プロリーグ設立に向けた第2弾「PTLプレマッチ」は江原弘泰率いるチームRedピーターパンの勝利
一般社団法人プロテニスリーグ(Professional Tennis League/PTL)は17日、プロリーグ設立に向けたプレ大会の第2弾「PTLプレマッチ」を昭和の森テニスセンター(室内ハードコート)で開催した。※第1弾は2021年2月に開催
PTLは2021年、テニス事業を営む経営者およびプロテニスプレーヤーが日本テニスの活性化、観る文化を育てることを目指し、エンターテインメント性の高い団体戦によるリーグを企画し、立ち上げた組織。発起人・理事は河合陽太氏、増田吉彦氏、江原弘泰プロ。
・日常にテニスが溶け込むこと
・テニスによってより良く活性化すること
・テニスが魅力的なビジネスになること
・子供たちがプロ選手に夢を抱くこと
こうした目標に賛同したプロたちが集まり行われた今大会には、男女14選手が参加し、2つのチームに分かれて女子ダブルス→男子シングルス→ミックスダブルス→女子シングルス→男子ダブルスの順に5試合を争った。
結果は、キャプテン江原弘泰(エキスパートパワーシズオカ)率いるチームRedピーターパンが、キャプテン関口周一(Team REC)率いる関口ホワイトラビッツを総獲得ゲーム数で21対16とし勝利を飾った。
試合形式やルールについては、まだ様々に試している段階にあるという(今大会の方法は最下部に掲載)。今回はアメリカで行われている団体戦のWTTを参考にした。
またコロナ禍での観客入場については模索した結果、限定シートと立ち見席のチケットを最小限で販売し、有観客で行った。試合の模様は多くのファンに観てもらうためGAORAが撮影し、後日、PTLとGAORAのYouTubeチャンネルでダイジェスト映像が配信される予定。
試合前の選手紹介は、一人ずつスモークの下をくぐって入場。華やかな演出に選手たちは笑顔を見せた。写真は関口周一(Team REC)。
試合コートは3面並んだコートのうちの真ん中を使い、両サイドのコートに限定シートが用意された。観客は配布されたバルーンを使って両チームを自由に応援できる。試合中は随所に音楽が流され、普段のテニスの試合とは違った喧騒の中で行われたが、選手たちは高い集中を見せ、「特に気にならない」とのことだった。
限定シートの後ろには立ち見席が設けられた。試合前に行われたジュニア対象のヒッティングイベントに参加した子供たちが、家族を含め、希望があればこのエリアで試合観戦ができた(いずれも有料での参加)。
総獲得ゲーム数で勝敗を争う
チームRedピーターパン 21-16 関口ホワイトラビッツ
第1試合 女子複 相川真侑花(テニスユナイテッド)/尾関彩花(テニスユニバース)5-1 古屋美智留(フリー)/安部由香莉(テニスユニバース)
第2試合 男子単 鈴木昂(エキスパートパワーシズオカ) 1-5 関口周一(Team REC)
第3試合 混合複 江原弘泰(エキスパートパワーシズオカ)/長船香菜子(チームralosso) 5-4 [5-2] 上杉海斗(江崎グリコ)/安部由香莉(テニスユニバース)
第4試合 女子単 相川真侑花(テニスユナイテッド) 5-4 [5-1] 澤柳璃子(リンクス・エステート)
第5試合 男子複 片山翔(伊予銀行)/中西聖也(フリー)5-2 菊池玄吾(エキスパートパワーシズオカ)/竹島駿朗(Team REC)
第1試合の女子ダブルスで(写真正面向き前衛)古屋美智留(フリー)/安部由香莉(テニスユニバース)
(写真正面向き)相川真侑花(テニスユナイテッド)/尾関彩花(テニスユニバース)
第2試合の男子シングルスで(写真)関口周一(Team REC)と鈴木昂(エキスパートパワーシズオカ)が同世代対決。「18年前の全国小学生大会決勝の再現」というアナウンスが流れた。
鈴木昂(エキスパートパワーシズオカ)
第3試合のミックスダブルス、(写真左)江原弘泰(エキスパートパワーシズオカ)/長船香菜子(チームralosso)対(写真右)上杉海斗(江崎グリコ)/安部由香莉(テニスユニバース)。上杉のダイナミックなプレーに会場が湧いた。
ミックスダブルス試合後。写真のように、選手たちはファンが名前を覚えやすいように背中に名前シールを貼っている。
第4試合の女子シングルスに出場した(写真左)相川真侑花(テニスユナイテッド)と澤柳璃子(リンクス・エステート)。
チームRedピーターパンに笑顔で迎えられた相川真侑花(テニスユナイテッド)。相川にとって初めての団体戦で、澤柳に対して初対戦で初勝利。
チームの勝敗がかかった第5試合の男子ダブルスをプレーした(写真右)片山翔(伊予銀行)/中西聖也(フリー)
(写真左) 菊池玄吾(エキスパートパワーシズオカ)/竹島駿朗(Team REC)
ルールおよび試合形式
・メンバー選考は各チーム監督(江原、関口)がドラフト会議。
・団体戦の勝敗は、各試合の合計取得ゲーム数で決定する。
・各試合5ゲーム先取、ノーアドバンテージ方式、4-4タイブレーク。
