「世界1位、2位、3位を倒してとてつもない自信になった」前回大会を振り返るメドベージェフ [Nitto ATPファイナルズ]
男子トップ8によるエリート大会「Nitto ATPファイナルズ」(ATPファイナルズ/イタリア・トリノ/11月14~21日/室内ハードコート)で初戦に勝利したダニール・メドベージェフ(ロシア)が優勝した昨年の大会について、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)とのライバル関係について語った。
すでにノバクと10度対戦しており(4勝6敗)、素晴らしいライバル関係になりつつある。ビッグ3のライバル関係を振り返ったとき、その関係から学んだことはありますか?
「あまりないかな。僕とノバク、僕と僕の同世代など、すべてのライバル関係はただのマッチアップ。選手のレベルが高ければ高いほど、どの試合にも違いが生まれる。すべての試合でまず相手のスタイルに対応しないといけない。グランドスラム決勝で言えば、オーストラリアン・オープンの決勝で学んだことをUSオープン決勝で生かしたようにね。自分のプレーで何をもっとよくできるかを考え、それを実行した。その後、ノバクも僕に勝ちたいからパリ・マスターズ決勝では細かい部分で少し変えてきた。自分もそれに対応する準備ができていたと思ったけど、彼のほうが少しよかった。戦術的にはどちらもうまく噛み合っていたと思う。どちらも正しい戦い方を選んでいたけど、彼のほうがその日はよかっただけのこと」
「恐らく、ロジャー・フェデラー(スイス)がノバクと対戦していれば戦い方は大きく変わってくるし、ラファエル・ナダル(スペイン)は左利きだから、さらに違ってくるはず。だから、彼らの対戦を見て自分の戦い方に取り入れられることはあまりない。彼らは素晴らしい選手、素晴らしいファイターで、過去に名勝負がある。自分も語り継がれるような名勝負を残したいと思っている。楽に勝てればそれに越したことはない。でも、彼らが相手で簡単なことは何もない。負けていたら、相手を苦しめるためにファイトしなきゃいけない。自分がリードしているなら、そのチャンスを最後まで離さずに試合を終わらせることが重要になる」
先日ノバクと練習した。ライバル関係にあるのに、一緒に練習もするのはどのような考えから?
「他の選手とは練習しなければならないものだ。相手がナンバーワンのときも、50位のときも、61位のときもある。その練習の場で“相手が自分の弱点を見つけてしまう”“自分に対して何が効果的なのかを試されてしまう”などと考えていたら、テニスはやっていられないよ。自分のヒッティングパートナー以外とは打てなくなってしまう。それはツアーでは最良の選択ではない。うまくなるためには、世界トップの選手と打ち合う必要がある。今回ノバクと練習したのは、その場で大会の予選グループで対戦しない唯一の相手だったのもある。今回で3度目の出場になるけど、初出場のときから予選グループで対戦しない相手と練習してきた。数日後に対戦する予定の選手と練習したら、ある程度探られるかもしれないからね。それはノバクでも同じ。彼は自分よりも経験が遥かに豊富だ。もちろん、何らかの理由で彼が僕と練習したくないなら、当然しないさ。練習は練習で、それ以上ではない。だから可能なんだ。今後も何度もノバクと一緒に打ち合うと思うよ」
昨年のATPファイナルズで優勝したとき、世界1位(ジョコビッチ)、2位(ナダル)、3位(ドミニク・ティーム/オーストリア)を次々と破ったのは、今年の大活躍に向けて大きな自信になったのでは?
「100%自信になったよ。あのとき大会の直前まで調子を崩して自信を失い、いいプレーができるかわからなかった。(2020年11月の)パリ・マスターズでは初戦でラッキーと言っていいのかわからないけど、ケビン・アンダーソン(南アフリカ)が第1セット途中で棄権したために勝ち上がり、次の試合も第1セットを落とした。調子が悪いけど開き直り、何とか勝てて自分のテニスを取り戻すことができた。テニスは自分の調子を毎週、毎週確認しながら戦っていくものなんだ。確認できないと不安になる。だからこそ、昨年のロンドンでのATPファイナルズで世界1位、2位、3位を破ったのは重要なことだった。そこで得た自信は今シーズンだけでなく、今後も続くキャリアの中で途轍もなく大きな自信になる。“自分にはこれだけのことを成し遂げる力がある。当時のランキング5位よりも高いところへいける”と思った。より大きな大会で優勝できると確信できたんだ」
ブレッツェル、スパイダー、オクトパスと色んなニックネームがあるが、どれが一番気に入っている?
「イガ・シフィオンテク(ポーランド)に言われたブレッツェルは初めてで、今でもその意味がよくわかっていないんだ! オクトパスが皆に一番呼ばれていて浸透していると思う。個人的にはベア(熊)が好きなんだ。僕の苗字のロシア語の意味だ。一番簡単だし、小学校の頃から呼ばれて親しんでいる。あとニックネームはその人と特徴を見た周りの人がつけるものだから、自分で考えるのは難しいかな。ニックネームは呼ばれれば呼ばれるほど、しっくりくるもの。ブレッツェルはまだ一人しか呼んでないから、まだ浸透していないね」
第2シードのメドベージェフはレッド・グループの第2戦で、第3シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)と対戦する。(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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