女子決勝は早慶対決に、男子も早慶が準決勝に駒を進める [2021大学王座]

写真はS2で勝ち星を挙げた安藤優希(早稲田大学3年)(撮影◎宮原和也 / KAZUYA MIYAHARA)


 大学テニスの日本一を決める団体戦「2021年度全日本大学対抗テニス王座決定試合(男子75回/女子57回)」(愛媛県松山市・愛媛県総合運動公園テニスコート/11月8~12日/ハードコート)の大会4日目は、順延となった男子2回戦2対戦のシングルスと女子準決勝2対戦が行われた。

 女子は第1シードの慶應義塾大学(関東地区第1)が第4シードの関西大学(関西地区第2)に、第3シードの早稲田大学(関東地区第2)は第2シードの姫路大学(関西地区第1)にそれぞれ3勝0敗で勝利して決勝進出を決めた。

 男子も同じく“早慶”が勝ち、第1シードの慶應義塾大学(関東地区第1)が松山大学(中国四国地区)に5勝0敗で、第2シードの早稲田大学(関東地区第2)は中京大学(東海地区)に6勝0敗で勝利して準決勝に駒を進めた。

     ◇     ◇     ◇

 2日連続の超悪天候で、本日も晴れ間が見えたのはほんのひととき。女子の準決勝を戦う4チームはその中で溌剌と円陣を組んだが、屋外での進行が許されたのはそこまでだった。結局、外では1ポイントもプレーできず室内コートでの戦いに。今大会は、イレギュラーな進行への順応力も重要なカギとなっている。

 そんな中、抜群の安定感を見せているのが慶大と早大。準決勝のカードははいずれも長年優勝から遠ざかっている関西勢が関東勢に挑む構図となったが、波乱は起こらなかった。決勝は早慶の関東対決となる。

 2006年から2018年まで13連覇を達成した“常勝”早稲田大だが、メンバーの中に王座経験者はいない。2年前はリーグで敗れて出場を逃し、昨年は新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響で中止になった。今の4年生が1年生のときに13連覇の光景を見たが、その代は今回の出場メンバーにはいない。

 3年生の安藤優希主将は、「早稲田に入れば王座は獲れるものだと思っていた」という以前の思い込みを恥じる。

「どの大学もレベルが高くてリーグで勝ち上がるのも大変です。連覇を守るというプレッシャーを味わう代わりに、チャレンジャーとしていい雰囲気でここまでこれていると思います」

 ただ、ある意味で王座は「初めて」ではない。安藤は1年生のとき、出場できなかった王座に同学年3人で“派遣”されたという。そのときのことをこう振り返る。

「筑波と関大の決勝は凄い接戦で、感動して泣きそうでした。これが王座だって思いました。あの感動した決勝と同じところに立てることがうれしい。あの雰囲気を感じることができたのは、気持ちの面で大きかったと思います」

 姫路大との準決勝は吉岡希紗/前田優歩と石川琴実/神鳥舞で早大がダブルス2勝。第3試合のS2では安藤が松下菜々(姫路大学)の強打に食らいつき、6-4 6-0で退けた。

 一方の慶大は1試合目のD2で平田歩/大川美佐が中村天音/川本菜穂(関西大学)に第1セットを5-7で奪われたものの、「相手の作戦にうまくやられている感じはありましたが、あまり気にしすぎず落ち着いて逆転できた」と主将の平田。6-3 6-4で2セットを連取した。そのあと、D1の佐藤南帆/永田杏里(慶應義塾大学)は6-1 6-1、第3試合のS2では永田が6-0 6-0と連続で圧勝した。

 慶大の決勝進出は6年ぶり。平田主将は今年のインカレ・チャンピオンで遡ればインターハイ優勝の実績もあるが、団体での優勝経験がない。「高校のときからどっちかというと個人戦より団体戦で優勝したかった」と語り、明後日の決勝戦には7年分の思いを込める。ただ基本姿勢は変わらず、「リラックスして平常心で」だ。
 
 終わってみれば“早慶”の日となった。男子も前日にダブルス3勝を挙げていた早大と慶大が、シングルスでも星を落とさずに準決勝進出を決めた。明日の準決勝では慶大が第4シードの関西大学(関西地区第2)と、早大は第3シードの近畿大学(関西地区第1)と対戦する。ちなみに、男子の関西勢の決勝進出は2006年に準優勝した近畿大が最後だ。男子の『関東vs関西』にはより激しい火花を期待したいが、どうなるだろうか。(ライター◎山口奈緒美/構成◎テニスマガジン)

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撮影◎宮原和也 / KAZUYA MIYAHARA

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