・タイブレークは5ポイント先取(エンドチェンジは4ポイント後、1回のみ)。
・ノーアドバンテージ時は、レシーバーチョイス(ミックスダブルスは同性がリターン)。
・タイブレーク4-4の場合は、ノーアドバンテージと同様の方法で決着をつける。エンドチェンジなし。
・セット中、1セットにつき1人、同性での選手交代が認められる。途中交代した選手は同一セットに再び復帰することはできないが、別のセットに出ることは可能。
・選手が負傷などでプレーできない場合は、控え選手の途中交代が可能。
・1人の選手が原則2セットまで重複して出場できる。ケガなどの場合はその限りではなく、3セット目の出場が可能。
今回は適用されなかったが、4セット終了時点で6ゲーム以上の差がある場合、(逆転の目がない)5セット目で負けているほうがそのセットを取得すると延長戦を戦うことができる。負けているチームがゲームを連続で取得する限り続行し、①総得失ゲームで並んだら6セット目を戦う(5セット目と同じ種目、メンバーで戦う)。②リードしているチームが1ゲームでも取得した場合、その時点で終了となる。
優勝|チームRedピーターパン
準優勝|関口ホワイトラビッツ
実況と解説は吉崎仁康アナと森田あゆみプロ(安藤証券)
審判は元全日本チャンピオンの岡川恵美子(現姓・坂口)さんが務めた
試合後に会見を行った選手たちのコメントを要約
江原弘泰プロ(発起人)「グランドスラムを目指す人から国内が拠点の人まで、様々なプロがいて、それぞれに目標があります。そういうプロたちをもっと知ってもらえるように、プロとしてできることをやる。この大会を通じてプロの技術を観てもらい、接する機会を作り、ファンになってもらいたい。ファンに夢を与えることは大事な仕事だと思います。これは若いときにはなかった気持ち。若いときからこうして考えていたらもっとファンを増やすことができたんじゃないかと。だからこそ今、先導していきたいです。第1回、第2回大会は昭和の森で行いました。8月に、昭和の森テニスセンターがある昭島市の拝島第三小学校で6年生の児童99人を対象にオンコート授業を行う機会が得られました。そうした機会を増やしていくこともこの活動の一つです。いろいろな選手がいて、個性もあって、それを直接の触れ合いの中で知ってもらいたい。僕らから歩み寄っていきますから、ファンのみなさんも近づいてきてほしいです」
関口周一プロ「コロナ禍で大会が少ない中、このような機会を江原選手がつくってくれ、ファンに来てもらえました。この大会を通じて、こういう選手もいるということを知ってもらいたいです。ATPやITFなど世界を回っている選手は、このような大会に通年でかかわっていくことは難しいのですが、でも、日本に活躍できる場があり、活動資金が得られる場があるということは非常に大きなことです。これからもなるべく協力したいと思っています。(このあとに続く大会)全日本の前に、お客さんがいる大会でプレーできたことは、懐かしく感じたし、テンションも上がりました。コロナになってからなかなか勝てず苦しい状況が続いていたので、思いきりプレーができてすっきりしました。今回はキャプテンとしてドラフト会議(選手選考)もやらせていただき、選手たちには賛否あったかもしれませんが、結果的に選手の自覚を促すことになったのではないかと思います。僕自身は、知らない選手についてWEBやSNSで調べたりして、大会を通じ、選手同士がお互いを知る機会にもなりました」
相川真侑花プロ「人生で初めて団体戦を経験しました。それもお客さんがいて応援もあって、音楽もある中での試合。とても緊張しましたが、澤柳さんに対してチャレンジャーとして向かっていくことができました。大きな自信になりました。(このあとに続く大会)全日本に向けて拠点のサウスカロライナから帰国したのですが、日本のファンの方々とはこれまで交流がほとんどなかった分、これからはこういう機会を大事にして、私自身を知ってほしいですし、テニスをもっと知ってほしいと思います」
澤柳璃子プロ「(前日の遅くまで他大会に出場し、早朝に移動して参加)砂入り人工芝コートの試合からハードコートでの試合に移る怖さはありましたが、しっかりと、ケガなくプレーできてよかったです。以前から参加の声がけは江原さんからしていただいていて、(このあとに続く大会)全日本に合わせてハードコートで実戦できる機会をいただきました。今大会は、前回に続いて2度目の参加です。今回は参加選手の数も増え、お客さんも入って楽しかったです。試合前のヒッティングイベントではジュニアが対象でしたが、今後は一般の方など幅広いファンの方とボールが打てるようになったら、みなさんのいい刺激になるのではないかと思います。現役プレーヤーですから、転戦しているのでたくさんの回数(参加)はできませんが、時間があれば微力ながら力になりたいと思っています」
(取材・写真◎青木和子)
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