンター/本戦10月12~16日/ハードコート)の本戦4日目は、男女ともシングルスおよびダブルスの準決勝が行われた。

 コロナ禍の渡航制限で本来の『グレードA』での開催が叶わず、今年は『グレード4』として行われている今大会は雰囲気も例年とは異なるが、日本の選手たちにとってここが世界への入り口になる。

 男子シングルスの準決勝では同門対決となった第8シードの坂本怜(チェリーテニスクラブ)と富田悠太(チェリーTC)の一戦で富田が勝利し、続いて第2シードの中村健太(志津TC)が栗原颯友(秀明英光高校)に6-1 6-1で快勝した。

     ◇     ◇     ◇
 
 第1シードの原﨑朝陽(ノア・テニスアカデミー神戸垂水)を2回戦で破って勢いづいた14歳の富田が好調だ。

「トップの選手と対戦できたことがまずうれしかった。圧倒されるかなとも思ったけど、向かっていく気持ちと粘り強さが出せた」

 原﨑との試合をそう振り返った富田にとって、ITFの大会はこれが兵庫国際ジュニアに続いて2大会目となる。兵庫では1勝しかできなかったが、今回はよりリラックスして戦えているという。

 準決勝の相手は、同じクラブでダブルスのパートナーでもある坂本だった。公式戦でも幾度となく対戦し、直近では全中の決勝で坂本が勝っている。坂本の武器は191cmの長身から繰り出すサービスと、長いリーチを生かしたコートカバーリング。そのことを誰よりもよく知る富田は、第1セット4-4からのブレーク合戦のあと最後はサービスキープで締めくくった。

 同じような展開が、第2セットは序盤で訪れた。1-1からまず富田がブレークし、坂本がブレークバック、そして富田がふたたびブレーク。坂本のリーチをすり抜ける正確なショットで要所を押さえ、そこからは富田が一方的にゲームを重ねた。

 そのあとふたりはダブルスに臨み、中村翼(サムライPAL)/大熊樂(桜田倶楽部)にセットオールからマッチタイブレーク10-7で勝利をおさめた。長身の坂本はネットの向こうにいれば威圧的だが、隣にいればただただ心強いと富田。全日本ジュニア16歳以下で準優勝したペアで2冠に挑むためには、当然ながらまずは富田のシングルス決勝だ。

 相手は、この日の準決勝を含めて失セットゼロと快調な第2シードの中村。2016年に全小で優勝、翌年は全国選抜ジュニアU14準優勝という実績を持つ中村が、それ以降の国内でのジュニア大会の記録がないのは拠点を海外に移したからだ。フロリダのIMGアカデミーで1年、その後はオーストラリアと日本の両方の拠点を行ったり来たりする生活を送ってきた。コロナ禍の今は千葉の志津テニスクラブを拠点としているが、国内のジュニアタイトルは目標とせず、ITFと国内の一般大会をメインに出場している。

 先月の兵庫国際ジュニアでは第1シードとして出場したものの2回戦で敗退。「周りがみんな日本人で、年下も多いという状況にやりにくさがあった」という経験から多少の自信喪失を味わったが、この大会は気持ちを切り替えて臨んでいる。

「ポイントとか勝ち負けよりも、いま練習で取り組んでいることを試したり観ていて楽しいと思ってもらえるようなプレーをしたいと思っています」

 そうはいっても年下の富田との決勝はプレッシャーがかかりそうだが、「これまで通り、優勝がどうこうと気負わずにプレーしたい。自分がチャレンジャーのつもりで」と終始謙虚な姿勢だった。(ライター◎山口奈緒美/構成◎テニスマガジン)

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撮影◎毛受亮介 / RYOSUKE MENJU

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